2023年06月12日
荏原製作所(以下:荏原)は、細胞培養技術開発スタートアップの株式会社インテグリカルチャー(以下:インテグリカルチャー)と、「CulNet® system(カルネットシステム)」*のスケールアップに関する共同開発を開始しました。
近年、細胞培養技術を用いた新しい食料生産方法として細胞性食品が世界的に注目されています。世界の人口増加が続き、また、食肉や魚に対する需要が急速に拡大する中、タンパク質不足などの食料問題の深刻化が懸念されています。一方、従来型の家畜や養殖魚の生産だけでは対応が難しいと言われており、その解決策の一つとして期待されています。
インテグリカルチャーは、独自開発の細胞培養技術「CulNet® system」を、食品・素材・皮革などを作るバイオ資源生産技術のプラットフォームとして開発しました。本技術は、動物細胞を大規模かつ安価に培養可能で、培養肉をはじめとするさまざまな用途での活用が期待されています。荏原は、当社が培ってきた流体制御技術や装置機器設計ノウハウを活用したCulNet® systemのスケールアップ設計、開発を行い、細胞農業事業の実現を加速させていきます。
当社はCulNet®systemのスケールアップの設計、開発により、細胞生産技術の合理化を実現し、細胞農業が広く社会に普及することを目指します。今後も、長期ビジョン「E-Vision2030」で掲げる「進化する豊かな生活づくり」に貢献していきます。
荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。
*CulNet systemは、動物体内の臓器間相互作用を模した環境を擬似的に構築する仕組みです。本技術は、動物細胞を大規模かつ安価に培養することを可能とし、培養肉を始めとする様々な用途での活用を目指して研究開発を進めており、培養肉の大きなコスト要因である成長因子(血清様成分)の内製化は既に実現しています。高価な成長因子の投入が不要になったため、生産コストの大幅な節減が可能となります。
株式会社インテグリカルチャー
2015年10月に設立された細胞培養技術開発スタートアップ。独自開発の新たな細胞培養技術「CulNet® system」を、食品・素材・皮革などを作るバイオ資源生産技術のプラットフォームとして開発し、さまざまな分野での活用を目指している。