葛 运進
荏原冷熱システム(株)代表取締役
日本の冷凍機の歴史は(株)荏原製作所(以下,荏原)から始まりました。1930年,荏原は国産最初の遠心冷凍機を開発しました。荏原の技術者が「ターボ冷凍機」と命名したと言われています。この冷凍機の製作は高砂暖房工事(株)(現 高砂熱学工業(株))の協力に負うところが大きく「高砂荏原式ターボ冷凍機」と呼ばれました(高砂熱学工業(株)が展示保管する1937年製の高砂荏原式ターボ冷凍機は,2010年8月7日に一般社団法人日本機械学会から「機械遺産」に認定)。大正から昭和にかけて,商用ビルの冷房,産業工場用途としてターボ冷凍機の導入が進みました。戦後,高度成長期を迎え荏原は様々な市場のニーズに対応し,1963年に単効用吸収冷凍機の自社開発を始めとして,1966年にはキヤリア社の技術導入による高速密閉ターボ冷凍機の生産開始,続いて二重効用吸収冷凍機,吸収冷温水機,スクリュー冷凍機の開発・生産を開始しました。冷凍機事業は,その後市場環境の変化,例としてオイルショックや,オゾン層問題等に直面し,ガス会社様,電力会社様からも様々なご指導を頂きながら,そのときどきの課題に対応した製品を市場に提供して今日に至ります。
冷却塔については,信和産業(株)として1955年に国産第1号の角形クロスフロー式冷却塔の製造販売を開始して以降,リーダーとして冷却塔業界を牽引しています。
また日本での事業展開に加え,中国の冷熱市場への参入と事業拡大を目指し,1996年に烟台荏原空調設備有限公司(現,荏原冷熱システム(中国)有限公司(ERSC))を設立しました。ERSCは吸収式冷凍機市場で橋頭保を築き,暖房用途の吸収ヒートポンプの需要をとりこみ,吸収式冷凍機市場でトップクラスシェアを実現するまでになりました。
現在の荏原冷熱システム(株)(ERS)は2002年に荏原から冷熱事業の製造・販売部門を分社,加えて荏原テクノサーブ(株)の冷熱サービス部門を統合,さらに2010年に(株)荏原シンワ(前出 信和産業(株))と合併しました。また2013年にはタイのEBARA THERMAL SYSTEMS(THAILAND)CO., LTD.(ETST)を設立致しました。ここにERS,ERSC,ETSTとして荏原グループの冷熱事業を3社一体として担う会社となりました。冷熱事業発足から現在に至るまでお客様をはじめ様々な皆様のお力添えを頂いておりますことを肝に銘じて感謝を致します。
我々の冷熱事業を取り巻く環境は,最近の十年を振り返っても,日々大きな課題が続々と表れております。日本における熱利用の高度化,中国における公害対策を始めとする各種規制の強化,世界的な課題である地球温暖化対策など,メーカーにとって取り組むべき課題は山積していると言って過言ではないと思います。技術の進歩には広く社内外の知恵を集めることが必要です。新しい知見を貪欲に取り入れ,従来とは異なる観点をおそれずチャレンジする精神が必要とされます。冷熱事業はこの証左ともいえる歴史です。冷熱事業はグローバルな展開を目指していますが,その核心的な課題は「製品力の強化」です。市場ニーズ,顧客のニーズは以前より多様化し,変化のスピードは速まっています。我々は冷熱事業に関わる各国各社のメンバーが一体となって,開発から生産そしてお客様のニーズに直接相対する営業に至るまで一貫した活動を行い競争力のある製品を提供しなければなりません。
冷熱事業は,日本,中国,東南アジア,その他諸国で事業展開を行います。それぞれ市場状況も市場特性も今後の方向性も異なります。持続的収益維持を目指し体質強化が求められる市場,変化のスピードに遅れることなく大きな発展を目指すべき市場,そして新たな開拓市場と位置付け次代の柱とすべき市場があります。異なる市場には異なるニーズがあります。こうしたニーズを確実に捉え,リソースを的確に配置しお客様にお応えしてまいります。我々にはその力があると自負しており,挑戦を続けていきます。今一度冷熱事業の歴史を振り返り,将来へ「熱と誠」の精神をしっかり堅持して進む所存です。
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