檜山 浩國*
曽布川 拓司*
後藤 彰***
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エバラ・オープン・イノベーション,エバラ・オープン・ラボラトリーというユニークな研究体制を発足・継続してきた荏原製作所。今回は,新たな試みもスタートしている研究体制の現在と未来像について伺いました。
——ユニークな手法で成果を挙げているという荏原製作所(以下,エバラ)の研究体制についてお伺いします。
檜山:当社は,本社機能のコーポレートと風水力機械カンパニー,環境事業カンパニー,精密・電子事業カンパニーの3つのカンパニーがそれぞれの事業を統括しており,製品開発は各カンパニーが担っています。「エバラ・オープン・ラボラトリー(EOL※1)」をコーポレート研究組織として2014年に立ち上げ(図1),製品の基盤技術の研究を実施しています。EOLの研究員の多くは3カンパニーからの兼任で研究を行っています。カンパニーの製品開発をしながら,その開発に関連するテーマの研究を行うという体制です。
図1 EOLの仕組み
※1 エバラ・オープン・ラボラトリー(EOL)
2014年に始めたコーポレートの研究組織。荏原グループに開かれた研究組織として,研究員の多くはカンパニーの開発者や設計者が兼任している。
——企業の研究所というのは,開発や生産,営業部門と少し距離があって,研究者がコツコツと研究しているイメージがあります。
檜山:かつては,リニア・モデルという研究開発のスタイルがあって,1つの会社の中で,基礎研究,応用研究,開発,設計,製造と進み,製品化して,販売するという一気通貫のやり方でした。今日では製品が複雑化し,技術革新のスピードが上がって製品の寿命も短くなり,ひとつの企業の中だけで全部をまかなうことが困難になっています。米国ではベンチャーが台頭し,それをいかに取り込むかが新技術開発のカギを握るようになりました。独立した研究所の中だけで研究を進める時代ではなくなりました。
エバラの総合研究所も時代に合わない体制になり,2009年に解散しました。そこから新しい研究方式を模索して現在のEOLの形になりました。
——解散したんですか?それはなかなか思い切った判断ですね。
曽布川:私は当時,カンパニーにおりましたが驚きました。磁気浮上型超高真空ポンプやCMP※2など技術的に難易度の高い製品を開発する時は,いつも総合研究所が貢献していたからです。当社の強みは,高度な流体シミュレーションや最適化の技術,ロータダイナミクス※3,キャビテーション※4や材料の研究など,これらはすべて総合研究所で培ってきた技術です。解散してしまっていいのだろうかと思いました。
後藤:総合研究所は,荏原製作所から独立した会社組織でしたが,どうしても,製品を開発して販売しているカンパニーとのかい離が生じてしまうことがありました。製品との距離が遠いため,総合研究所は基礎研究をやって5年先10年先の貢献を考えるようになりました。しかし,カンパニーでは今日明日の事業課題に直面している。海外市場では,国内よりも更にスピードが要求されます。総合研究所は事業に対する感度が低くなり,そのようなニーズに応えられなくなっていたと思います。
曽布川:カンパニー側から見ると,総合研究所は敷居が高いと感じることが度々ありました。製品に発生した問題を解決するヒントを掴みたいと,上司のツテをたどって相談しに行っても具体的な提案をしてもらえない。今日明日をどうするかという切羽詰まった状況で相談しているのに,それを受け止めてもらえないことで研究所が遠いと感じたのだと思います。
後藤:会社を創業した頃は,設計者が研究開発者でもあったし,会社全体の事業を把握していましたが,分業が進み,距離ができていったのだと思います。
檜山:そこで,一旦研究所を解散して,新しい研究方式を模索することになったわけです。
曽布川:今のエバラ・オープン・ラボラトリーの形になり,本当に距離が縮まりました。解散して研究者がカンパニーに入っていったことがいい方向に作用していると思います。
後藤:研究者が一番うれしいことは,自分の研究が世に出ることです。ところが,ずっと研究所で研究だけを行っていると,どうすれば世に出せるかがわからない。カンパニーに行ったことで研究で培った知識をどう事業に役立てられるかがわかりますから。そういう効果は大きかったと思います。
※2 CMP(Chemical Mechanical Polishing(またはPlanarization))
化学機械研磨(または平坦化)。化学的な作用がある研磨剤・研磨液により,機械的研磨と化学的研磨を同時に行って研磨面を平坦にする技術。
※3 ロータダイナミクス(rotor dynamics)
ポンプやタービンなどの回転する機械の動的特性。
※4 キャビテーション(cavitation)
流れの中で液体の圧力が低下し沸騰することによって気泡が発生・消滅を繰り返す現象。ポンプの不安定現象の原因となる。
——解散したということは,研究所という拠点がない時期があったということですよね。
檜山:ほとんどの研究者は,カンパニーに配属になって,製品開発や設計や調達や生産技術など,様々な仕事をすることになりました。
ただ,経営陣も私たちも研究所という組織がなくていいと考えていたわけではなくて,どのような体制で再開するのかを模索していました。
以前から,エバラ全体の中長期研究開発戦略の策定やコーポレート予算で実施する研究の承認などを行う研究開発委員会という会議体があり,総合研究所がなくなった後もあえて継続していました。解散して一年経った時に,その研究開発委員会で研究予算を承認いただきました。予算は1500万円でしたが,これで「エバラ・オープン・イノベーション(EOI)※5」を始めました。簡単に言うと,大学などの外部研究機関と共同研究するということです。エバラの事業部門の研究担当者を決めて,外部機関の研究者を探して,研究費をコーポレート予算から出す,というものです。最初は,研究相手の探索,契約,会議の設定や議事録作成までコーポレートで行い,事業部門担当者には研究推進に専念してもらえるようにしました。
辻村さん(執行役専務)の「小さく生んで大きく育てる」という方針があり,これはとてもいい方法と思っています。まず小さく始めてみる。それを大事に育てていく。
しかし,研究所はないし,研究者もいない。研究者を呼び戻したかったが,それぞれの場所で活躍していて呼び戻せませんでした。そこで,たった5件の研究テーマでしたが,外部研究機関と連携することから始めようということになりました。
大学の先生方は,産業界が何を求めているか知りたがっていて,一緒にやりたいと言ってくださった。EOIをスタートした最初の年は,後藤さんに相談して,カンパニーで実施していた風水力事業に関するテーマのうち,以前から大学と共同でやっていた5テーマを切り出してもらいました。
後藤:風水力事業のコア技術であり,絶対継続しなければならないキャビテーションや海水腐食などのテーマを選びました。
※5 エバラ・オープン・イノベーション(EOI)
2010年に始めた研究の仕組み。エバラの研究者と,国内外の研究機関が組織の壁を超えてオープンに連携。
——このようにして立ち上げた基礎研究の成果の事例を教えてください。
後藤:都市のゲリラ豪雨のような急激な雨水流入に対応したり,プラント設備に大量の海水を供給するために,立軸の巨大なポンプが用いられます。運転のスピードを上げることや,摩耗しにくい軸受が求められますが,こうしたニーズは振動トラブルのリスクを増大します。
中東の現場に行った時にも実感しましたが,競合メーカも振動問題には苦労しており,ちょっと補強したり,基礎を手当てしたりして,対処療法的に振動問題を収めているような状況でした。
その厄介な問題を,基礎的なところから研究して根本的に解決しようということで,大学の研究室と共同で研究を始めました。その後も研究を継続し,軸受摩耗のメカニズムを解明し,鉛直ロータ系の振動理論を構築するなどし,軸受の耐摩耗性を向上させ,立軸ポンプの対振動安定性を抜本的に強化することができました(図2)。
図2 基礎研究の成果の事例
——基礎研究の成果によって,ポンプのいろいろな側面を改良できたのですね。他の事業ではいかがでしょうか?
檜山:2年目は,精密・電子事業からもテーマを選びました。ゼロからのスタートでもあり,これからは日本中の叡智を結集して技術を構築しようと考えました。
精密・電子事業には,まず,CMPという大きな研究対象があります。半導体のウェーハ(半導体の基板)は,その表面を平らにするために,機械的に磨くだけではなく,化学的な作用のある研磨剤を使って研磨していきます。これを化学機械研磨,CMPと言います。CMPの研究を始めるために,国内で研究している先生方に次々と共同研究をもちかけて,特に意識して若い先生方を味方につけようとしました。
細胞中の電位計測技術の研究をしている大学の先生に,半導体集積回路の液中での配線内電位を測る技術への応用を研究していただいたのもその例です。
曽布川:材料によってはCMPの研磨剤で腐食することがあります。そこで,この先生に,原子間力顕微鏡という微小な力を計測する顕微鏡を使って,ウェーハ上の電気的な状態を計測し,材料が腐食する可能性を予測する技術を開発いただいたのです。これは,実際のCMPプロセス開発に極めて有効な手段となりました。事業に対して研究が成果を上げた事例です。
後藤:研究をオープンにしたことで,異分野の研究も取り入れやすくなりました。
檜山:流体が専門の先生には,ウェーハの表面についた水滴(液滴)がどのように蒸発するかについて研究していただきました。CMPはウェーハを研磨した後に,表面についた微細なごみを洗い落とします。その際に水滴が残ってしまうと,そこに酸素が入ってウォータマークが発生して回路に欠陥ができてしまいます。さらに,ウェーハのスピン乾燥では,端に付着した水滴と面に付着した水滴では乾燥の仕方が変わってしまいます。そこで,流体機械で使われている可視化の技術を応用して観察し,蒸発の過程を数式化してもらいました。マクロな世界の技術をミクロな世界に応用した事例です。これができると,どのような条件を満たす環境下で,洗浄,乾燥を行えばいいかが分かるので,半導体の製造に貢献することができます(図3)。
3年目は,環境事業からもテーマを選びました。このように,エバラ・オープン・イノベーションで,少ない研究費でもこれだけの成果が上がるんだという実績を作れました。現在は,32大学56研究室と共同で50テーマを実施しています。
しかし,EOIだけではできないこともあります。まず,外に出せない社外秘の研究があって,それはこの体制では扱えないわけです。それに,外に委託していたのでは,社内に新しい研究者が育たない。それから,長期間継続しないとできない研究もあります。継続して研究するためには,社内に研究者が必要ですし,しっかりした研究体制も必要です。それで,いまこそ新しい研究体制を作ろうということになりました。
図3 異分野技術の応用事例
——そして,現在の形になったんですね。
檜山:それが,今の研究体制,エバラ・オープン・ラボラトリーです。2010年にエバラ・オープン・イノベーションを始めて4年,EOIの成果が社内で認められつつあるという時期でした。ただ,前の総合研究所と同じになってはいけない。
——難しい課題ですね。何か新しい仕組みを作られたんですか?
檜山:大きく3つの仕組みを作りました。1つ目は先程お話したように,「小さく生んで大きく育てる」ため,研究者は研究テーマをもってカンパニーの実務も担当しながら兼務で来てもらいます。2つ目に,基盤技術,製品コア技術,解析・分析技術の3つの研究部を立ち上げました。3つ目として,メンター制を導入しました。カンパニーでの実務経験と研究経験のある各カンパニーの技術・開発責任者にメンターになってもらい,各研究部の研究者に対して研究の指導や助言をしてもらいます。
ここでは,早く成果を出すことをこれまで以上に意識しました。例えば,早く成果を出せるテーマを選んで重点テーマとし,それに集中して,製品競争力の強化につなげるようにしました。それから,名前にもあるとおり,「オープン」にすること。つまり,社内や社外にも開けた研究組織であることを目指しました。そこで,社内の人が研究テーマをもって集まり,社外の研究者ともオープンに連携できる仕組み作りを行いました。
——研究テーマはどのように決定するのでしょうか?
檜山:エバラ・オープン・ラボラトリーを立ち上げる時に,エバラ全体から研究テーマを集める仕組みを作りました。カンパニーの皆さんから研究テーマを集めます。現在,このようなことに困っている,このような研究をしたいなどアイディアを集めます。審査で選ばれた研究テーマは,そのアイディアを出した人が研究するという仕組みです。カンパニーの中でも研究はできますが,すぐに成果が出るものでないと取り組みにくいですから。おのずとそういうテーマが集まってきます。
早く成果を出してカンパニーにもち帰って事業に役立ててもらえるように,エバラ・オープン・ラボラトリーの管理スタッフがいて研究者をサポートしています。
——研究者が行き来することで,カンパニーと研究所の距離が近づいたのですね。
曽布川:2週間に1回,研究テーマの進捗報告会を行っています。この進捗報告会には社内のだれでも参加でき,自分の事業に関係があるテーマや興味のあるテーマを聞くことができます。この取組も,研究者とカンパニーの人を近づける効果をもたらしています。
さらに,年に1回,エバラ・オープン・ラボラトリーの研究発表会を開催しています。全ての研究テーマのショートプレゼンテーションと併せて,ポスターセッションを行います(図4)。誰でもポスターの前で研究担当者とその研究について直接ディスカッションすることができます。設計,開発の人とも会話することができ,異分野の研究者同士との横のつながりを作ることができます。とてもいい効果をもたらしていると思います。
図4 研究発表会のポスターセッション
——ラボラトリーには専任の研究者はいるのでしょうか?
檜山:専任の研究者もいます。専任者を段階的に増やしているところです。新しい研究者も採用しています。専任の研究者がいないと成り立たない部分もあります。製品を支える重要な基盤技術では,高いレベルの専門家がいて,継続した研究で技術を深堀りするとともに,後輩を育成していく必要があります。そういう部分を専任の研究者が行っています。
——新体制で研究所の雰囲気は変わりましたか?
曽布川:一番大きい変化はカンパニーとの一体感です。いろいろな事業の人が集まってきて研究することで,事業側からは誰がどこでどんな研究をしているかが,研究側からはどの事業部で誰がどんな開発をしているかが,お互いに分かるようになり顔が見える関係になりました。その結果,カンパニーの枠を超えた連携,技術の横展開も可能になりました。
——新体制での具体的な成果をご紹介ください。
後藤:例えば,風水力機械カンパニーがもっていた技術を,環境事業カンパニーに展開した例があります(図5)。
図5 先端基盤技術の横展開の事例
風水力機械カンパニーは,ポンプの設計を最適化する先進的な技術を保有しています。最適化というのは,いくつもの要求からポンプを設計する時に,一番いい設計を見つけ出すことです。ポンプを作る時は,効率良く,安定して,吐出し口を閉めた時の圧力は低くといった要求があります。これらは,トレードオフの関係にあり,全部を満たすことはできないので,その中のベストのバランスを探し出さなければなりません。それが,設計最適化の技術です。この風水力機械カンパニーで開発した技術を,環境事業カンパニーのごみ処理場のストーカ式焼却炉の設計に展開しました。焼却炉では効率向上と,窒素酸化物や一酸化炭素などトレードオフ関係にある排ガスを減らすことが求められます。相反する要求に対して最適な設計解を見つける上で,大変有効な技術であることが分かってきました。
曽布川:精密・電子事業のドライポンプ※6の温度解析シミュレーションのテーマもかなりいい線まで来ています。ドライポンプは,半導体の製造などに使う真空ポンプですが,半導体で使用する反応性の高いガスを排気するので,ポンプ内でガスが固化しないように流路温度を一定値以上に保つ必要があります。一方,ポンプの排気性能を保つためロータとケーシングのすきまは非常に狭く設計されているため温度が上がり過ぎると接触してしまいます。このためポンプ内の流路温度を適切に管理する必要があるのですが,ポンプの内部温度の予測が難しいため,実際にポンプを試作して温度を確認しています。これが数値解析で予測できるようになると,ポンプの設計を変えた場合やプロセス条件が変わった場合に短期間で確実に開発を完了させられるようになります。期待されている技術です。これは,社外に出せない研究なので,エバラ・オープン・ラボラトリーでないとできなかったものです。
後藤:オープンに研究するということでは,さきほどお話した立軸ポンプの振動で,エバラ・オープン・ラボラトリーができてから,JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究に取り組みました。JAXAが開発したロケット用ターボポンプの形態最適化設計技術を産業応用することによって,振動を抑えたポンプの新形態を提案することができました。
通常のポンプ設計では,効率を優先するため,先に羽根車や流路の形状や配置を決めて,その後でメカ系の詳細設計を行っています。このため,万が一機械振動が起きたときには,取れる選択肢は限られていて振動を抑え込むのに苦労します。この発想をガラリと変え,最初に振動安定性を優先して設計し,これまでにないポンプの形態とすることで解決しました。この発想の転換は,外からの知見がないとできなかったと思います。
檜山:「ポンプの点検用の水中ロボットをちょっとやってみようよ」というようなトライアル的なことにも最近では取り組めるようになりました。
※6 ドライポンプ
真空室内に油を使わない真空ポンプのこと。半導体製造など,クリーンな真空が必要な場合に使われる。
——これからも研究体制は変化していくのでしょうか?
檜山:時代の変化にすぐ対応していけるように作った体制なので,基本的なコンセプト自体は変わらないと思いますが,解決していかなければいけない問題もあります。
——どのような問題があるのでしょうか?
曽布川:兼任制にして,カンパニーとのかい離をなくすという一番大きなテーマはかなり達成できましたが,事業部の業務と研究を兼任するのはどうしても負担がかかります。みなさん,兼任とは思えないやる気で精力的に研究を進めていますが,その負担を減らす方法は考えなければなりません。
後藤:カンパニーには優秀なエンジニアがたくさんいますが,彼らがエンジニアリングに専念できているかというと,そうではなくて,本来エンジニアがやらなくてもいい定型業務に時間をとられていることが多い。そこを削ぎ落としてモノづくりのコアな部分に時間を使えるようにしようと,今全社的に努力しているところです。それが実現すれば,今研究に携わっていない多くのエンジニアも基本に立ち返る時間ができ,エバラ・オープン・ラボラトリーの仕組みを使えるようになると思います。
——その他に新たな取組はあるのでしょうか?
檜山:今,エバラでは,「エバラ・オープン・フォー・サプライヤ(EOS)※7」という研究をサポートしてくれるサプライヤの方々とのコラボレーションの仕組みを始めました。
曽布川:「エバラ・イノベーション・フォー・X(EIX)※8」というプロジェクトも進めています。これは,エバラの「まだ見ぬ未来=X」を生み出していくための研究・開発と位置付けています。具体的には,生産技術の革新,積層造形(3Dプリンター)の活用,ICT・AIを使った設計の効率化,設計を効率化したスマート開発工場の推進といったテーマを研究しています。
檜山:新しい研究体制の全てのキーワードは,「オープン」ということです。オープンというのは,外にも内にも開かれた研究組織ということです。社内の方々,外部研究機関の研究者,サプライヤの方々が容易に集まってディスカッションできる雰囲気づくり,共創空間を作りたいと考えています。
例えば,会社の中で「あそこに行ったら面白いネタあるかもね」「あそこに行って相談してみようよ」「ちょっとこういうアイディアがあるんだけどどうしよう。一緒にやりたいね」そう言いながら人が集まってくる場所。会社の外の人にも,そうやって集まってほしい。
※7 エバラ・オープン・フォー・サプライヤ(EOS)
中小支援団体と協力して創出した研究を支援するサプライヤ組織。各企業がもつ専門技術とのマッチングや,特殊部品の試作開発などを行う。
※8 エバラ・イノベーション・フォー・X(EIX)
2016年に始めた研究開発の取組。「X」は荏原製作所のまだ見ぬ未来を示し,未来を生み出していくため,いくつものテーマを設けて取り組んでいる。
——今後についてお聞かせください。
曽布川:これからどういう研究所にしていくかは,まだ議論を重ねている段階ですが,いくつか固まっていることがあります。
今までは新しい研究体制の有効性を示すために目に見える成果を出したかったので,製品の競争力に直結する研究に力を入れてきましたが,そういう研究はもっと製品開発に近い部署でやろうという動きも出てきたので,これからは基礎研究に軸足を移していこうとしているところです。
それから,かつて総合研究所を解散したために失ったものや弱くなったものがあるので,そこをしっかり認識し,取り戻していかなければなりません。
さらに,新たな研究を実施していくために,マーケティングやリサーチの力をつけていきます。既存の事業に大きなインパクトを与えるような技術やビジネス環境の変化,或いは新技術創成の動きなどを察知する力を培い,経営陣のブレインと呼ばれるようになるべきだと考えています。
研究所は,技術動向のリサーチ,将来に備えた新たな研究への取組,基盤技術力の強化や製品競争力を高める研究の推進,事業部門の開発支援やクレーム対応支援など,多くの役割が求められます。これらの役割をしっかり果たし,当社が将来にわたって競争力を維持し発展し続けられるよう,当社に合った研究体制を進化させ続けていかなければならないと思っています。
——今後のエバラの研究開発に期待が高まります。今日はありがとうございました。
備考)本記事は社外のファシリテータがインタビューを行い,編集したものです。
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