2017年03月14日
株式会社 荏原製作所
荏原冷熱システム株式会社
当社グループの荏原冷熱システム株式会社(以下:ERS)と中部電力株式会社(以下:中部電力)は、ガス焚吸収冷温水機※1の始動時にかかる時間とエネルギー消費量を半減※2できる制御方法(以下:本制御)を搭載したガス焚吸収冷温水機を共同開発しましたので、お知らせします。
ガス焚吸収冷温水機には始動時間が長いという弱点がありました。そこで、長い始動時間の主因である停止時の希釈運転※3を、運転状況から判断して最小限にとどめるように改良するとともに、始動時の燃焼量制御を見直し、ガス焚吸収冷温水機への入熱量を始動直後から大きくする制御方法を開発しました。本制御を搭載したガス焚吸収冷温水機は、従来の制御方法に比べて始動にかかる時間とエネルギーの半減を達成しました。
本開発機は、ERSが本年4月から発売します。
1
始動時の時間とエネルギー消費を半減
従来、20分~30分程度要していた始動時間を、10分~15分程度に半減。これにより、電気式冷凍機と同様の冷水需要への素早い対応を実現し、始動・停止に係るエネルギー消費量も半減。
2
従来機にも搭載可能
本制御は既存のERS製ガス焚吸収冷温水機の一部にも搭載可能※4であるため、販売済みのガス焚吸収冷温水機のお客さまの省エネルギーにも貢献。
ガス焚吸収冷温水機 圧縮機を使用せず、冷媒(水)を吸収溶液に吸収させて冷水をつくる冷凍機です。水分を分離して吸収溶液の濃度を上げ、吸収能力を回復(再生)させるために、ガスの燃焼熱を用います。なお、ガスの燃焼熱を加熱源にして、暖房用の温水をつくることも可能です。
始動時にかかる時間とエネルギー消費量を半減 前回停止時の冷凍負荷率がおおむね70%以下の場合、始動時にかかる時間とエネルギー消費量を半減できます。なお、始動時間の削減率は、前回停止時の冷凍負荷率により異なります。
停止時の希釈運転 ガス焚吸収冷温水機では、再生器と呼ばれる部屋で作られた高濃度の吸収溶液の温度が停止中に下がり、結晶化することを防止するため、停止時に高濃度の吸収溶液を薄めるための希釈運転を行います。始動時には、希釈した吸収溶液を再度濃縮する必要があるため、ガス焚吸収冷温水機の始動時間が長い主因となっています。なお、希釈運転の間は水の凍結を防止するため、ガス焚吸収冷温水機内のポンプだけでなく、機外の水ポンプの運転も必要です。
本制御は既存のERS製ガス焚吸収冷温水機の一部にも搭載可能 既存のERS製ガス焚吸収冷温水機の一部に対しても、本年9月より本制御を追加する改造を、ご要望に応じ有償にて実施いたします。本年9月から本機能を追加する改造が可能な機種はRCD型(1997年に生産を開始した機名がRCDで始まる機種)、RED型(2000年に生産を開始した機名がREDで始まる機種)およびRGD型(2008年に生産を開始した機名がRGDで始まる機種)です。対応機種は順次拡大予定です。本機能を追加するには、ガス焚吸収冷温水機への制御機器の追加および電気系統の改造が必要です。
注)「○○○型」の表示は当社の機種記号です
<b>【新製品、販売済み製品に関するお問い合わせ先】</b>
荏原冷熱システム株式会社 国内事業統括部 企画・管理課 (03)6384-8080 (代表)
<b>【発表内容に関するお問い合わせ先】</b>
荏原冷熱システム株式会社 国内事業統括部 企画・管理課 (03)6384-8080 (代表)
中部電力株式会社 広報部 報道グループ (052)961-3582
<b>1 開発体制</b>
荏原冷熱システム株式会社
住所:東京都大田区大森北3丁目2番16号
代表取締役:葛 运進
中部電力株式会社
住所:名古屋市東区東新町1番地
代表取締役社長:勝野 哲
<b>2 開発期間</b>
平成28年4月~平成29年3月
<b>1 開発機外観</b>
開発機外観 外観および仕様は従来機(RGD型)から変更はありません。
<b>2 制御の概要と効果</b>
図1 本制御の概要(停止・始動時の冷水温度、エネルギー消費量のイメージ)
表1 1回の始動・停止に係る時間・エネルギー消費量比較例<sup>※1</sup>
定格冷凍能力527kW、冷凍負荷率55%時の停止および始動時の一例。機種や停止時の状況によって、効果の値は変化します。
ガス焚吸収冷温水機の消費電力量と、冷水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔の消費電力量の合計。
一次エネルギー換算値は、電力を9.76MJ/kWh、ガスを45MJ/m3Nとして試算。
電気料金は17.96円/kWh、ガス料金は91.05円/m3Nとして試算。
以上