2022年03月11日
荏原製作所(以下:荏原)の海外グループ会社であるエリオットグループ*(以下:エリオット)は、水素圧縮において運転上のフレキシビリティを高めるように設計された、自由に配置可能な新しいコンプレッサデザインアレンジメントを開発しました。
年々温暖化が進み、自然災害の激甚化が地球全体に被害をもたらすなか、脱炭素社会の実現が求められています。当社は長期ビジョン「E-Vision2030」で、2050年までに二酸化炭素排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを目標に掲げています。2021年8月には、社長直轄のコーポレートプロジェクトとして水素関連事業プロジェクトを立ち上げました。脱炭素社会への移行のなかで、水素は新たなエネルギー源として期待されています。
エリオットが開発した新たなFlex-Opの水素圧縮デザインは、今後予想される水素需要の高まりに対応しています。エリオットが持つ従来の優れた圧縮技術を活かし、その機器配置にアレンジを加えました。水素を「つくる」「運ぶ」「貯める」「使う」といった、水素サプライチェーンのプロセスにおけるさまざまなアプリケーションに適用可能です。
エリオットの研究開発ディレクター Dr. Klaus Brunは、「水素圧縮には、非常に軽いガスである水素を圧縮するためのヘッドを確保するために、多数の圧縮段が必要となります。3〜4個のケーシングによるFlex-Opの配置により、従来のアレンジでは最大10段のインペラ数を同じ設置スペースで最大40段まで増やすことが可能になります。それによって、コンプレッサ部分の軸方向スペースが12メートル以上から約3メートルに短縮されます。また、コンプレッサ1台分の設置面積内で、最大4倍の圧縮能力が可能です」と述べています。
エリオットが設計した標準のコンプレッサとインペラを採用し、コンパクトでメンテナンスや修理が簡単です。2-4台のコンプレッサを個別に運転/停止したり、直列運転と並列運転を切り替えたり、各コンプレッサをさまざまな速度で運転することができます。また、純度の高い水素を扱う用途においても、油混入リスクに対する安全性が確保されています。水素圧縮のみならず、エネルギー貯蔵、プロセス、石油精製、石油化学等の用途にも適しています。
今後はコンプレッサの高速化、小型化、軽量化をさらに進めていきます。荏原グループは、今後もグループグローバル全体の技術力を活かし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。
エリオットグループは、最先端技術を搭載した遠心コンプレッサ、軸流コンプレッサ、蒸気タービン、動力回収用エキスパンダ、クライオジェニックポンプおよびエキスパンダの設計、製造、およびサービスを行っています。これらの製品は、石油化学、石油精製、石油ガス、液化ガスの各業界のほか、電力業界にも利用されています。