2022年04月28日
試験場にて
荏原製作所(以下:荏原)は、インターステラテクノロジズ株式会社(以下:インターステラテクノロジズ)と国立大学法人室蘭工業大学(以下:室蘭工業大学)とともに共同研究・開発を進めている、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」(以下:ZERO)のエンジン用ターボポンプについて、ポンプ部分の性能を確かめるための要素試験となる「水流し試験」を行いました。この試験で、ポンプの効率や昇圧性能など必要なデータを取得しました。
当社は2021年9月より、室蘭工業大学に設置されたロケット開発を産学連携で推進する拠点「宇宙プロジェクト共創ラボラトリ」に技術者2名を派遣し、インターステラテクノロジズ、室蘭工業大学とZEROのターボポンプの共同開発を進めています。
今回、ロケットの「心臓部」にあたるターボポンプの設計・製造・試験を3機関で初めて実施しました。推進剤(燃料・酸化剤)タンクから、燃焼器に燃料と酸化剤を送るための心臓部にあたるターボポンプは、ロケットエンジンの中でも最も開発が難しい要素の一つと言われています。ターボポンプは、タービン部分とポンプ部分、それらをつなぐ軸と機構部品で構成されています。ZEROで使用するターボポンプは長さ約35cm、直径約30cm。1分間に数万回転と高速で回転するタービンの力でポンプを駆動させ、高圧で燃焼器に送り込む
ことで、高い推進力を生む役割を持っています。
ターボポンプ概念図
©インターステラテクノロジズ株式会社
本試験の前には、室蘭工業大学が主導してインデューサ単体での水流し試験も実施しました。今回は、そのインデューサとインペラ(遠心羽根車)を統合し、より実機のターボポンプに近い形での試験となりました。
本試験の目的は、実機と同一設計で製作されたモデル(ポンプ部)の性能を確認することです。試験ではタービンの代わりに、電動モータによって回転軸を駆動させました。モータからポンプへの動力伝達部は、ポンプの開発や運用で数々の実績がある当社が、設計・製造ともに担当しています。当日は3機関のメンバーが集結し、それぞれの役割を分担しながら実施する初めての本格的な試験となりました。
試験名称 | ポンプ単体水流し試験 |
試験目的 | ポンプ性能が設計で予測される理論的性能を満たしているかを確認すること |
期間 | 2022年4月25日~28日 |
場所 | IST本社 |
試験内容 | 設計時の予測通りに、ポンプが回転軸の動力を流体(水)の圧力に変換できたかについて、広範囲な流量におけるデータを取得 |
今後、本試験の結果を踏まえた数回の水流し試験を経て、ターボポンプ全体の機能・性能を確かめる「冷走試験」、燃焼器などをすべて含めた2023年度の「エンジン統合試験」へと開発が進む予定です。
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荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。