荏原製作所では2010年からEOIやEOLといった新しい研究体制を発足させ,独自の方式で製品基盤技術の強化と製品競争力強化に資する研究開発を実施してきた。
本特集では,これまでにEOLで実施してきた研究の中から,以下6件の研究について論文形式でより詳細に記述したものを掲載する。
「大橋−秋元クライテリアに関する数値的考察」は,風水力機械カンパニーの基幹製品であるポンプについて,キャビテーション(液体の沸騰現象)に起因する不安定現象を数値解析によって考察した基礎研究である。キャビテーションの予測・制御は,ポンプ事業にとって最も重要な基盤技術の一つであり,EOI立上げ当初から流体,構造・強度,材料など幅広い学術分野で産学連携による研究を継続している。
「産業用立軸ポンプへの形態最適化設計適用に関する研究」は,(国研)宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって開発した,ロケット用ターボポンプのロータシステムの形態(羽根車や軸受,シールなどの機械要素の配置配列)を最適化する新設計手法を,業界で初めて産業応用し,振動安定性に優れた製品コンセプトを具体化した研究である。
「吸込水槽の乱流渦制御に関する研究の展望」は,ポンプ吸込水槽における水中渦という現象を事例とし,乱流の高精度解析とデータサイエンスの組合せによって乱流渦現象をアクティブに制御しようとする先端的取組について展望している。フロリダ州立大との共同研究によって,航空宇宙分野の最先端技術を取り込もうとする研究である。
「油潤滑軸受の摩耗診断技術の開発」は,当社製品の潤滑油の変性や成分分析の依頼が事業部から分析技術課に多く寄せられること,近年のプロアクティブ保全要求の高まりなどを背景に,当社の分析技術を活かし,潤滑油の劣化原因を解明するとともに故障予知に寄与する簡便で精度よい潤滑油診断手法の開発を目指すものである。
「境界要素法を用いた多機能電解めっき解析システムの開発」は,精密・電子事業カンパニーの半導体デバイスウェーハのめっき装置において,均一なめっき膜厚分布を実現する条件を決定するために,境界要素法を用いて高精度の解析が可能なシミュレーションプログラムを開発したものである。ポンプ事業で培った,電気化学による海水腐食のシミュレーション技術を,事業分野を横断して横展開した成果である。
「基板(ウェーハ)洗浄・乾燥に関する基礎的研究」は,CMPの後洗浄プロセスについて可視化手法や流体力学的考察を用いて基礎的に検討したもので,ウェーハ上の膜種による液の被覆状態や流れによって除去可能な粒子径,微小液滴の乾燥現象と定式化,液滴の移動形態などを明らかにし,ウェーハ洗浄・乾燥工程に有用な知見を得たものである。
藤沢工場ものづくり50年の歴史
1966年頃の藤沢工場
縁の下の力持ち 高圧ポンプ -活躍場所編ー
100万kW火力発電所内で活躍する50%容量ボイラ給水ポンプ
RO方式海水淡水化用大容量、超高効率高圧ポンプの納入
長段間流路内の流線と後段羽根車入口の流速分布
縁の下の力持ち ドライ真空ポンプ -真空と真空技術の利用ー
真空の領域と用途例
座談会 エバラの研究体制
座談会(檜山さん、曽布川さん、後藤さん)
縁の下の力持ち 標準ポンプ -暮らしを支えるポンプー
標準ポンプの製品例
座談会 未来に向け変貌する環境事業カンパニー
座談会(三好さん、佐藤さん、石宇さん、足立さん)
世界市場向け片吸込単段渦巻ポンプGSO型
GSO型カットモデル
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