省エネルギー形給水ポンプユニットF3100型と直結給水ブースタポンプPNG型(図1)をモデルチェンジし,コントローラにNFC通信機能を搭載した。
NFCは機器を近づける(タッチする)だけで簡単にデータ通信が可能となる。
専用アプリ「フレッシャーLINK」(図2)をインストールしたスマートフォン(Androidに対応)を表示操作部にタッチすると,専用アプリから機器情報(機名・製造番号),運転状況(運転/停止・圧力・周波数・電流・温度),故障情報(故障履歴),設定値を簡単に把握することができ,視認性の向上や点検作業の効率化が可能となった。このようにIoT技術を積極的に活用している。
特長
(1)専用アプリ「フレッシャーLINK」は,Google PlayTMからインストールが可能であり,スマートフォンを所有している多くのユーザは,無償で使用することができる。
(2)給水ユニットを操作することなく,各種情報をスマートフォンで,分かりやすく,かつ簡単に確認できる。
(3)読み取った運転状況データを添付ファイルとしてメール送信する機能を搭載している。このデータは,点検報告書の作成や運転記録の管理に活用できる。
※「Google Play」,「Android」は,Google Inc.の商標または登録商標です。
図1 給水ユニットF3100/PNG型 Fig. 1 Packaged pump system model F3100/PNG
図2 フレッシャーLINK画面 Fig. 2 FRESHER LINK screen
欧州規格・指令に適合したステンレス製渦巻きポンプGSS型を開発した(図1)。
新規ハイドロ設計によって,環境規制値(ErP指令)を上回るポンプ効率を達成するとともに,欧州のポンプ規格EN733に適合させることで,海外市場での競争力を強化した。
また,回転体露出部分にプロテクタ,及び,密閉型カップリングガードを採用することで安全性を向上させた。
仕様
口 径:50×32~200×150 mm
モータ出力:0.55~315 kW
吐出し量 :最大 10 m3/min
全 揚 程:最大160 m
接液部材料:SCS13,SCS14A
図1 GSS型 Fig. 1 Model GSS
既に発売済みの直結形渦巻きポンプFS-E型を直動化したFSD4-E型(図1)を開発し,直動形ポンプの範囲を当社従来モデルの最大出力11 kWから110 kWまで拡大した。
モータからの動力伝達にはリジッドカップリングを使用し,芯出し作業が不要であること,及び,直結形より全長が短くコンパクトであることを特長としている。モータはトップランナーモータを採用し,回転露出部にプロテクタを標準装備することによって,省エネルギーと安全性に配慮した製品となっている。
仕様
口 径:100×80 ~200×150 mm
モータ出力:3.7~110 kW
極 数:4極
吐出し量 :最大10 m3/min
全 揚 程:最大60 m
図1 FSD4-E型ポンプ Fig. 1 Model FSD4-E
当社のセミオープン式汚水用水中ポンプDS型(図1)とセミボルテックス水中ポンプDVS型(図2)に高揚程・小水量機種を追加し,2017年10月に販売を開始した。
日本国内の市街地再開発・高層ビル建築に伴い,市場から小水量・高揚程の排水ポンプのニーズが増加している。従来の当社製品ラインアップでは,小水量・高揚程範囲では,4P機種だけ選定可能であった。この度高揚程2P機種を市場へ投入することで,より小さい出力を選定することが可能となり,製品競争力を向上させた。
仕様
DS型
口 径:50 mm
モータ出力:5.5,7.5 kW
吐出し量 :最大600 L/min
全 揚 程:最大52 m
異物通過径:10 mm
DVS型
口 径:50,65,80 mm
モータ出力:5.5,7.5 kW
吐出し量 :最大400 L/min(口径50)
1000 L/min(口径65/80)
全 揚 程:最大42 m
異物通過径:35 mm
図1 DS型水中ポンプ Fig. 1 Model DS
図2 DVS型水中ポンプ Fig. 2 Model DVS
日本国内向けDL型汚水汚物用水中ポンプに大出力機種を追加した(図1)。
従来,日本国内向けDL型は22 kW以下のラインナップであった。しかし,近年のゲリラ豪雨対策など,従来のDL型のモータ出力を超える範囲での需要が増加し,大出力機種をラインナップに追加した。
特長として,羽根車の前縁部は後退翼形状を採用しており,繊維状異物の絡み付きを抑制し,無閉塞性を向上させた。
仕様
口 径:150~300 mm
モータ出力:30~45 kW
吐出し量 :最大13.0 m3/min
全 揚 程:最大42 m
異物通過径:76 mm
図1 汚水汚物用水中ポンプDL型 Fig. 1 Submersible sewage pump model DL
地球環境保護・省エネルギーを目的に,2015年4月に施行されたエネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)で,三相誘導電動機がトップランナー制度の対象となり,当社は,陸上ポンプや給水装置を中心にトップランナーモータの採用等で省エネルギー製品の販売を推進してきた。その中で,消火ポンプは,特定の機種での採用にとどまっていた。今後,市場における流通の拡大や省エネルギー対応ニーズが高まることを見越し,適応範囲を拡大した。
仕様
口 径:40~200 mm
電動機 :1.5 kW~55 kW(IE3)
75 kW以上(標準IE1)
吐出し量:最大5000 L/min
全揚程 :最大249 m
特長
(1)(一財)日本消防設備安全センターの認定品
(2)電流値及び電圧値を制御盤面でデジタル表示
(3)性能試験装置流量をデジタル表示(一部を除く)
(4)故障内容を,警報種別を区別して検出・表示
図1 消火ポンプユニット(例:MEFU型/IE3電動機) Fig. 1 Fire fighting pump (ex: model MEFU / IE3 Motor)
近年中国政府は,環境対策を重点政策の一つとして強化・推進している。環境関連の設備投資額も年々増加傾向にある。その中で,中国GB_19762規格において規定されているポンプ効率を達成することが必須であった。
CB型(図1)を開発することで,CNC型※をモデルチェンジし,GB規格を達成した。
2017年5月に一部中国国内向けに販売を開始した。今後,グローバル向けCB型として全世界へ展開する。
特長
(1)高効率
GB規格の達成と自社比約4%の効率アップを実現した。
(2)構造の最適化
CNC型のポンプケーシング・主軸・メカニカルシール・軸受サイズの設計を見直し,構造を最適化した。
仕様
口 径:125~400 mm
モータ出力:2.2~1000 kW
吐出し量 :最大45 m3/min
全 揚 程:最大160 m
※「CNC型」は,当社グループ会社Ebara Machinery China Co., Ltd.で管理している機種記号です。
図1 CB型ポンプ Fig. 1 Model CB
当社のグローバル基幹機種であるEVMS型立形ポンプを搭載した給水装置(BN-VS型)を,既存の給水装置(BN-EV型[40・50 mm])の後継機種として製品ラインナップに追加し,2017年5月に販売を開始した。
特長
(1)省エネルギー
EVMS型のポンプ特性等によって,従来製品よりも大幅な選定範囲の拡大を実現した。小出力機種による選定が可能となり,省エネ効果が期待できる。
(2)互換性の確保
新機種は,従来製品(同口径-同出力機種)の配管の取合い寸法との互換性を確保している。
仕様
口 径:40・50 mm
モータ出力:5.5~18.5 kW
給 水 量:最大2946 L/min(6台並列運転形)
全 揚 程:最大250 m
図1 BN-VS型 Fig. 1 Model BN-VS
深井戸水中ポンプBHS型専用制御盤をモデルチェンジして販売を開始した。従来製品に比べて,表示・操作部の改良によって視認性と操作性が向上したほか,ポンプやモータの保護や履歴機能の強化を図り,信頼性を向上した。筐体サイズ,外部信号仕様については,従来との互換性をもたせ,取替えを容易とした。
特長
(1)深井戸水中ポンプの特性に適合した運転機能と各種保護機能の搭載
(2)ポンプ運転状態や警報内容がわかりやすい表示と,外部信号が個別に出力可能
(3)時計の性能改善による警報履歴機能とタイマー運転機能の向上
(4)水位制御回路が内蔵しているので,市販の液面リレーキットが不要
(5)設置環境による外乱サージを考慮し,信号ラインからの誘導雷サージ対策を強化
図1 深井戸水中ポンプ用制御盤EG3型 屋内型(左側)及び屋外型(右側) Fig. 1 Control panel for deep well pump model EG3 Indoor type (left) and outdoor type (right)
機名:350×250VPCS11M(図1) 2台
要項:365 m3/h×560 m×450 kW
東南アジア最大級のエチレンプラント(120万t/y)向けAPI610(アメリカ石油学会規格)に準拠した立軸多段ポンプである。
−33 ℃のエチレンを取り扱うため,ポンプケーシングには低温用炭素鋼を採用し,対低温衝撃性を高めている。また主軸は強度と低温特性を併せもつ析出硬化系ステンレス鋼を使用している。
エチレンは蒸気圧力が高く,また引火性があるため軸封部にはタンデムメカニカルシールを採用し,リザーバタンクをシール配管に設置することで,通常運転時の微小漏れの回収,及びメカニカルシール破損時の大量漏れの検知・防止を図っている。
図1 石油化学プラント向けエチレンポンプ Fig. 1 Ethylene pump for petrochemical plant
国内最大級のLNG受入基地で使用されるサブマージドモータポンプ4機種11台を一括で受注し納入した。
モータを含むポンプ全体が−162 ℃のLNGまたは−42 ℃のLPGに潜設される。
本ポンプは独自のスラストバランス機構(TEM)を採用し,全流量範囲で運転時の軸受スラスト力をゼロにできる特徴をもっている。
各ポンプの仕様は以下のとおりである。
・LNGプライマリポンプ 6ECR-122 3台
要項:278 m3/h×230 m-LNG×149 kW
・LNGセカンダリポンプ 6ECC-1212(図1) 3台
要項:182 m3/h×1670 m-LNG×650 kW
・LNG液出荷ポンプ 8ECR-15 3台
要項:725 m3/h×150 m-LNG×224 kW
・LPGポンプ 2ECC-0919 2台
要項:48 m3/h×1460 m-LPG×187 kW
図1 LNGサブマージドモータポンプ Fig. 1 LNG submerged motor driven pump
①横軸両吸込渦巻ポンプ(図1) 7台
口径:1300 mm×1000 mm
要項:17495 m3/h×73 m×593 rpm×4400 kw
②横軸両吸込渦巻ポンプ(図2) 2台
口径:800 mm×600 mm
要項:7110 m3/h×73 m×740 rpm×1810 kw
マレーシア向け石油精製プラントの冷却水ポンプである。
①のポンプは,ソールプレート形式(ポンプが基礎に沈み込む)のベースでは,初めて防音カバーを製作・設置している(図3)。
輸送・運搬がしやすいように分割構造になっており,現地で組み立てやすいように配慮した設計となっている。
図1 口径1300×1000 mm 横軸両吸込渦巻ポンプ Fig. 1 Horizontal double suction volute pump with 1300×1000 mm bore
図2 口径800×600 mm 横軸両吸込渦巻ポンプ Fig. 2 Horizontal double suction volute pump with 800×600 mm bore
図3 防音カバー Fig. 3 Noise enclosure
①横軸両吸込渦巻ポンプ(図1)1台
口径:600 mm×350 mm
要項:460 L/S×77 m×890 rpm×550 kw
②横軸両吸込渦巻ポンプ 1台
口径:400 mm×300 mm
要項:289 L/S×75.7 m×1190 rpm×400 kw
カナダ向けの水道配水用ポンプである。本ポンプは,米国のNSF61規格(国立科学財団規格 Drinking Water System Components - Health Effects/飲料水配管用部品系構成要素−健康への影響)に準拠したポンプ材料を選定,塗装し,顧客仕様に適合させている。
吸込口を下向きの構造にすることによって,ポンプ場の床面積を削減することが可能である。
図1 口径600×350 mm 横軸両吸込渦巻ポンプ Fig. 1 Horizontal double suction volute pump with 600×350 mm bore
①立軸斜流二相ステンレス鋼製缶ポンプ(図1) 12 台
口径:2100 mm
要項:835 m3/min×16.5 m×3000 kW
②立軸斜流二相ステンレス鋼製缶ポンプ(図2) 16 台
口径:1650 mm
要項: 525 m3/min×26.3 m×3000 kW
サウジアラビアの2400 MW級コンバインドサイクル火力発電所向け海水取水ポンプ(図1)と海水冷却水ポンプ(図2)であり,耐海水性を考慮したスーパー二相ステンレス鋼製の製缶ポンプである。
これらのポンプは,軸封部の摩耗によるメンテナンスを無くすことを目的に新規開発した非接触式軸封装置(図3)を採用している。
図1 2100 mm 立軸斜流二相ステンレス鋼製缶ポンプ Fig. 1 2100 mm vertical mixed flow duplex stainless-steel can pump
図2 1650 mm 立軸斜流二相ステンレス鋼製缶ポンプ Fig. 2 1650 mm vertical mixed flow duplex stainless-steel can pump
図3 非接触式軸封装置 Fig. 3 Non-contact type shaft sealing system
立軸両吸込単段ポンプ (水中モータ駆動)(図1)1台
口径:900 mm
要項:78.86 m3/min×132.6 m×2500 kW
米国向け水道水取水用の水中モータポンプである。
ポンプ全長は約130 mあり,2500 kWの出力を有している。これらは,当社の大型水中モータポンプとしては最長・最大出力の製品である。
羽根車に両吸込単段構造を採用し,高い吸込性能を実現するとともにハイドロスラスト力をバランスし,スラスト軸受に作用する負荷を低減したことによって,高揚程の水中モータポンプを実現した。
図1 900 mm 水中モータポンプ Fig. 1 900 mm submersible motor pump
機名:150SSP12M(図1) 2台
要項:76 m3/h×1162 m×530 kW
インド尿素プラント向けカーバメートポンプである。尿素を合成する過程で生成されるカーバメートと呼ばれる毒性と腐食性が強い特殊な液体を取り扱うポンプである。本ポンプの接液部には高い耐食性をもつ特殊材料を採用し,更に高圧仕様にも対応した構造になっている。ポンプは一重胴輪切形多段ポンプであり,メカニカルシールも高負荷に適した特殊シールを採用している。
世界各国に納入実績が多数あり,高い信頼を得ている高圧ポンプの一つである。
図1 尿素プラント向けカーバメートポンプ Fig. 1 High pressure cabamate pump for urea plant in India
機名:3×8 ¾ -10stg HSB(図1) 2台
要項:91 m3/h×3014 m×840 kW
インド尿素プラント向けアンモニアポンプである。尿素を合成するために必要な液体アンモニアを取り扱う重要なポンプであり,高圧・高速回転に適し,メンテナンス性にも優れた二重胴水平割形多段構造をもつ。メカニカルシールは,アンモニアポンプ専用に開発された特殊二重シールを採用している。
世界各国に納入実績が多数あり,高い信頼を得ている高圧ポンプの一つである。
図1 尿素プラント向けアンモニアポンプ Fig. 1 High pressure ammonia pump for urea plant in India
機名:6×10 ¼ -7stg HDB(図1) 1台
要項:3.8 m3/min×29.8 MPa×3700 kW
韓国製鉄所向けデスケーリングポンプである。鋼板を製造する熱間圧延工程は高温で行われるため,鋼板表面に酸化被膜(スケール)が生成する。このスケールを強力な水噴流で取り除くため,高圧水を発生させる特殊高圧ポンプである。熱間圧延のラインには断続的に鋼板が流れてくるため,鋼板が来ない期間は噴流する必要がない。流体継手付きのユニットにすることによって,ポンプの回転速度を制御し,消費電力を低減することができる。
本ポンプは,高圧・高速回転に適し,メンテナンス性にも優れた二重胴水平割形多段構造である。軸封には高圧・高速条件に適した非接触型のスロットルブッシュ構造を採用している。
図1 製鉄所向けデスケーリングポンプ Fig. 1 Descaling pump for steel mill in Korea
立軸斜流ポンプ(図1) 1台
口径:1650 mm
要項:6.0 m3/s×4.1 m×353 kW
水中軸受にセラミックス軸受,軸封部にメカニカルシールを採用した無注水仕様の雨水排水ポンプである。
ポンプ据付面から吸込ベル端まで2350 mmで全長が短い特殊な構造となっている。ポンプ全長が短く,原動機に立型ガスタービンを採用することによって,現地の土木建築構造物が非常にコンパクトである。
図1 1650 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 1650 mm vertical mixed flow pump
立軸斜流ポンプ(図1) 1台
口径:1200 mm
要項:220 m3/min×4.4 m×240 kW
水中軸受に特殊樹脂軸受,軸封部にフローティングシールを採用した無注水仕様の全速全水位先行待機型の雨水排水ポンプである。
全速全水位先行待機型は,急な豪雨に対応するため雨水がポンプ機場に来る前にポンプを運転状態で待機しておくことが可能で,近年多発するゲリラ豪雨に備え需要が高まっている。
本ポンプは,雨水がポンプ場に来る前のドライ状態でも注水することなく全速待機運転が可能な構造となっている。
図1 1200 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 1200 mm vertical mixed flow pump
立軸斜流ポンプ(図1) 1台
口径:1350 mm
要項:325 m3/min×11.5 m×890 kW
水中軸受に特殊樹脂軸受,軸封部にメカニカルシールを採用した全速全水位先行待機型の雨水排水ポンプである。
インペラの下方と上方に水中軸受を設けて待機運転中に発生する振動に対応している。雨水に海水が混入する場合があるので,吸込ベルに犠牲陽極を設置して長寿命化を図っている。また,据付場所のポンプベースにフレキシブルベースを採用して経年的な据付状況の悪化に容易に対応が可能である。
図1 1350 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 1350 mm vertical mixed flow pump
立軸斜流ポンプ(図1) 1台
口径:1500 mm
要項:390 m3/min×4.5 m×462 kW
歯車減速機を搭載した吐出曲胴を用い,軸封部にメカニカルシールを採用した全速全水位先行待機型の雨水排水ポンプである。
インペラ上方の水中軸受へ注水した潤滑水をメカニカルシールを用いて回収し,潤滑水として再利用していることが特徴である。
図1 1500 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 1500 mm vertical mixed flow pump
立軸斜流ポンプ(図1) 1台
口径:500 mm
要項:36.0 m3/min×45.3 m×400 kW
二段羽根車を採用した高揚程型上水道送水ポンプである。
水中軸受にセラミックス軸受,軸封部にメカニカルシールを採用した無注水仕様となっている。
フライホイール兼用カップリングを付属し回転体の慣性効果を増し,ポンプ停止時における回転速度の低下率を小さくして吐出し流速の減少度合いを下げることによって送水管路中の圧力低下を緩和し,過渡的な圧力変動(ウォータハンマ)を抑制している。
図1 500 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 500 mm vertical mixed flow pump
横軸軸流ポンプ(図1) 2台
口径:1000 mm
要項:138 m3/min×2.19 m×90 kW
軸封部にフローティングシールを採用した無注水型の排水ポンプである。
モータ駆動とディーゼル機関駆動を各1台設置し,不測の停電時にも排水機能を維持できるよう配慮されている設備向けに納入した。
横軸ポンプは主要部品が全て床上にあり,かつ上下二つ割のケーシング構造となっており,分解が容易である。ポンプだけでなく駆動機や減速機を含めてメンテナンス性に優れた設備構造を有している。
図1 1000 mm 横軸軸流ポンプ Fig. 1 1000 mm horizontal axial flow pump
機名:両吸込横軸ポンプ(図1) 1台
口径:500 mm×400 mm
要項:45.0 m3/min×38 m×355 kW
水平二つ割構造の両吸込横軸ポンプである。
本タイプのポンプは,主に上水,農業用水,工場内冷却水などの送水ポンプとして使用されており,運転時間が長いことが多いため,省エネルギーの観点から高効率化が求められている。
本ポンプはその要求に応えるために新開発された製品である。新規設計されたハイドロが使用されており,工場試験において当社従来比3ポイント超の効率アップを確認した。
今後,本シリーズ用に新規設計したハイドロを適用したポンプのラインナップを拡充していく。
図1 両吸込横軸ポンプ Fig. 1 Horizontal double suction centrifugal pump
型 式:GCH105A-60DL(図1) 2台
モータ出力:13000 kW
マレーシア火力発電所向け可変速流体継手である。本流体継手は,ボイラ給水ポンプ駆動用として使用され,型式GCHにおける最大モデルである。プラントの発電量に合わせて,出力回転速度を無段階に調整し,プラント運転効率の向上に寄与する。
図1 増速歯車内蔵可変速流体継手(型式GCH105A-60DL) Fig. 1 Geared variable speed fluid coupling (model GCH105A-60DL)
型 式:HCLV100(図1) 1台
モータ出力:2000 kW
台湾向けブロワ用可変速流体継手である。本流体継手は,ブロワ並びにファン駆動用として使用される標準的なモデルである。
建屋集塵用ブロワの駆動用として使用され,ブロワの風量及び圧力が必要な値となるように,出力回転速度を制御して使用される。
ブロワは既設流用であるため,据付寸法の制約等を考慮して設計を行った。
図1 可変速流体継手(型式HCLV100) Fig. 1 Variable speed fluid coupling (model HCLV100)
管内クーラ(図1) 2台
口径:1500 mm
要項:417 kW
取り外し可能なキャスタ付き伝熱管ユニットを備えた,ディーゼル機関冷却用の管内クーラである。
管内クーラを主ポンプ吐出し流路に接続し,ディーゼル機関一次冷却水をクーラ内側の伝熱管に通し,主ポンプの揚水によって冷却する構造となっている。冷却水ポンプやストレーナ,冷却水槽等の補機設備類が不要でシンプルな冷却系統となり,運転操作やメンテナンスも容易となる。また,一次冷却水はディーゼル機関と管内クーラの間を循環使用されるので,冷却水の補給量はわずかで済む。
図1 1500 mm 管内クーラ Fig. 1 1500 mm in-pipe heat exchanger
装設備内の乾燥炉の排熱やインク乾燥炉の排熱など高温空気を取り扱う用途に,一般産業用送風機SRTE4型(図1)の販売を開始した。空調設備用送風機の標準仕様と比較し,羽根車強度を見直し,軸受及び塗装仕様を耐熱仕様への変更などを行った。さらに,従来機種に対してVプーリ・ベルトの組合せを見直し,省エネルギー化を実現した。
特長
(1)空調設備用多用途ファンシリーズSRTE3型ターボファンシリーズ(取扱気体温度:150 ℃)に加え,高温仕様(取扱気体温度:300 ℃)シリーズをラインナップ。
(2)ベルト駆動の特性を生かし同一出力においても複数の回転数をもち,要項に対し最適な選定を可能としている。
(3)軸受に自動調心性に優れたピロー形軸受を採用
仕様
番 手:NO. 2~8
電源仕様:三相50/60/60 Hz,200/200/220 V
0.75~37 kW
風 量:600 m3/h~70000 m3/h
静 圧:220 Pa~3000 Pa
図1 一般産業用送風機 SRTE4型 Fig. 1 Light industrial blower model SRTE4
宮城県東部地方振興事務所(登米地域事務所)向けに排水ポンプ設備を納入した(図1)。本機場は,宮城県登米市を流れる迫川の左岸に位置し,受益面積2133 haの排水を担う機場である。
本地区の排水は低位部排水機場,高位部排水機場,第二排水機場の3機場で構成されていたが,低位部機場と高位部機場は建設から40年以上経過し,施設の老朽化と排水機能の低下が懸念されていた。本機場はこれら2機場を撤去・統合する形で新設された。
既設ポンプのうち,電動機駆動は巻線型電動機であったのに対し,新設では機器費が安価で維持管理が容易となるかご型電動機が採用された。かご型電動機の場合,始動電流が大きくなり,フリッカー(電圧降下により近隣の照明がちらつく現象)が懸念された。
そこで主ポンプ始動方式を,ドライ始動(ポンプ吸気工程時にポンプを始動)とすることで低始動電流での始動を可能とし,フリッカー対策を行った。
吸気方法を工夫しており(図2),吸気位置を従来のポンプケーシング頂部(吐出し側)からインペラより上流側の頂部(吸込側)にするとともに,旋回流を防止する旋回流防止機構と気液分離機構を設けている。この構成によって,ドライ始動時のケーシング内部の空気を確実に吸気して,実排水(満水)運転が行えるようにしている。
口径:1650 mm横軸斜流ポンプ 2台
要項:362.5 m3/min×4.3 m×350 kW(電動機駆動)
362.5 m3/min×4.3 m×360 kW(ディーゼル)
図1 五ヶ村堀排水機場 Fig. 1 Gokasonhori drainage pump station
図2 吸気方法の説明図 Fig. 2 Air vent structure
加茂川排水機場(図1)は,美濃加茂市と坂祝町を流れる加茂川が木曽川に合流する地点に設置され,大雨による木曽川の水位上昇で加茂川から木曽川への自然排水ができない時に強制的に排水する施設である。既設5 m3/s立軸斜流ポンプ3台に加え,2016年度に新たに5 m3/s立軸斜流ポンプ2台を増設し,総排水量25.0 m3/sのポンプ場である。
増設したポンプは,維持管理性の向上を目的としており,ポンプを設置したまま水中軸受の交換ができるように,ケーシング内の中間軸受を二つ割構造とした特徴のあるポンプである。
口径:1350 mm立軸斜流ポンプ 2台
要項:5 m3/s×5.6 m×440 kW(ディーゼルエンジン)
図1 加茂川排水機場 Fig. 1 Kamogawa drainage pump station
広渡排水機場(図1)は,遠賀川水系の支流である吉原川に設置されており,大雨等で支川が増水した際に遠賀川へ排出するための施設である。施設設置から40年以上経過し,老朽化に伴う設備の更新工事を実施した。工事は,旧建屋の撤去,新築が完了した2014年11月から約21箇月かけて3台の主ポンプ,減速機,主原動機クレーン設備,補機設備,並びに電気設備を更新した。また,既設の横軸軸流ポンプから横軸斜流ポンプへの更新に伴い,ポンプ重量が増加したため,別工事にて同期間内に土木構造物の耐震補強工事も実施し,機場全てがリニューアルされた。
機場の特色は次のとおりである。新築した建屋は鉄骨に軽量成形コンクリート板を張り付けた構造であるため,新設した搬入・据付用クレーンは建屋に荷重を掛けない自立型の7.5 t手動簡易クレーン(図2)を設置した。さらに搬入口前で機器受け渡し用の5 t手動ギャードトロリ付チェーンブロックを併用することで,主ポンプ等の分解・整備を円滑に進めることができる。
納入先:福岡県北九州県土整備事務所
吉原川系ポンプ:1800 mm横軸斜流ポンプ×2台
要項:6.84 m3/s×3.5 m×314 kW
前川系ポンプ :1500 mm横軸斜流ポンプ×1台
要項:5.1 m3/s×3.4 m×230 kW
図1 広渡排水機場 Fig. 1 Hirowatari drainage pump station
図2 手動簡易クレーン Fig. 2 Manual overhead crane
災害対策用排水ポンプ車3台を北海道開発局に納入した。当社の排水ポンプ車は,国土交通省地方整備局や自治体など,全国で多数活用されているが,北海道への納入は今回が初めてである。
排水ポンプ車は,排水ポンプ,制御盤,発電機や排水ホースなどの機器・機材一式を搭載しており,さまざまな現場で排水作業を行うことができる。また,近年では人力で設置可能な超軽量水中ポンプを採用することで,より機動性を高めたタイプが主流になっている。
今回の排水ポンプ車も超軽量水中ポンプを採用するとともに,クレーン装置を車両に装備することで,現地での荷下ろし等の作業性の向上が図られていることが特徴である。
車両総排水量:30 m3/min
車両総重量 :11 t未満(中型自動車)
搭載ポンプ :口径200 mm超軽量水中ポンプ×4台
ポンプ要項 :7.5 m3/min×10 m×18 kW
図1 排水ポンプ車 Fig. 1 Drainage pump vehicle
1250型ジェットファン(高風速)(図1) 4台
納入先:国土交通省北陸地方整備局長岡国道事務所
八箇峠トンネルは,新潟県十日町市~南魚沼市を結ぶ八箇峠道路に位置し,延長9.7 kmのうち2.84 kmが八箇峠トンネルとなる。現道の国道253号(八箇峠)は,急峻な地形から交通の難所となっており,また日本有数の豪雪地帯でもあり,八箇峠道路の開通による,交通障害の解消などの効果に,地元をはじめ高い期待が寄せられた。しかし,ガスや水の湧出等が予想される地盤地帯に近いことから,工事着工から約10年の歳月を要して開通を迎える難工事トンネルとなった。
主機であるジェットファン(図1)はインバータ駆動を採用し,必要な換気量に合せて回転速度を制御することによって,ランニングコストの低減に貢献する。また,インバータの高調波対策や,トンネル天井部に設置するジェットファン及び電線管類への落下防止対策を行うなど,設備の安全性向上に配慮している。
図1 高風速型ジェットファン(口径1250 mm) Fig. 1 High velocity jet fan
口径 3350 mm横軸軸流排風機 2台
1000型ジェットファン(高風速)(図1) 26台
換気方式:ジェットファン併用集中排気縦流方式
納入先 :国土交通省東北地方整備局
「雪に強く信頼性の高い道路」を実現するため,新たに開通した栗子トンネルは,福島・山形両県にまたがり,東北地方で最も長い約9 kmの自動車専用道路トンネルである。福島~米沢間の通行の「快適性」と「安全性」が向上し,地域経済の発展にも寄与する重要なトンネルである。
本工事では,換気塔に排風機2台,トンネル内の福島側坑口,山形側坑口にそれぞれ13台,計26台のジェットファンを有する換気設備を納入した。
本換気設備の特徴として,交通量計測設備(別途工事)からの交通量を基にトンネル内環境を維持しつつ,ランニングコストを最小限とする予測演算制御を採用していることが挙げられる。
図1 高風速型ジェットファン JFX-1000型 Fig. 1 High velocity jet fan model JFX-1000
エリオットグループは合計31台の遠心多段圧縮機を出荷した。仕向け地別では,アジア向け11台,中近東向け11台,北南米向け7台,ヨーロッパ向け2台である。
図1はクウェート向けで,蒸気タービン駆動の水素リサイクルガス圧縮機である。
納入先のプラントでは,重油脱硫装置を用いて高温高圧の条件下,重油を水素と反応させて,硫黄分,窒素分,金属分などの不純物を取り除いている。水素リサイクルガス圧縮機は,必要な高温高圧の水素ガスを送り込む役割をもつ。
図1 クウェート向け遠心多段圧縮機(型式25MB9) Fig. 1 Multi-stage centrifugal compressor for Kuwait (model 25MB9)
[エリオットグループ]
エリオットグループは合計13台の多段蒸気タービンと2台のガスエキスパンダーを出荷した。仕向け地別では,アジア向け5台,中近東向け6台,北南米向け2台,アフリカ向け2台(ガスエキスパンダー2台)となる。
仕向け先は,石油精製,並びに石油化学プラントにおけるプロセスガス圧縮機駆動用であり,図1は,アメリカ向けエチレンプラント用冷凍圧縮機駆動用多段蒸気タービン(型式SNV-9)である。大出力の冷凍圧縮機を駆動するため,高温高圧蒸気を駆動源とする復水型蒸気タービンであり,回転速度制御によって圧縮機の幅広い運転レンジに対応することができる。
図1 アメリカ向け多段蒸気タービン(型式SNV-9) Fig. 1 Multi-stage steam turbine for USA (model SNV-9)
[エリオットグループ]
ポーランドの某医科大学病院におけるトリジェネレーションシステム向けに納入した温水駆動吸収冷凍機である。本吸収冷凍機は,ガスエンジン発電機の排熱温水を駆動源とし,病院の空調のための冷水を供給している。排熱温水の有効利用によって消費電力量を削減し,熱源システム全体を効率向上させた。ポーランドはEU加盟国であり,本製品はCEマーキング適合品である。
仕様
型 式:RFHA032(図1) 1台
冷凍能力:800 kW{227.5 USRt}
冷 水:12 ℃→7 ℃
冷却水 :29 ℃→34.7 ℃
温 水:90 ℃→70 ℃
図1 温水駆動吸収冷凍機 Fig. 1 Hot water driven absorption chiller
[荏原冷熱システム(株)]
RTSF型(図1)は,超低温(約−20 ℃)にブラインを冷却することが可能な超低温ブラインターボ冷凍機である。一般空調用のターボ冷凍機では冷水を5 ℃程度,ブライン仕様のターボ冷凍機でも−5 ℃程度(低温)までの冷却が一般的である。RTSF型は,羽根車を2枚搭載した2段圧縮機2台をエコノマイザを介して直列に接続し,4段圧縮1段エコノマイザサイクルを採用することで,超低温冷却を可能としている。
従来はRTSS型を超低温ブライン用として製作していたが,新たな冷媒用に開発した高効率圧縮機を搭載することで,約10 %の効率を改善している。高圧ガス保安法の適用を受けない低圧冷媒を採用しており,同法に関わるエンドユーザ側の諸手続きや冷凍保安責任者の選任が不要である。さらに,分割搬入・現地組立も可能である。
この度,国内の化学プラントメーカ2社に,全6台の超低温ブラインターボ冷凍機RTSF型を納入した。現在,試運転を完了し,順調に稼働している。
図1 低温ブラインターボ冷凍機 RTSF型 Fig. 1 Centrifugal chiller model RTSF for low temperature brine
[荏原冷熱システム(株)]
タイ国バンコク近郊の某紡績工場向けに工場内空調用として,新型インバータターボ冷凍機RTXF型を納入した。RTXF型の納入事例として,国内・海外通じて初号機となる。また,当社のインバータターボ冷凍機の初の海外納入事例となる。紡績工場では,糸製造の生産性と品質の向上のため,工場内の温度及び湿度を管理している。特に,本工場は24時間稼働で冷却水温度が低くなる夜間も運転するため,熱帯地域でもインバータによる省エネルギー効果が期待できる。
製品特徴
新型インバータターボ冷凍機RTXF型は,当社の主力製品であるRTBF型に続く新機種として位置付けられ,荏原グループの最新技術を投入するとともに,構造を刷新して省エネルギー·コンパクト化·静粛運転·短納期対応を達成した。まずはターボ冷凍機の国内市場で最も出荷台数の多い冷凍容量域220 USRtから300 USRtをターゲットとして市場投入を行った。
仕様
型 式:RTXF030A(図1) 1台
冷凍能力:1055 kW{300 USRt}
冷 水:17 ℃→12 ℃
冷却水 :30 ℃→35 ℃
COP :8.3
図1 新型インバータターボ冷凍機RTXF型 Fig. 1 New inverter centrifugal chiller model RTXF
[荏原冷熱システム(株)]
本ヒートポンプはガス加熱炉に代わり原油を含む汚水を駆動熱源とする装置である。納入先は勝利油田埕東聯合ステーションである。
勝利油田埕東聯合ステーションでは,従来原油の精製に“熱分離+二段沈殿”による分離のプロセスを採用し,ガス加熱炉5台で三相分離器から出てきた原油を加熱していた。この方式はエネルギー消費量が多いだけでなく,多量の燃焼ガスを排出していた。
二段昇温型第二種吸収式ヒートポンプRWH型は,従来のガス加熱炉5台に代わり,56 ℃の含油汚水を駆動熱源とし,三相分離器以降の原油を加熱分離するための高温水を取り出すことができる。天然ガスの代わりに余熱を利用するため環境に配慮していることはもちろん,その経済的効果は著しく,年間で400×104 m3の天然ガス使用量を削減した。
仕様
型 式:RWH025RR/RWH119RR(図1) 1台
暖房能力:768 kW/4675 kW
取出熱水:80 ℃→90 ℃/70 ℃−80 ℃
駆動熱源:56 ℃→50.5 ℃(原油を含む汚水)
冷却水 :8 ℃→11 ℃
製品の機能・特徴
1.低位余熱の利用
低位余熱を駆動熱源にして,駆動熱源よりも30 ℃前後高い温水(高位熱源)を供給できる。
2.高耐食性
高耐食仕様であり,海水を含む不純物の多い水質でも運転可能。
3.コンパクト化
コンパクトな設計で,吊上げ及び運搬が容易。
4.蒸気生成
直接蒸気(0.8 MPa以下)を取り出すことも可能で,単機の最大蒸発取出量は15 t/hである。
5.インバータ制御採用
運転条件に合わせた内部作動流体(溶液)の流量自動調整が可能。
本設備では余熱利用の新ルートを開拓した。この設備は低位余熱を効果的に回収できるため,その経済的効果と社会的効果は大きい。
図1 二段昇温型第二種吸収式ヒートポンプ Fig. 1 Type II absorption heat pump with two-stage temperature boosting heatexchenger
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
武蔵野クリーンセンター(施設規模60 t/d×2炉)を2017年3月末に完成し,納入した。施設は高効率発電や高度排ガス処理などの高い性能に加えて,武蔵野市のコンセプトに基づく災害時を含めた周辺施設への熱電供給,景観に配慮した建築デザイン,見学者サービスの充実などの機能を備えたものとなっている。プラント性能の確保とこれらの機能の両立を図るとともに,狭小な敷地に建設するために施設のコンパクト化なども行っている。
本施設はエネルギー供給施設として,高効率発電による周辺施設への熱電供給を行い,更にコジェネレーション設備(常用防災兼用ガスタービン発電設備)を設置することで,災害時にも周辺施設へ熱電供給を可能としている。排ガス処理設備には,重曹噴霧による乾式排ガス処理を採用し,塩化水素8 ppm以下の厳しい自主基準値に対応している。施設の外観は,テラコッタルーバーと壁面緑化の組合せによって,かつての武蔵野の雑木林をイメージしたデザイン(図1)となっている。また,施設の大きさは各辺が約55 m,高さを約15 mに抑え,形状はフラットな四角形とし,工場を感じさせないデザインをつくり出し,2017年度のグッドデザイン賞を受賞している。施設内には,2階だけで主要設備が見学可能な周回通路(図2)を設けている。最大約6 mの高さの大きな窓からごみ処理を行う設備を間近で見ることができ,設備の動画が見れるモニタなどを設置し,見学者がわかりやすいように配慮している。さらに,自由見学ができ,個人の訪問者でも,ごみ処理施設についての理解を深められるようになっている。
図1 武蔵野クリーンセンター 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Musashino City, Tokyo Metropolitan
図2 見学者周回通路 Fig. 2 Visitor’s route
[荏原環境プラント(株)]
既設の清掃工場を建て替え,施設規模381 t/dの焼却設備と15 t/5 hの粗大ごみ破砕設備からなる高効率ごみ発電施設(ふなばしメグプラ)及び余熱利用施設(ふなばしメグスパ)を,2017年3月末に千葉県船橋市に納入した。高効率ごみ発電施設では,8800 kWの蒸気タービン発電機を有し,その大部分を売電している。また,排ガス再循環システムと,低空気比運転を組み合わせることで高温燃焼を安定して継続し,低COと低NOxを実現できる環境負荷の低い施設となっている。
また,地域に根付いた廃棄物処理事業として,ごみ発電と同時に隣接する余熱利用施設へ高温水を供給するなど,グリーンエネルギーを活用し,循環型社会形成に貢献している。
余熱利用施設は,各々2つの大浴槽と露天風呂,2種類のサウナがある温浴施設と,歩行浴を行う温水プールとジェットマッサージを完備した健康浴施設を有している。その他にも,ヨガ等を行える軽運動室やトレーニングルーム,休憩コーナー,地元の野菜を使った定食などを提供する軽食コーナー,地産の野菜などを販売する産地コーナーがあり,市民の交流と健康の保持増進を促進する施設として,地域の活性化に貢献している。
図1 船橋市北部清掃工場 Fig. 1 General view of Funabashi Hokubu incineration plant
図2 余熱利用施設外観 Fig. 2 General view of waste heat utilization facility
[荏原環境プラント(株)]
当社が建設した桐林クリーンセンター(ガス化溶融炉施設)の建替えとして,南信州広域連合に「稲葉クリーンセンター(93 t/d(46.5 t/24 h×2炉))」(図1)を納入し,2017年11月末に竣工した。本施設では,エバラHPCC21型ストーカシステムを採用し,3 MPa×320 ℃ボイラの採用で最大1280 kWの発電を行い,余剰電力は広域連合圏域内の公共施設(小中学校等)へ当社の新電力事業者にて供給することで,電力の地産地消を実現している。ごみ受入正門から計量棟,管理棟,工場棟を一体的に整備し,建物全体が和風なイメージに統一された美しい外観となっている。
本施設は既存施設から搬入ごみ性状が変更となる(廃プラスチックも焼却対象となる)ことを踏まえ,1炉稼働時でも外部から電力購入せず運転が可能となるように施設設計を行い,実際に稼働していることが特長である。
本施設はDBO事業であり,今後20年間の運営も当社にて行っていく予定である。
図1 稲葉クリーンセンター 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Minami Shinshu Wide Area Union, Nagano
[荏原環境プラント(株)]
当社が建設した遠軽町清掃センターの建替えとして,遠軽地区広域組合に「えんがるクリーンセンター[32 t/16 h(16 t/16 h×2炉)]」(図1)を納入し,2017年12月末に竣工した。
本施設は,既存施設から搬入ごみ性状が変更された(廃プラスチックも焼却対象となる)ことに対応した施設であり,ストーカ式焼却炉+水噴射式燃焼ガス冷却室設備を採用した准連続式のごみ焼却施設である。
また,本施設はエネルギー回収推進施設としても熱回収率10 %以上の能力を有しており,回収熱は場内の給湯,暖房及びロードヒーティングで利用している。さらに,場内で発生した排水も全てプラント用水として再利用するクローズドシステムを採用するとともに,雨水(融雪水)を250 m3の雨水(融雪水)貯留槽で一時貯留し,積極的にプラント用水として利用しており,環境保全と資源の有効利用を実現している。
図1 えんがるクリーンセンター 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Engaru town, Hokkaido
[荏原環境プラント(株)]
1996年3月の竣工から18年が経過したため,老朽化した設備を更新し,施設の延命化を図った。
その際,蒸気タービン発電機を更新することで,発電出力の増強を図り,省エネルギー機器の採用や低空気比運転によって施設内の消費電力の削減を行った。
この結果,従来施設と比較して大幅にCO2排出量を削減することができ,低炭素社会に寄与する施設となった。
納入先:旭川市(1996年3月竣工)
施設概要(図1)
公称能力 :140 t/24 h×2炉
焼却炉方式 :ストーカ式焼却炉
燃焼ガス冷却方式:廃熱ボイラ式
タービン出力 :1800 kW⇒2100 kW(改良後)
事業概要
受入供給設備 :ごみクレーンバケット更新
燃焼設備 :ストーカ・火格子一部更新
燃焼ガス冷却設備:ボイラ水管一部更新
余熱利用設備 :蒸気タービン発電機更新(図2)
蒸気復水器ファン電動機更新
通風設備 :押込送風機,誘引送風機電動機更新,排ガス再循環送風機追加
その他設備 :空気圧縮機更新
電気計装設備 :DCS更新,排ガス分析計更新
工期:2013年7月~2017年2月
循環型社会形成推進交付金事業(交付率1/2)
CO2削減率実績値 36.0 %(保証値20 %以上)
図1 旭川市近文清掃工場 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Asahikawa City, Hokkaido
図2 更新後の蒸気タービン発電機 Fig. 2 New steam turbine generator after replacement
[荏原環境プラント(株)]
本施設(図1)は1989年3月の施設稼働から26年が経過し,老朽化した設備の延命化を図った。更新に伴い省エネルギー機器を導入するとともに,市民持込みごみ受入施設新設,C系炉解体後跡地に灰積出棟を新設した。CO2排出量削減では,ダイオキシン分解装置の撤去及び集じん装置のろ過面積を大きくし,排ガス圧力損失低減とそれに伴う通風設備の動力低減を行い,大幅なCO2削減を達成した。
納入先:所沢市(1989年3月竣工)
施設概要(図2)
公称能力 :73.5 t/24 h×2炉
焼却炉方式 :流動床焼却炉
燃焼ガス冷却方式:水噴射式
事業概要
受入・供給設備 :(市民持込みごみ)受入施設新設
燃焼設備 :給じん装置,炉床散気装置更新
ガス冷却設備 :ガス冷却室耐火物更新及び灰排出機更新,減温用空気加熱器更新
排ガス処理設備 :集じん装置,触媒脱硝塔ケーシング更新
通風設備 :押込送風機,二次送風機,減温用送風機更新
誘引送風機A系更新,B系電動機だけ更新
灰出設備 :灰積出棟新設及び灰積出設備更新
電気計装設備 :DCS更新
建築設備 :工場棟及び管理棟屋上防水施工,外壁腰壁塗装,工場棟(一部)屋根折板葺き,
工場棟照明LED化,空調設備更新
工期:2014年9月~2017年3月
循環型社会形成推進交付金事業(交付率1/2)
CO2削減率実績値 38.6 %(保証値20 %以上)
図1 所沢市西部クリーンセンター 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Tokorozawa City, Saitama
図2 プロセスフロー Fig. 2 Process flow
[荏原環境プラント(株)]
2000年3月の竣工から15年が経過したため,老朽化した設備を更新し,施設の延命化を図った(図1)。
主要な設備機器の更新・改良及び余剰蒸気を有効利用し,発電量を増強した抽気タービン発電機に更新することによって,施設の長寿命化に加えて省エネルギー化を図った(図2)。本工事の結果,二酸化炭素排出量の削減量を大幅に削減し,施設の運営費削減に寄与することができた。
納入先:伊勢崎市(2000年3月竣工)
施設概要
公称能力 :70 t/24 h×3炉
焼却炉方式 :流動床焼却炉
燃焼ガス冷却方式:廃熱ボイラ式
タービン出力 :1980 kW⇒2700 kW(改良後)
事業概要
受入供給設備 :ごみクレーン更新
燃焼設備 :給じん装置更新,耐火物部分更新
燃焼ガス冷却設備:減温装置更新,ボイラ水管部分更新
排ガス処理設備 :有害ガス処理装置更新
余熱利用設備 :蒸気タービン・発電機
通風設備 :押込送風機更新,二次押込送風機更新,誘引通風機更新
灰出設備 :不燃物搬送装置更新,混練成形機更新
電気計装設備 :DCS更新,排ガス分析計更新
工期:2014年9月30日~2017年3月15日
循環型社会形成推進交付金事業(交付金1/2)
CO2削減率実績値 25.1 %(保証値20 %以上)
図1 伊勢崎市清掃リサイクルセンター21 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Isesaki City, Gunma
図2 更新後の蒸気タービン発電機 Fig. 2 New steam turbine generator after replacement
[荏原環境プラント(株)]
1994年10月の竣工から20年が経過した。設備を更新し施設の延命化を図った(図1)。
主な内容は経年的老朽化が進行した機器の更新(図2)と,発電設備能力を増強した。この結果,発電電力量が増加し,省エネルギー機器の導入やエネルギー回収設備の改善によってCO2排出量削減に大きく寄与している。本施設は低炭素社会や循環型社会実現に貢献していく。
納入先:市原市(1994年10月竣工)
施設概要
公称能力 :110 t/24 h×2炉
焼却炉方式 :流動床焼却炉
燃焼ガス冷却方式:廃熱ボイラ式
タービン出力 :1500 kW⇒2500 kW(改良後)
事業概要
受入供給設備 :ごみクレーン更新
燃焼設備 :給じん装置,耐火物部分更新
燃焼ガス冷却設備:ボイラ水管部分更新
排ガス処理設備 :ろ過式集じん器更新
余熱利用設備 :蒸気タービン・発電機,復水器更新
通風設備 :押込送風機,誘引通風機更新
灰処理設備 :灰クレーン,混練成形機更新
電気計装設備 :DCS,受変電設備更新
建築設備 :外壁・煙突塗装,屋根防水,工場棟照明
工期:2014年9月18日~2017年3月3日
2014年循環型社会形成推進交付金事業(交付金1/2)
2015,16年二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金事業(交付金1/2)
CO2削減率実績値 93.4 %(保証値20 %以上)
図1 市原市福増クリーンセンター 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility in Ichihara City, Chiba
図2 更新後のごみクレーン Fig. 2 New waste crane after replacement
[荏原環境プラント(株)]
中国上海市 松江区及び奉賢区のごみ焼却施設にストーカ式焼却設備を納入し,2016年10月~11月に引き渡しを完了した。施設規模は,松江区が500 t/d×4炉(2000 t/d),奉賢区が500 t/d×2炉(1000 t/d)である。荏原グループは,ごみ焼却関連設備の基本設計を行うとともに,焼却炉周りの主要機器を納入した。
両施設は,荏原グループが中国大陸において納入した大型ストーカ焼却炉として,9件目と10件目に当たる施設であり,発熱量の低い中国のごみ性状に適合させた炉形状・構造を採用している。1炉当たりのボイラの最大蒸発量は52 t/hで,4 MPa×400 ℃の高温高圧ボイラを採用した。
また両施設とも,中国における最も厳しい排ガス規制値が適用されたため,乾式処理と湿式処理を組み合わせた高度排ガス処理システムを採用している。これは,比較的単価の高い湿式処理用の薬剤(水酸化ナトリウム)使用量を抑制するべく,前段で安価な薬剤(消石灰)を用いた乾式処理を行う,経済性の高いプロセスである。
さらに,湿式有害ガス除去装置出口排ガスを蒸気で加熱する代わりに,湿式処理装置入口排ガスで間接的に加熱するガス−ガス熱交換器(GGH)を採用することで,蒸気使用量を抑え,発電効率の向上を図っている。
図1 上海市松江区ごみ焼却施設 Fig. 1 General view of Songjiang waste-to-energy plant
図2 上海市奉賢区ごみ焼却施設 Fig. 2 General view of Fengxian waste-to-energy plant
図3 設備フロー図 Fig. 3 Facility flow
項目 | O211%換算値 | O212%換算値 |
ばいじん | ≦10 mg/m3(NTP) | ≦9 mg/m3(NTP) |
硫黄酸化物(SOx) | ≦50 mg/m3(NTP) | ≦15.8 ppm |
窒素酸化物(NOx) | ≦200 mg/m3(NTP) | ≦87.7 ppm |
塩化水素(HCl) | ≦10 mg/m3(NTP) | ≦5.5 ppm |
一酸化炭素(CO) | ≦50 mg/m3(NTP) | ≦36.0 ppm |
ダイオキシン類 | ≦0.1 ng-TEQ/m3(NTP) | ≦0.09 ng-TEQ/m3(NTP) |
[荏原環境プラント(株)]
岩手県北上川浄水場向けにステンレスノッチチェーン式汚泥掻寄機を納入し,2017年12月に稼働を開始した(図1)。2018年6月に2連1駆動2台及び3連1駆動2台全てを納入完了予定である。
本製品は,椿本チエイン(株)との共同研究によって開発したチェーンを採用している。下水処理場の最初沈殿池では濃硫酸が発生し,掻寄機の樹脂チェーンを破断させることがある。また,間欠運転の浄水場では,停止中に沈殿池で汚泥が圧密し,再始動時に汚泥抵抗の過負荷によって運転が停止してしまうことがある。これらの問題を解決するために,共同研究によって汚泥掻寄機の樹脂チェーン重量と同等程度にまで軽量化し,強度・耐摩耗性・耐酸性に優れたステンレスノッチチェーンを開発した。
他の納入実績として,2015年3月に兵庫県高砂市伊保浄化センターの最初沈殿池に2連1駆動1台(図2)を初号機として納入した。また,北上川浄水場以外の国内浄水場向けに2018年1月に3連1駆動4台を納入した。
機器仕様
適 用 設 備 :下水処理場の最初沈殿池
または浄水場の薬品凝集沈殿池
駆 動 方 式 :1連1駆動,2連1駆動,3連1駆動
掻寄チェーン仕様:形式 ステンレスノッチチェーン
材質 SUS304またはSUS821L1
特長
(1)従来機器より強度・耐酸性が向上し,チェーン破断のリスクを軽減
(2)機器重量が軽いため低動力で省エネルギー化を実現
(3)施工が簡単な構造で施工期間を短縮
(4)独自機構の地震の揺動対策,汚泥の過負荷に対応した自動過負荷防止機構を採用
図1 北上川浄水場向け Fig. 1 For Kitakamigawa water purification plant
図2 伊保浄化センター向け Fig. 2 For Iho sewage treatment plant
[水ing(株)]
藤沢工場ものづくり50年の歴史
1966年頃の藤沢工場
縁の下の力持ち 高圧ポンプ -活躍場所編ー
100万kW火力発電所内で活躍する50%容量ボイラ給水ポンプ
RO方式海水淡水化用大容量、超高効率高圧ポンプの納入
長段間流路内の流線と後段羽根車入口の流速分布
縁の下の力持ち ドライ真空ポンプ -真空と真空技術の利用ー
真空の領域と用途例
座談会 エバラの研究体制
座談会(檜山さん、曽布川さん、後藤さん)
縁の下の力持ち 標準ポンプ -暮らしを支えるポンプー
標準ポンプの製品例
座談会 未来に向け変貌する環境事業カンパニー
座談会(三好さん、佐藤さん、石宇さん、足立さん)
世界市場向け片吸込単段渦巻ポンプGSO型
GSO型カットモデル
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