2023年12月07日
水素焚吸収冷温水機 RHDH型外観
荏原製作所およびグループ会社である荏原冷熱システム株式会社は、世界的な水素市場拡大の流れに対応するため、世界初となる水素を燃料とした吸収冷温水機を開発しました。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、クリーンエネルギーを活用した持続可能な地球環境を目指す取り組みが不可欠な中、次世代エネルギーとして水素が注目されています。当社は水素を「つくる、はこぶ、つかう」サプライチェーンの構築に貢献するためさまざまな製品・技術の開発に取り組んでいます。
吸収冷温水機は、オフィスビル、工場、空港、商業施設や地域冷暖房施設などで快適な空調空間を提供するための熱源機です。従来の吸収冷温水機は都市ガスや灯油を燃料としていますが、今回開発した製品は、水素を燃料とすることで、燃料の燃焼に伴うCO2を排出することなく使用することが可能です。従来の燃料と比較した場合、年間で灯油に比べて95%、都市ガスに比べて94%のCO2排出量を削減することができます。また、水素を動力や電気に変換することなく、直接燃焼させて「つかう」ことができるという特徴をもちます。
今回の開発においては、燃料を水素に置き換えるにあたり、水素の特性にあわせて設計を変更する必要がありました。水素は都市ガスに比べて燃焼速度が速く、燃焼範囲が広いため、特に安全性を考慮した設計が重要となります。都市ガス用の安全装置に加え、水素配管への逆火防止装置を標準装備するとともに、停止中にガス管内が水素と空気の可燃性混合気に満たされないように、不活性ガスを注入する機能を追加するなど、水素用の安全設計がなされています。また、水素は火炎温度が高く、排ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度が高くなる傾向がありますが、低NOx化技術を導入した水素用低NOxバーナを開発し、全燃焼領域において都市ガス燃焼時相当の低NOx化を達成しました。
水素焚吸収冷温水機は、当社最新機種に搭載している冷却水や冷温水の変流量制御、省エネ運転モード、始動時間短縮制御といった各種省エネ技術を標準で搭載しているため、水素利用によるCO2排出量の削減だけでなく、消費エネルギーの削減にもつながります。水素焚吸収冷温水機は、燃料の燃焼時にCO2を排出せず、冷媒には自然冷媒である水を使用しているため、環境にやさしく、カーボンニュートラル時代に適した製品です。今後はラインナップの拡充を行い、水素エネルギーを直接「つかう」製品として来るべき水素社会の実現に貢献していきます。
当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速し、長期ビジョン「E-Vision2030」で掲げる持続可能な社会の実現に貢献していきます
荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。
■本件や事業に関するご相談: CP水素関連事業プロジェクト マーケティング戦略・営業ユニット
■取材のご相談:経営企画部 IR・広報課 ebr-pr@ebara.com
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文中の「〇〇〇型」の表示は当社の機種記号です。
参考:
荏原の水素ビジネスのウェブサイト
エバラ時報
荏原の水素技術の紹介