エバラ時報 No.237 p.1 代表取締役社長 矢後 夏之助
研究開発 温故知新・Next100 EOI(Ebara Open Innovation)とは
エバラ時報 No.237 p.3 辻村 学,p.4 檜山 浩國
エバラ時報 No.237 p.5
エバラ時報 No.237 p.10
エバラ時報 No.237 p.35 後藤 彰
ターボ機械の流体エンジニアリング技術の更なる高度化には,「解析技術」と「設計技術」の両者におけるブレークスルーが重要である。計算科学と高速計算機の進展により,流体解析に代表される「解析技術」は,着実かつ劇的な進化を果たしている。一方,線図設計に代表される2次元理論の限界が顕在化した「設計技術」については,流体パラメータに基づき3次元の羽根形状を生成する3次元逆解法理論を実用化し,さらには,その多目的・複合領域最適化技術への応用展開を継続している。産学官連携による基盤技術の強化と,情報・コミュニケーション技術の進歩を取り込むことで,流体エンジニアリング技術の革新を継続していきたい。
エバラ時報 No.237 p.44 川畑 潤也 ほか
ステンレスプレス製羽根車は量産効果が大きいために比較的小型のポンプに多数採用されている。一方で,その設計は一般的な鋳物製羽根車の形状をプレス成形可能な形状に近似したものであるために,従来から設計されてきた羽根車形状との差異はないと言える。当社ではステンレスプレス製羽根車の性能・効率改善のため,従来の常識にとらわれないS字形子午面形状の羽根車を,逆解法を応用した翼面形状,及び数値解析を活用した諸パラメータの絞込みを行い開発した。比速度120~280(min-1,m3,/min,m)をターゲットに開発した羽根車は,従来の羽根車と同一ケーシングで性能比較を行い,従来比約0.5~14%のポンプ効率改善を検証した。
エバラ時報 No.237 p.49 石川 龍一
我が国における固形廃棄物処理は,明治になって公衆衛生強化のために始まり,焼却が義務付けられた。法整備と国庫補助の開始により1963年以降本格的に機械炉の導入が行われ,公害問題やダイオキシン類問題に対応するため,排ガス処理技術も高度化されてきた。更に,低炭素社会や資源循環型社会に資するよう高効率発電技術や焼却残渣溶融技術が開発され,機械炉に加えて流動床炉やガス化溶融炉が開発導入されてきた。近年は,民間活力の導入も推進され,安全で安定した廃棄物処理を,効率的に実施するトータル技術サービスが求められており,特にエネルギーの有効活用が問われている。
エバラ時報 No.237 p.54 深作 善郎 ほか
エリオット・グループのプロセスガス遠心圧縮機は,石油精製,石油化学,オイル&ガスや液化天然ガス等の生産に使用され,その多様化する市場に貢献している。そこでは,圧縮機の性能及び信頼性向上に加えて,短納期で機器を納入するというお客様からの要求が高まってきており,それらに応えるために,新シリーズ圧縮機を開発し,1990年後半から市場投入をしてきた。その開発コンセプトは,幅広い実績をもとに体系的に再統合した新シリーズ圧縮機であるが,圧縮機構成要素を最新の市場ニーズにマッチするように新展開を図るとともに,製造法においても鋳造,溶接主体から機械加工を中心とした生産革新に意欲的に取り組んだ。
エバラ時報 No.237 p.60 國澤 淳次
CMP装置は半導体デバイスの多層配線を形成する際に,各層を平坦化するプロセスで使用される。これまで半導体デバイスは高速化・高集積化のため,微細化を進めてきた。半導体デバイスを構成する材料や製造プロセスは最先端技術を追及する中で多様化し,それに伴い半導体製造装置には,多様なプロセス条件に対応する柔軟性が求められるようになってきた。今回当社は,搬送機構と洗浄機構を新たに開発し,長年のCMP事業を通して培った技術と融合させて新CMP装置F-REX300X型を開発した。本装置は研磨プロセスに対する優れた柔軟性と高い生産性の両立を実現したことで,最先端プロセスの厳しい要求に応えることができるCMP装置である。
既設コンクリートケーシングを用いたポンプの排水能力アップ(三領排水機場ポンプ設備更新工事)
エバラ時報 No.237 p.63 大澤 博之 ほか
本報は建設から40年余りを経過した三領排水機場の更新工事に関するものである。既設ケーシングの継続使用,ポンプ排水量の増量,羽根車形式の変更という制約にもかかわらず,約5%の効率向上を実現した。現地工事において重要な据付面レベルの調整には新工法を採用した。これまで非出水期の6箇月では不可能と考えられていたコンクリートケーシング製立軸渦巻ポンプの更新工事を,ケーシングの継続使用により無事達成した。今後の超大型排水機場更新における一指針を与えるものである。
全長88mの立軸ポンプの納入 -ラスベガス向け水道用取水ポンプ-
エバラ時報 No.237 p.70 吉田 智洋 ほか
米国ラスベガス向けに2009年に納入した立軸斜流ポンプの全長88mは,当社の大型ポンプの納入実績の中でも最長であり,その設計には多くの技術検討が要求された。寸法誤差の累積やシャフトの伸びによる長さ方向の寸法誤差管理の難しさ,起動時の水中軸受のドライ運転状態,振動問題等の技術的課題に対し,立軸ポンプの豊富な製造実績に基づく検討と,解析による検証作業により問題の解決を図った。また,長大なポンプを効率良く据付けるための作業の簡略化,クレーン容量に対応したポンプの軽量化などにも配慮した設計としており,既に現地での据付が終了し,商業運転されている。
エバラ時報 No.237 p.84
エバラ時報 No.237 p.92
エバラ時報 No.236 p.1 東京農工大学 名誉教授 龍谷大学政策学部 教授 科学技術振興機構社会技術研究開発センター・「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」領域総括 総務省緑の分権改革会議委員・フォローアップ委員会主査 堀尾 正靱
エバラ時報 No.236 p. 3 宮本 辰哉
地球温暖化防止に伴い,ポンプやモータの省エネルギー規制が各国で動き始めている。ErP指令(EU)やGB規格(中国)などは,ポンプにおいて要求される最低効率を流量や比速度から定めている。一方,モータの効率はIECあるいはNEMAなどの規格により出力から決められている。いずれの規制も市場から低効率の製品を排除し,将来的に製品全体の効率を向上することで省エネルギーに貢献することが目的である。
エバラ時報 No.236 p.10 下倉 明 ほか
電気炉トランスを2000kVAから3050kVAに更新することで,炉処理能力を45.6t/dから67.2t/dとした。事業計画から完工まで約3年を要したが,都市ゴミ焼却灰の溶融リサイクル事業は年間処理量約34000tとなった。このサブマージドアーク炉は,溶融原料内に挿入した電極を介して直接電流を流し,その電気的抵抗を利用して溶融させるもので,コークス等を添加してごみ焼却灰を還元溶融しており,溶融スラグを徐冷して得られる主製品の溶融還元石スラグに加え,銅を中心とした溶融メタルや粗亜鉛の回収など,レアメタルの回収(都市鉱山)と環境保全に寄与し,2炉体制へのステップアップとなった。
エバラ時報 No.236 p.17 渡邊 和章 ほか
倉浜衛生施設組合「エコトピア池原」は,309t/d(103t/24h×3炉)の流動床式ガス化溶融施設である。2011年6月から2012年2月まで,本施設の3号炉で226日連続運転を達成した。今回の連続運転では,低空気比運転を行いながらも,煙突排ガス中のCO濃度を10ppm以下に抑えることができており,灰中ダイオキシン類濃度も加熱脱塩素化装置を設けることなく0.25ng-TEQ/g以下という自主基準をクリアするなど,燃焼安定性についても長期維持できていることが実証された。また溶融炉出滓口までの燃焼空気比を1.0に近づけたことで,スラグへの鉛移行率は,1%未満という酸化雰囲気の溶融炉としては極めて低い値となっており,JIS規格を満足するスラグ品質を連続運転中も維持することができた。
エバラ時報 No.236 p.21 長山 真己 ほか
ドライ真空ポンプは半導体をはじめとした電子部品の製造においてクリーンな真空環境を実現するために使用される。しかし製造プロセスで発生する排出ガスの流入によりポンプ内部で反応副生成物の析出や腐食などが生じやすく,ポンプにとって過酷な運転条件となる。EV-M型は,内部温度の最適化をはじめとした様々な反応副生成物対策や腐食対策を行うと共に,省エネルギー性能も大幅に向上させた。これにより,厳しい運転条件となる成膜やエッチングプロセスにおいても,優れた耐久性と省エネルギー性能の両立を実現した。
エバラ時報 No.236 p.25 南 吉夫 ほか
実装用全自動めっき装置UFP型を小型化したUFP-AD型を開発した。本装置は,めっき条件確立のための試作段階ないし少量生産向けに適した価格になるように,めっきセルを単列とし,ウェーハ着脱・搬送機構は新規設計により簡素化した。めっき室フレームは1種類とし,スケルトンインフィルの考えにより槽構成を変えることで各種めっきに対応できる。また,運転中にウェーハホルダを装置から取り出してメンテナンスできるようにワゴン型ストッカを装備し,小型装置ながら生産量を最大化できる構造を持っている。
HPCC21型ストーカ式焼却炉 川崎市王禅寺処理センターの運転状況
エバラ時報 No.236 p.30 塚本 輝彰 ほか
近年,ごみ処理プラントには,衛生処理や環境負荷軽減に加え,廃棄物の減量化や資源化,エネルギーの有効利用と幅広い取組みが求められ,特に発電拠点としての役割が重視されている。そうした背景の中,川崎市北部ごみ処理事業の基幹的役割を担うものとして,平成24年3月30日に竣工した王禅寺処理センターの施設概要,運転状況を紹介する。本施設は,低炭素・資源循環・自然共生を3本柱として,周辺環境に溶け込んだ施設づくりをモットーに,当社最新鋭のストーカ技術を導入したプラントである。
今回,新たな取組みとして,積極的な排ガス循環による低空気比運転,高度な乾式排ガス処理プロセスによる熱ロスの最小化を達成し,高効率の発電を実現するとともに安定した焼却性能を発揮している。
エバラ時報 No.235 p.1 東京大学生産技術研究所 教授 加藤 千幸
エバラ時報 No.235 p. 3 渡邉 啓悦 ほか
3次元逆解法と流れ解析並びに多目的遺伝的アルゴリズムといった多目的最適化手法を適用した最適化設計プロセスと適用事例を紹介する。本稿では,ポンプの形式や最適化の目的が異なる二つの最適設計適用事例を示したが,流体力学的パラメータである負荷分布を設計パラメータとする最適化手法の幅広い適応性を示している。また,本最適化プロセスで得られた最適負荷分布パラメータは性能改善メカニズムに結び付けて解釈することが容易であり,技術伝承の面でも有利である。最適化設計プロセスで得られる最適設計データベースを継続的に更新することで,顧客ニーズに迅速に対応するカスタムポンプ設計を行うことができる。
エバラ時報 No.235 p.9 栁下 英明
ヨーロッパのFガス規制を参考として我が国では「冷凍空調機器の冷媒漏えい防止ガイドライン」(JRAGL-14:2010)が2010(平成22)年9月28日に制定された。今後は機器及び設備の高効率化による環境への間接影響の低減努力はもちろんのこと,冷媒の漏洩による直接影響の低減についても更なる取り組みが求められる。そこで低圧冷媒を使用したターボ冷凍機において,活性炭吸着により抽気時に外部へ放出される“目に見える”冷媒量を約1/100(当社従来比)以下に低減するとともに,繰り返し再生利用可能な新製品を紹介する。
エバラ時報 No.235 p.14 坂頂 浩美 ほか
インバータ駆動高速電動機を搭載した3TP型高速深井戸用水中ポンプを開発した。3TP型はポンプ,電動機,インバータを一体構造とし,インバータ駆動電動機によりポンプ回転速度を高速化することで羽根車の段数低減,小径化を図り,3インチサイズで4インチポンプの性能を実現した。4インチ井戸が世界の井戸全体の約7割以上を占め,この井戸ケーシングには一般に塩ビ管が用いられるが,老朽化した井戸ケーシングは地盤沈下や地震などの地盤変動により歪められ,ポンプの取替えができないケースがある。3TP型はこのような4インチ井戸用ポンプの取替え需要に対応するために開発したものである。
エバラ時報 No.235 p.18 相川 義博 ほか
新監視制御システムEDFrameは,最新のオープンなICT技術を使って開発したものである。EDFrameは,ポンプ,上下水等の施設や各計測地点に設置した各種のデータ収集機器(M2Mデバイス)を,ブロードバンド,NTT電話回線,PHS等の通信インフラで接続した構成となっている。また,システムの設計データに従って,ソフトウエアやデータを自動的に作成することができるツールを開発し,設計,製作,試験をシームレスに繋ぐ製品化を実現した。このため,EDFrameは多様性,安全性,拡張性に優れた監視制御システムである。
中国山東省威海市向け大型ストーカ式焼却炉設備の納入、運転状況
エバラ時報 No.235 p.23 黒澤 和重 ほか
中国山東省威海市固体廃棄物処理センターに,処理規模700t/d(350t/24h×2炉),荏原環境プラント㈱のストーカ焼却炉の中国第1号機を納入し,2011年10月に性能試験を完了した。中国ごみは発熱量が低いのを特徴とするが,これを考慮した炉及びシステム設計を実施したことにより,日本の施設と同等の燃焼状況を実現でき,安定した運転を行っている。
流動床式ガス化溶融炉 現場改善によるコスト削減と長期運転への取組み
エバラ時報 No.235 p.29 山口 広宣 ほか
本施設は自治体向け流動床式ガス化溶融炉4号機として納入され,2003年3月から運転を開始し現在9年目となる。自治体の予算削減を背景に現場改善によるコスト削減と長期安定運転に取り組み達成することができた。
エバラ時報 No.234 p.1 九州大学大学院 工学研究院 機械工学部門 教授 土肥 俊郎
エバラ時報 No.234 p. 3 三谷 隆一郎
半導体デバイスの高集積化・高密度化が進み,配線の微細化や配線層数が増加すると,CMP(化学的機械研磨)装置により各層を平坦化することが重要となる。特に,微細化が進むなかでCMPプロセスの終了点を検出する研磨終点検知の技術に要求される精度は大変厳しいものになりつつある。当社では,この技術課題を解決するために,各種センサ及び研磨終点検出装置の開発を継続して行っており,これらの中で渦電流式センサは,半導体デバイスにおける金属膜除去の研磨終点を,精度良く検出可能とする技術として開発を進めている。
エバラ時報 No.234 p.7 高野 弘成 ほか
ベトナムにおけるかんがい排水用カスタムポンプの域産域消の例として,既設ポンプ場の問題を解決する2種類のエリアスタンダードポンプを紹介する。斜置水中モータポンプシステムは土木工事の大幅簡素化,運用の容易化が可能であり,立軸プルアウト式ポンプは維持管理作業の大幅な容易化が可能である。最近では,既設ポンプの取替のみならず,新設機場にも採用が広がっている。このような既設の問題のソリューションとなるエリアポンプシステムを現地拠点が中心になって開発・製造・販売していくことが,継続的な域産域消に繋がると考える。
エバラ時報 No.234 p.12 宇田川 浩史 ほか
首都高速中央環状新宿線(山手トンネル)は,全長約11kmの長大トンネルである。全線が地下トンネル構造であり,9箇所に換気所を設置し,トンネル内の換気を行うための設備が配置されている。このうち,当社は要町換気所と中落合換気所に換気設備を納入した。山手トンネルにおける換気設備の役割には,「トンネル内環境の確保」「火災発生時の非難環境の確保」「周辺大気環境の保全」がある。また,換気方式としては,出入口部が多いトンネル構造上の理由などより,横流式を採用している。
エバラ時報 No.234 p.18 中川 貴博
マイクロガスタービンコージェネレーションパッケージは,低振動,低騒音であり,また,排ガス中に含まれるNOxは30ppm未満,完全燃焼するため未燃メタンは1ppm未満と環境性能に優れている。補機が少なく単純な構造であるため設置・運用が容易である。燃料には都市ガスのほか,バイオマス由来の低発熱量の消化ガスも利用でき,CO2削減効果の高い運用が可能である。また遠隔監視システムを用いた運用サポートとメンテナンスを行うことで,高い稼動信頼性が達成できる。温水仕様パッケージの場合,投入燃料エネルギーに対し,電力と温水回収熱量を合わせた総合熱効率は約79%になる。蒸気仕様も対応可能である。
エバラ時報 No.234 p.23