荏原製作所(以下:荏原)は、生成AIを活用したプラットフォーム「EBARA AI Chat」を独自開発し、国内従業員向けに導入しました。また、11月11日より全社のQAチャットボットも本プラットフォームに全面移行します。「EBARA AI Chat」により、荏原が持つ技術情報、社内の情報と生成AIモデルを組み合わせ、作業負担の軽減、業務効率の向上、事業への活用を図っていくとともに、従業員のエンゲージメント向上も目指します。<br><br>
<h3>1. 背景</h3>
荏原は、ポンプ、コンプレッサ・タービン、ごみ焼却施設、半導体製造装置等を主力製品としており、その製造・開発にあたり蓄積された多くの技術情報や規格文書が存在します。そのような社内ナレッジを有効に活用し事業を加速させるべく、2023年9月より社内のデータストラテジーチーム・情報通信統括部門が主体となり生成AI活用プロジェクトを立ち上げました。2023年10月から研究開発部門でのPoC(概念実証)、2024年2月より複数のカンパニーでのPoCを進め、社内の様々な領域のナレッジを安全に検索できるプラットフォーム「EBARA AI Chat」を内製開発し、7月末に全社展開を開始しました。さらに、11月11日より全社のQAチャットボットも「EBARA AI Chat」に全面移行します。<br><br>
<h3>2.概要</h3>
全従業員がこれまで利用していたQA用のチャットボットは、あらかじめ質問と回答を設定する負荷が大きいといった課題がありました。そこでチャットボットから生成AIを活用した「EBARA AI Chat」に置き換えることで、広く社内規則やマニュアル類をもとに回答が生成される形にし、準備負荷の軽減や、精度の向上・回答対象の拡大を図りました。
加えて、各ナレッジのドキュメントがどの言語で書かれていても、外国語での問い合わせに該当言語で回答できる仕組みを構築し、多様な従業員の利便性向上を実現しました。<br><br>
<h4>■「EBARA AI Chat」の特長</h4>
(1)複数モデルの生成AIに対応
Gemini(Google社)、GPT(Microsoft社 Azure OpenAI)、Claude(Anthropic社)など最新の生成AIモデルを利用者のニーズに応じて選択できるようにしています。<br>
(2) 多言語対応
データソースの言語に関係なく、外国語での問い合わせに対して、その問い合わせ言語で回答できるような仕組みを導入することで、外国籍従業員の言語の障壁を和らげ、エンゲージメント向上につなげています。<br>
(3)閲覧権限を特定したナレッジ検索
各領域のデータソースごとに閲覧権限のコントロールを可能にし、全社向け・特定領域向けのナレッジ検索を同時に実現しています。<br>
(4) データカタログ機能とデータマネジメント
各領域ごとに登録されたデータソースや、それに含まれるファイル一覧、管理グループ、情報区分、更新日時などを確認できるデータカタログ機能を搭載し、データマネジメントにも活用しています。<br><br>
<h3>3. 今後の展望</h3>
荏原は今後「EBARA AI Chat」を国内外のグループ会社にも展開し、グローバルでの業務効率化を進めるとともに、生成AIをあらゆる事業・業務プロセスへ組み込んでいくことで、ビジネスを加速させてまいります。また、生成AIの技術変化にあわせたアップデートや新たなソリューションの開発を通じて、さらなるコスト削減を図るとともに、他社・大学・外部団体と連携しながら新しい技術やユースケースを積極的に取り入れ、活用していくことで、新たな顧客価値の提供を目指します。