代替エネルギー「アンモニア」への挑戦
「環境配慮型アンモニアキャンドモータポンプ」とは?

カーボンフリー燃料として期待される「アンモニア」

太陽光・風力・地熱・水素。脱炭素社会を目指すなかで必須となるチャレンジが「エネルギーシフト」です。電力会社をはじめとして、世界が一丸となって石油エネルギーに替わる新しい燃料・電力源で暮らしや産業を守るための電力確保を目指しています。
そのなかで注目を浴びているのが「アンモニア」。無色透明の気体で、強い刺激臭を思い浮かべられる場合が多いでしょう。用途としては、肥料で約8割、工業用途が約2割。「水素」などに比べると燃料としてはマイナーな存在ですが、実はカーボンフリー燃料としてのポテンシャルはとても高いのです。

「アンモニア」の持つ強み

アンモニアは石炭との混焼であれば、既存の火力発電所をそのまま設備として使用でき、また燃焼してもCO₂を排出しません。しかも水素と比較して扱いやすいというメリットがあります。例えば「運搬・移送」。主にガスは温度を下げ、液化することで大量に運ばれます。常圧下で水素は-253℃まで冷やさないと液化しませんが、アンモニアは-33℃で液化します。さらにアンモニアからは水素を合成できるため、水素のキャリアとしても活躍の場を大きく広げています。2022年12月に発表された経済産業省のロードマップでは、アンモニアのエネルギー利用を2030年300万t、2050年には国内導入量3000万tとする目標を掲げているのです。

アンモニアを漏洩させない新構造のポンプ開発

そのアンモニアを『つくる・はこぶ・つかう』各ステージで必須となる装置が当社の「環境配慮型アンモニア用キャンドモータポンプ」です。2020年から開発に着手したこの製品には当社のポンプ技術が結集されました。強い臭気や毒性を持つアンモニアは取扱いが難しく、絶対にポンプの外部へ漏洩させてはなりません。極めて低温の液体を密閉状態で安全に送り出すには新しいポンプが必要とされました。

当社はLNG(液化天然ガス)を移送するための「極低温サブマージドポンプ(クライオジェニックポンプ)」や、肥料用アンモニアにおける「 API VS6型ポンプ」「キャンドモータポンプ」などで信頼性の確立された技術を組み合わせて「アンモニア用キャンドモータポンプ」を生み出しました。モーター本体が完全に液中に浸かり、かつ吸い込み能力を大幅に向上させることに成功しています。顧客の仕様に合わせ、さまざまな出力のモータを高水準で開発する技術実績は当社ならではのものです。
毒性、可燃性であるアンモニアを安心安全な燃料として活用し、SDGsを達成するサプライチェーン構築に貢献するための挑戦を、これからも続けていきます。