2019年12月にインバータ内蔵PMモータを搭載した,給水ユニットF3100NEO BN-MG型(図1)の販売を開始した。
PMモータとインバータの一体化技術によって,小型制御盤を開発し,ユニット全体をコンパクトにすることで給水設備の省スペース化と施工時の作業効率向上を実現した。
特長
(1)ダウンサイジング
ユニットベースの設置面積 従来機種F3100BN-ME型比約32 %削減
(2)ライトウエイト
ユニット質量 従来機種F3100BN-ME型比15~44 kg削減
(3)設置自由度の向上
①現場で吐出し方向選択可
②現場で制御盤の向き選択可
③制御盤の別置き及び壁掛け仕様対応(特殊仕様)
仕様
口 径:40~50 mm
電動機呼び出力:1.5~3.7 kW
吐 出 し 量:最大900 L/min
全 揚 程:最大67 m
運 転 方 式:単独交互(BNAMG型),並列交互(BNBMG型)
図1 給水ユニットF3100NEO BN-MG型 Fig. 1 Water supply unit F3100NEO model BN-MG
2019年8月から石油精製・石油化学業界向けにプロセスポンプUCWC型(図1)の販売を開始した。本製品は,シールレスポンプに関するアメリカ石油協会規格API685に準拠しており,信頼性が高い構造となっている。完全無漏洩という特徴を生かし,主に危険な液体(可燃性液体,毒性液体,高温・低温液体)を取り扱う石油精製・石油化学市場での幅広いアプリケーションに対して本製品を提案することで,安全性に配慮し,環境負荷を低減し且つプラント運転の経済性向上に寄与する。また,API610に準拠した従来型のプロセスポンプUCW型とケーシングを共用しており, プロセスポンプUCW型ポンプを短時間に且つ比較的安価な費用でシールレスであるキャンドモータポンプUCWC型にリフォーム可能である。
本製品に関する詳細は,本号掲載の「石油精製・石油化学業界向けキャンドモータポンプUCWC型」で紹介する。
標準仕様
耐 圧:4.0 MPa
吐出し量:~610 m3/h
取扱液温度:-100~450 ℃
図1 UCWC型 Fig. 1 Model UCWC
世界市場向けの産業分野向け基幹製品として,片吸込単段渦巻ポンプGSO型を開発した(図1)。本製品は,ISO 5199,ISO 2858を含め様々な規格に準拠することで,より汎用性や信頼性を確保している。さらに,清浄な用途はもちろん,ライトスラリーを含むプロセス液や多用途の取扱い液に対応するために,独自形状の羽根車(主板オープン形)を採用した。開発・設計の手法として,流体・構造・振動解析と実験を活用し,最適化を図り,高効率・高品質・使用便利性向上を達成した。本製品に関する詳細は,本号掲載の「世界市場向け片吸込単段渦巻ポンプGSO型」で紹介する。
仕様
口 径:50×32~250×200 mm
吐出し量:~1400 m3/h(50・60 Hz)
全 揚 程:~150 m(50 Hz),~140 m(60 Hz)
図1 GSO型 Fig. 1 Model GSO
横軸両吸込渦巻ポンプ(図1) 2台
機名:700X500KSM
要項:6314 m3/h×110 m×1960 kW
海外大型SMPO(styrene monomer and propylene oxide)プラント向けのAPI610に準拠した熱油循環ポンプであり,BB2タイプとして当社最大級の流量である(API610 Pump type:BB2)。
・ 300 ℃近くの熱油を取り扱うため,ウェアリング部のクリアランスを広げ,かじりを防止している。
・ 軸受潤滑は強制給油とし,ランダウンタンクを設置することで緊急停止時の安全措置を図った。
図1 石油化学プラント向け熱油循環ポンプ Fig. 1 Hot oil circulation pump for petrochemical plant
立軸渦巻ポンプ(図1) 4台
機名:250VPSM
要項:300 m3/h×36.3 m×55 kW
海外石油化学プラント向けに納入した排水ポンプである。VS4タイプ(立軸サンプポンプ)として当社最大級の流量となっている。
流体解析,羽根車強度解析,振動共振解析等の検討を経て,流路形状は従来型のままとし,回転速度を上げることで客先要項に対応した。
図1 石油化学プラント向け排水ポンプ Fig. 1 Drain pump for petrochemical pump
横軸二重胴多段ポンプ(図1) 3台
要項:198 m3/h×2550 m×2300 kW
韓国石油精製プラント向けのAPI610に準拠した横軸二重胴多段ポンプである。
特徴
(1) 二重胴のポンプであり,メンテナンス性に優れている。
(2) 高温仕様に適した材料選定・構造設計を行っている。
(3) 使用液にスラリーが混入するため,耐スラリー性を考慮した構造となっている。
(4) 軸封にはタンデムメカニカルシールを採用し,シール性の向上を図っている。
図1 韓国石油精製プラント向け反応炉供給ポンプ Fig. 1 Reactor feed pump for oil refinery plant in Korea
横軸二重胴多段ポンプ(図1) 4台
要項:368 m3/h×1560 m×2200 kW
北米エチレンプラント向けのAPI610に準拠した横軸二重胴多段ポンプである。プラント発電設備の発電用ボイラにボイラ水を供給する重要な補器である。
特徴
(1)プラントの発電設備の重要補器として用いられる。
(2)二重胴のポンプであり,メンテナンス性に優れている。
(3)軸封にはメカニカルシール,軸受潤滑には強制給油方式を採用し,信頼性を向上させている。
(4)並列運転仕様のため,号機間の性能誤差を最小限にしている。
図1 北米エチレンプラント向けボイラ給水ポンプ Fig. 1 Boiler feed water pump for ethylene plant in North America
横軸二重胴多段ポンプ(図1) 2台
要項:179 m3/h×3014 m×1420 kW
ナイジェリア尿素プラント向けの横軸二重胴多段ポンプである。尿素プラントにおいて尿素の合成に必要な液体アンモニアを合成装置に送り込む重要な機器である。
特徴
(1) 高速回転及び高吸込圧力仕様のポンプである。
(2) 揮発性の高いアンモニアを取扱うポンプであり,シール性の高い二重胴構造を採用している。
(3) 軸封には高速回転及び高吸込圧力仕様の特殊ダブルメカニカルシールを採用している。
図1 ナイジェリア尿素プラント向けアンモニアポンプ Fig. 1 High pressure ammonia pump for urea plant in Nigeria
横軸二重胴多段ポンプ(図1) 1台
要項:540 m3/h×1750 m×3200 kW
国内製鉄所向けの横軸二重胴多段ポンプである。
鋼材表面の酸化被膜を除去するための高圧水を発生させる高圧ポンプである。
特徴
(1) 回転速度を高頻度で低速(20 %)から全速(100 %)まで急加減速させる運転に対応したポンプである。
(2) 使用液にスラリーが混入するため,耐スラリー性を考慮した構造である。
(3) 軸封には,信頼性と高寿命を兼ね備えたスロットルブッシュを採用している。
図1 国内製鉄所向けデスケーリングポンプ Fig. 1 Descaling pump for steel mill in Japan
立軸斜流ポンプ(図1) 7台
口径:900 mm
要項:105.15 m3/min×109.7 m×2611 kW
米国向け上水用原水取水ポンプである。本ポンプは米国国立科学財団のNSF61規格(Drinking Water System Components – Health Effects/飲料水配管用部品系構成要素 – 健康への影響)に準拠した塗料を採用し,顧客仕様に適合している。
ポンプ吐出し口は据付床下で,床下全長は26.1 mの高揚程立軸多段ポンプであり,2611 kWの出力を有している。
水中軸受にアルミ青銅と特殊樹脂軸受,軸封部に減圧無しで高揚程に耐えられるインジェクションパッキンを採用している。
図1 900 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 900 mm vertical mixed flow pump
機名:横軸両吸込渦巻ポンプ(図1)
口径:900 mm×600 mm
要項:7000 m3/hr×54 m×1310 kW
本ポンプは,石油化学プラント向けの冷却水循環ポンプであり,水平二つ割構造の横軸両吸込渦巻ポンプである。長時間の連続運転が行われることから高効率運転が求められる。流路部は効率を重視して設計した流路を適用した。最高効率点における実測効率は同一要項の当社従来製品と比較して4ポイント効率アップを達成した。
また,同一要項の当社従来製品と比較して約25 %のコンパクト化を達成した(ケーシング代表径の比較による)。
図1 横軸両吸込渦巻ポンプ Fig. 1 Horizontal double suction centrifugal pump
横軸両吸込渦巻ポンプ(図1) 4台
口径:450 mm×300 mm
要項:35 m3/min×82 m×610 kW
浄水場の送水ポンプ用途の横軸両吸込渦巻ポンプである。
本ポンプは,停電等によるポンプ急停止時に生じる水撃作用防止を目的としてフライホイール装置を付属している。
横軸両吸込渦巻ポンプは上下二つ割のケーシングを有しており,据え付けたまま分解点検が可能なため,保守・点検作業が容易な構造となっている。また,本ポンプは用途が幅広く,発電所,農業用水,工業用水の送水ポンプ等,多岐にわたり使用されている。
図1 450 mm×300 mm 横軸両吸込渦巻ポンプ Fig. 1 450 mm×300 mm Horizontal double suction centrifugal pump
横軸斜流ポンプ(図1)
口径:1650 mm
要項:362.5 m3/min×4.3 m×360 kW
本ポンプは,軸封部にメカニカルシールを採用し無注水化を行っている排水ポンプである。
横軸斜流ポンプは主要部品が全て床上にあり,かつ上下二つ割のケーシング構造のため分解が容易で,ポンプだけでなく駆動機や減速機を含めてメンテナンス性に優れた設備構造を有している。
使用先においては,本ポンプを含め3台を同じ型式とすることで交換部品,予備品の共用化を行い信頼性の向上を図っている。
図1 1650 mm 横軸斜流ポンプ Fig. 1 1650 mm horizontal mixed flow pump
製品名 | 種類 | 機名型式 | 台数 | 口径 | モータ出力 | 要項 |
雨水排水ポンプ | 立軸渦巻斜流ポンプ | 1800VLZGM | 6 | 1800 mm | 3000 kW | 600 m3/min×23 m |
雨水排水ポンプ | 立軸斜流ポンプ | 1650VZGE | 1 | 1650 mm | 1740 kW | 478 m3/min×15.1 m |
雨水排水ポンプ | 立軸斜流ポンプ | 1000VZGE | 1 | 1000 mm | 210 kW | 165 m3/min×4.7 m |
雨水排水ポンプ | 立軸斜流ポンプ | 1200VZGE | 1 | 1200 mm | 520 kW | 255 m3/min×8 m |
雨水排水ポンプ | 立軸斜流ポンプ | 1200VZGE | 2 | 1200 mm | 420 kW | 163 m3/min×11 m |
雨水排水ポンプ | 立軸斜流ポンプ | 1000VZGE | 1 | 1000 mm | 280 kW | 135 m3/min×8.5 m |
復水ポンプ | 立軸ピットバレル型多段ポンプ | TDM-VB2 | 1 | 700 mm×400 mm | 500 kW | 24.7 m3/min×91.5 m |
送配水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 1500×1000CDM | 2 | 1500 mm×1000 mm | 4300 kW | 253 m3/min×80 m |
揚水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 1200×800CDM | 1 | 1200 mm×800 mm | 1740 kW | 195 m3/min×45 m |
冷却水循環ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 800×600CFNM | 2 | 800 mm×600 mm | 630 kW | 85.8 m3/min×33.7 m |
揚水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 700×600CENM | 2 | 700 mm×600 mm | 150 kW | 51.36 m3/min×11.4 m |
逆洗ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 700×600CENM | 2 | 700 mm×600 mm | 240 kW | 73.1 m3/min×15 m |
取水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 700×600CENM | 1 | 700 mm×600 mm | 150 kW | 50 m3/min×14 m |
逆洗ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 600×500CENM | 1 | 600 mm×500 mm | 180 kW | 48.8 m3/min×17 m |
ロークエンチ用ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 600×450CGNM | 3 | 600 mm×450 mm | 510 kW | 58.54 m3/min×40 m |
ハイクエンチ用ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 600×450CHNM | 1 | 600 mm×450 mm | 970 kW | 65 m3/min×70 m |
コンデンサ給水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 450×350CHNM | 1 | 450 mm×350 mm | 450 kW | 33 m3/min×60 m |
揚水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 400×250CDM | 2 | 400 mm×250 mm | 560 kW | 22.22 m3/min×105 m |
送水ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 400×300CDM | 3 | 400 mm×300 mm | 500 kW | 22.4 m3/min×91 m |
クーリングタワーポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 400×300CGNM | 2 | 400 mm×300 mm | 250 kW | 21.67 m3/min×50 m |
ボイラ給水ポンプ | 二重胴水平割型多段ポンプ | 16×16-6stg HDB | 1 | 350 mm×450 mm | 15117 kW | 26.1 m3/min×3377.1 m |
ボイラ給水ポンプ | 二重胴水平割型多段ポンプ | 14×14×16-7stg HSB | 1 | 300 mm×350 mm | 9110 kW | 15.7 m3/min×3360.1 m |
ボイラ給水ポンプ | 二重胴輪切型多段ポンプ | 200DCD11T | 2 | 200 mm×200 mm | 1705 kW | 4.57 m3/min×1445.1 m |
ボイラ給水ポンプ | 二重胴輪切型多段ポンプ | 200DCD11M | 1 | 200 mm×200 mm | 1700 kW | 4.57 m3/min×1445.1 m |
ボイラ給水ポンプ | 一重胴輪切型多段ポンプ | 300×250SS3M | 1 | 300 mm×250 mm | 4400 kW | 15.8 m3/min×1000 m |
ボイラ循環ポンプ | 横軸渦巻ポンプ | 300UCWM | 2 | 300 mm×300 mm | 160 kW | 20.7 m3/min×35 m |
アンモニアポンプ | 二重胴水平割型多段ポンプ | 4×11-10stg HSB | 1 | 150 mm×150 mm | 1300 kW | 2.75 m3/min×2701.3 m |
カーバメイトポンプ | 一重胴輪切型多段ポンプ | 150×100SSP12M | 1 | 150 mm×100 mm | 700 kW | 1.63 m3/min×1119.5 m |
アミンポンプ | 一重胴水平割型多段ポンプ | 300×250SPD6M | 1 | 300 mm×250 mm | 1250 kW | 13.2 m3/min×409 m |
チャージポンプ | 二重胴水平割型多段ポンプ | 6×8×13-10stg HDB | 1 | 250 mm×200 mm | 3800 kW | 6.97 m3/min×2395 m |
熱油ポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 700×500KSM | 1 | 700 mm×500 mm | 1960 kW | 105.2 m3/min×110 m |
クエンチウォーターポンプ | 横軸両吸込渦巻ポンプ | 600×350KSGT | 2 | 600 mm×350 mm | 1340 kW | 45.6 m3/min×142.2 m |
エチレンオキサイドポンプ | 横軸両吸込2段渦巻ポンプ | 300×200R2D2M | 1 | 300 mm×200 mm | 980 kW | 14.5 m3/min×291 m |
ブテンポンプ | 立軸多段ポンプ | 250×150VPCS5M | 1 | 200 mm×150 mm | 90 kW | 4.41 m3/min×130 m |
プロピレンポンプ | 立軸多段ポンプ | 100×80VPCH10M | 1 | 100 mm×80 mm | 75 kW | 0.65 m3/min×522 m |
ボイラ給水ポンプ用流体継手 | 流体継手 | GCH104A-47 | 1 | - | 6000 kW | - |
送風機用流体継手 | 流体継手 | HCLV125 | 1 | - | 2000 kW | - |
残渣油ポンプ用増速機 | 増速機 | GBHD40 | 1 | - | 3800 kW | - |
新潟市西蒲原地区は,海抜0 m以下の土地が約2割を占める輪中地域であることから,国営土地改良事業等で多くの常時排水ポンプ機場が建設されてきた。これらの機場は電動機掛けポンプであるので,自然災害による長時間停電で排水が停止すると,地域の農産業,生活等に多大な影響を与える。そのため,長時間停電時の常時排水を確保するシステムが求められた。
この度,日本最大の排水機場で,且つ当社製ポンプが納入された新川河口排水機場で停電時にポンプ1台を12時間稼働できる予備電源システムを構築した(図1)。電源設備を改造し商用-予備切替が可能,固定式発電機と移動式発電機2台を同期させたことで合計2000 kVAの発電能力をもつ。また移動式発電機は6.6 kVと3.3 kVの電源切替器を車載し,同地区内の他の排水機場の停電時の電源供給も可能である。
北陸農政局 新川河口排水機場他 予備電源設備
固定式発電機 1000 kVA(ディーゼル機関951 kW)×1台
移動式発電機 500 kVA(ディーゼル機関430 kW)×2台
図1 新川河口排水機場 予備電源システム Fig. 1 Standby power system for Shinkawa-kakou drainage pump station
本ポンプ場(図1)は,2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による地盤沈下で高まった浸水リスクを軽減するために,既設鶴巻ポンプ場の増強を目的として建設された(総排水能力:70.7 m3/s,既設42.7 m3/s)。従来の大江堀幹線と新設されるバイパス幹線からの流入を二級河川七北田川へ排水する。
吐出し配管に管内クーラを設け,冷却水系統の簡素化を図っている。また,当該機場には管理運転水路があり,実負荷による管理運転を可能としている。一方,晴天時でポンプ井に溜まった雨水をポンプ井排水ポンプで排水し,ポンプ井がドライ状態でも,傘歯車減速機には油圧クラッチと連れ廻り防止ブレーキを設けており,原動機単体の管理運転(始動確認)を可能とし,設備の信頼性向上を図っている。
納入先:仙台市
口 径:1800 mm立軸斜流ポンプ3台(ディーゼル機関駆動)
要 項:560 m3/min×8.0 m×1050 kW
図1 鶴巻ポンプ場 Fig. 1 Tsurumaki pump station
八代中央排水機場(図1)は低平な干拓地に位置し,流域面積1899 ha,受益面積311.1 haの降水を八代海へ排水する設備の一つである。
本地域には郡築排水機場と郡築大硴排水機場が設置されている。共に老朽化によりポンプ機能が低下し,気象の変化や土地柄の影響により湛水被害の発生が頻繁に繰り返されている。このため,流入量増加に対応する本機場を新設することにより,湛水被害を防止し農業経営の安定化を図っている。
本機場は常時は商用電源で運用されているが,万一の停電の際は,自家発電機より主ポンプ2台分の電源が供給され,排水を行うことができる。
納入先:熊本県農林水産部
型 式:口径1650 mm横軸斜流ポンプ 4台
要 項:6.5 m3/s×4.04 m×355 kW(電動機駆動)
図1 八代中央排水機場 Fig. 1 Yatsushirochuo drainage pump station
森ヶ崎水再生センター(図1)は,東西二つの施設からなっており,日本最大の水再生センター(下水処理場)である。
大型ブロワの設備が老朽化したため,ブロワ設備の更新を行った。更新にあたって,ブロワ軸受の潤滑油方式を水冷クーラから空冷クーラへと変更し,設備簡素化による信頼性を向上させている。
納入先:東京都下水道局 森ヶ崎水再生センター(東)
型 式:鋳鉄製多段ターボブロワ 1台
口 径:吸込900 mm/吐出し800 mm
要 項:1100 m3/min×55.1 kPa×1300 kW(電動機駆動)
図1 森ヶ崎水再生センター(東)内鋳鉄製多段ターボブロワ Fig. 1 Cast iron multi-stage turbo blower in Morigasaki Water Reclamation Center (East)
大阪市建設局平野下水処理場に曝気用ブロワ(図1)を納入した。
今回工事では,設備老朽化によるブロワ及び配管類の更新を行っている。既存設備を稼働しながら順次更新を行うため,現場工程に合わせて機器類の搬入スケジュールを調整した。
ブロワ本体は,設置場所の制約に合わせて下方吸込,側方吐出しの構造とした(標準は下方吸込・下方吐出し)。さらに,潤滑油系統を既存の集中給油方式から個別給油方式に変更し,かつ空冷式冷却器を採用することで,信頼性と維持管理性の向上を図っている。
ブロワ仕様
形式:鋳鉄製多段ターボブロワ
型式:700×600ⅣTBM(V) 3台
仕様:600 m3/min×-2.7/71 kPa×960 kW
図1 鋳鉄製多段ターボブロワ Fig. 1 Cast iron multi-stage turbo blower
日本国内向けコークスオーブンガスブロワ1台,国内下水処理場向け曝気ブロワ1台,合計2台のブロワを袖ヶ浦工場から出荷した。
図1は,下水処理場向け曝気ブロワの外観である。(型式:900×800ⅢTBM(V))
このブロワは,水処理反応槽の散気装置に空気を供給するものである。
かねてより実施してきた大風量領域の運転に対応した羽根車の新規設計,ケーシングのシリーズ化により,国内最大級の風量運転に対応し,高効率化したことが特徴である。
図1 国内下水処理場向け曝気ブロワ(型式 900×800ⅢTBM(V)) Fig. 1 Public sewage blower for Japan (Model 900×800ⅢTBM (V))
エリオットグループは,遠心式多段圧縮機46台,遠心式単段圧縮機3台,合計49台の圧縮機を出荷した。仕向け地別の出荷台数は,アジア36台,中近東1台,北南米9台,ヨーロッパ1台,アフリカ2台である。
図1は,中国で新設されるエチレンプラントの分解ガス圧縮機(Cracked Gas Compressor)として使用される大流量に対応した両吸込型(Double Flow)の低圧圧縮機の機能試験の様子である。分解ガス圧縮機は,低圧,中圧,高圧の3台の圧縮機を連結して運転し,ナフサ及びガス・オイルなどの炭化水素をガス分留装置に送り込むために使用される。近年のプラント大型化の要求に対応し,高流量係数,高効率の羽根車を採用した,世界最大級の圧縮機のひとつである。
図1 中国向け遠心多段圧縮機 機能試験(型式 103MD2-2) Fig. 1 Mechanical running test for multi-stage centrifugal compressor for China (Model 103MD2-2)
[エリオットグループ]
エリオットグループは,石油精製・石油化学プラントのプロセスガス圧縮機駆動用に12台の多段蒸気タービンを出荷した。仕向け地別の出荷台数は,アジア10台,北南米2台である。
図1は,中国向け遠心式圧縮機駆動用多段蒸気タービン(型式 2SNV-9+56M10-8)の連結機能試験の様子である。バーリフトタイプのマルチガバナバルブを備える大出力復水型タービンであり,回転速度の制御によって圧縮機の幅広い運転レンジに対応することができる。近年のプラント高効率化による蒸気の超高圧化,超高温化に対応した高圧ケーシングを採用している。
図1 中国向け多段蒸気タービン 連結機能試験(型式 2SNV-9+56M10-8) Fig. 1 String test for multi-stage steam turbine for China (Model 2SNV-9 + 56M10-8)
[エリオットグループ]
半導体デバイスの微細化に伴い,製造装置サプライヤーは装置間やChamber間の間差の最小化や,トラブル要因分析の早期化,トラブルの未然防止など,Smart Factoryへの対応が求められている。
効率的にCMP装置のEquipment Engineering System(EES)データを収集,蓄積,可視化し,解析するプラットフォーム,X-bility(クロスビリティー)(図1)を開発した。X-bilityを導入することで下記を実現した。
・トラブル要因分析の早期化
・メカニカル性能の再現性の向上
・トラブルの未然防止
仕様
最大15台のCMP装置と接続(標準仕様)
特長
(1)Secure Internet Connectionによるリモート接続
(2)効率的なEESデータ取得
(3)Web browserでの可視化ツールの提供
図1 X-bility概要 Fig. 1 Overview of X-bility
半導体製造プロセスでは,排ガス処理に対する高効率化や生成物対策によるメンテナンスインターバル延長などの需要が高まっている。このニーズに特化した燃焼式+水スクラバー(Burn-Wet)のTND-Single型(図1)と,前段水洗浄+燃焼式+水スクラバー(Wet-Burn-Wet)のTND-Single Plus型を開発した。
仕様
・最大ガス流入量(L/min) 200(1流入ポート当たり),
400(1バーナ当たり)
・寸法 W×D×H(mm) :1200×650×1980※1
特長
(1)荏原独自の新型管状火炎バーナを搭載,高効率排ガス処理と低NOx,低CO排出を両立した。
(2)堆積物自動除去機能,濡れ壁形成機能,タンク内攪拌機能などの生成物対策により,当社従来製品比3倍以上※2のメンテナンスインターバルを達成した。
(3)TND-Single Plus型は,バーナ前段に水洗浄部を追加し,SiN,TiNなど生成物が多量に発生するプロセスガスを事前に除去することで,バーナ内部で発生する粉体量を大幅に低減した。
※1:筐体のみ,接続される配管等は含まれません。
※2:プロセスにより異なる場合があります。
図1 TND-Single型 Fig. 1 Model TND-Single
荏原冷熱システム㈱は,国立競技場(図1)にノンフロン高効率ターボ冷凍機RTBA型(図2)を納入した。
本機は,当社の従来機が採用している冷媒R245faの地球温暖化係数(GWP)に比べ,1/1000以下の冷媒AMOLEAⓇ1224ydを採用している。低GWP冷媒を採用したRTBA型は地球温暖化防止に貢献するターボ冷凍機として,日刊工業新聞社主催「第21回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」を受賞している。
特徴
(1)GWPが1以下と極めて低く,不燃性,低毒性,高安定性の冷媒R1224yd(Z)を採用
(2)フロン排出抑制法対象外ノンフロン冷凍機
(3)シリーズ最高COP6.4の高効率製品
(4)冷凍能力範囲は220USRT~1500SRTと幅広くラインナップ
※AMOLEAⓇはAGC㈱の登録商標です。
図1 国立競技場 写真提供:大成建設㈱ Fig. 1 Japan National Stadium
図2 ノンフロン高効率ターボ冷凍機RTBA型 Fig. 2 Low GWP refrigerant high efficiency centrifugal chiller model RTBA
[荏原冷熱システム㈱]
近年,工業分野では,温度域の異なる複数の加熱源を同時に使用することができる冷凍機の需要が増加している。
そこで,温水駆動の単効用吸収冷凍機と蒸気駆動の二重効用吸収冷凍機を組み合わせた複合型吸収冷凍機を開発した。従来,蒸気と温水の廃熱があった場合,蒸気式と温水式の2種類の冷凍機を設置し,その切替えをお客様で行う必要があった。蒸気単独では温水式が,温水単独では蒸気式が停止することにより,冷凍機の運用効率が低下し,切替えも煩雑になる課題があった。
新疆広汇石炭清潔煉化会社に納入した複合型吸収冷凍機は,1台の冷凍機で加熱源を蒸気単独,温水単独,蒸気・温水同時の3種類に切替えて運用することが可能である。お客様のプロセス状況に応じて,それぞれの熱源を適切に利用できるよう制御し運転するため,熱源を効率的に運用することが可能になる。
仕様
型 式:RGW182JP
冷凍能力:8793 kW
冷 水:19 ℃→12 ℃
冷 却 水:28 ℃→35.5 ℃(加熱源温水)/34 ℃(加熱源蒸気)
温 水:146 ℃→52 ℃
温水流量:92 m³/h
蒸 気:0.5 MPaG
蒸気消費量:8846 kg/h
特徴
下記の3パターンにおいて,100 %の冷凍能力を発生可能
(1)パターン1:温水単独運転(単効用サイクル)
(2)パターン2:蒸気単独運転(二重効用サイクル)
(3)パターン3:蒸気・温水同時使用(単効用二重効用複合サイクル)
図1 単効用・二重効用複合型吸収冷凍機 Fig. 1 Single & double effect combined absorption chiller
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
近年,中国北部の地域暖房設備において,既存の温水配管を利用した熱供給に対するニーズが高まり,温水の大温度差に対応可能な吸収式ヒートポンプの需要が急増している。
このような背景の下,吸収器と蒸発器,再生器と凝縮器をそれぞれ上下に二段ずつ配置した温水大温度差吸収式ヒートポンプを開発した。
上下に二段ずつ配置すると,設置面積の縮小と大温度差対応が可能になる。単段で昇温するよりも温度レベルが異なる複数段の熱交換器(吸収器,凝縮器)を使用して段階的に昇温する方が,大温度差対応がしやすくなる。
納入先:河北省市場監督管理局仕様
型 式:RHP060EX(図1)
暖 房 能 力:6 MW
外形寸法(L×W×H):6900×2000×3500(mm)
特徴
(1)従来機種(RHP030EX)に対して設置面積が35 %削減でき,狭い機械室にも設置可能。
(2)外部との接続管は全て同じ側に配置しているため,施工や配置計画が容易。
(3)分割が可能で,搬入スペースが従来機種(RHP030EX)2900×3150(mm)(W×H)に対して1500×3150(mm)(W×H)まで削減し,狭い搬入スペースにおいても搬入可能。
図1 大温度差吸収式ヒートポンプ Fig. 1 Large temperature difference absorption heat pump
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
深圳市湾城市能源生态园工程のごみ発電機用として,白煙防止節水型工業冷却塔5セルを納入した(図1)。中国における環境規制に伴い,冷却塔は白煙を低減する必要性が高まっている。さらに,工業化により地域によっては深刻な水不足に直面しており,工業用水価格は上昇している。このような背景の下,本製品は以下の特長を有している。
仕様
冷 却 水 循 環 量:15000 t/h
型 式:SCC-3000HX,5台
循環水入口,出口温度:43-33 ℃
湿 球 温 度:28 ℃
白煙防止ポイント:乾球温度10 ℃,相対湿度80 %
特長
(1)開放式冷却塔をベースにして,空冷システムと開放式湿冷ユニットを混合運転することにより,蒸発水量損失を低減して,出口の白煙排出を削減する新しいエコ型開放式冷却塔になっている。
(2)夏又は中間期に白煙防止の運転が不要なときは,白煙防止熱交換器の風入口を閉じることにより,空気の抵抗の低減,つまりファン動力の低減が図れる。
(3)白煙防止が不要なときは,熱交換器が水蒸気と接しないため,長寿命化が図れる。
(4)白煙防止とともに年間8.2 %の節水が達成でき,それにより水道料金の低減が図れる。
図1 白煙防止節水型工業冷却塔 Fig. 1 Industrial cooling tower with a water conservation and white-plume preventive function
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
タイ国バンコク都内の高層オフィスビル空調用冷却塔として,新型冷却塔CDW型を納入した。従来機種に対し省電力,水飛散防止に配慮した製品開発を行った。タイ国内においては初号機となる。新型冷却塔CDW型の主な仕様及び特長は以下のとおりである。
仕様
型式:CDW-350ASY-S×6連結(図1)
能力:5980 kW(3000冷却トン相当)
仕様条件:35.5 ℃→30.5 ℃
モータ出力:11 kW×6台
特長
(1)従来機種よりモータ台数を50 %削減
(2)600冷却トンまで1台で対応可能
図1 新型冷却塔CDW-350ASY-S×6連結 Fig. 1 New cooling tower CDW-350ASY-S×6
[Ebara Thermal Systems (Thailand) Co., Ltd.]
2019年に開業した中国国内某国際空港向けに,高効率ターボ冷凍機RTGC型を納入した。本機は,1台で6.1 MWの冷却能力と7.1 MWのダブルバンドルコンデンサー式ヒートポンプ機能※を備えており,さらに夏季においては,氷蓄熱用に-5.6度取り出しのブライン仕様に対応可能な,3モード運転モデルとなっている。夏季のピークは氷蓄熱の放熱をベースとし,ランニングコストの削減と同空港全体の目標とする再生可能エネルギー利用率の目標達成に貢献している。
※熱回収ヒートポンプ方式において,冷水温水を同時に取り出すことのできる凝縮器のこと。
仕様
型式:RTGC20A(図1) 6台
RTGC20A型 機器要項 |
冷水 運転時 |
ヒートポンプ 運転時 |
ブライン 運転時 |
|
能力 | kW | 6100 | 7100 | 4900 |
冷水入口温度 | ℃ | 11.5 | 8 | -1.56 |
冷水出口温度 | ℃ | 6.5 | 4 | -5.6 |
冷却水入口温度 | ℃ | 30 | 40 | 30 |
冷却水出口温度 | ℃ | 35 | 50 | 35 |
図1 高効率ターボ冷凍機RTGC型 Fig. 1 High-efficiency centrifugal chiller model RTGC
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
蒸気式吸収冷凍機REWA型をタイ国のバイオディーゼル関連製品の生産プロセス用途向けに納入した。
遠隔監視システムを搭載し,遠隔監視センターへ収集されたデータ分析による原因究明,早期の修理対応等が可能である。
仕様
型 式:REWA040(図1)
冷凍能力:1449 kW(412 USRT)
冷水温度:17.0 ℃→12.0 ℃
蒸気圧力:0.8 MPaG
特徴
(1)低蒸気消費率 3.9 kg/(h.USRT)
(2)マイコン盤制御,タッチパネル搭載
図1 蒸気式吸収冷凍機REWA型(REWA040) Fig. 1 Steam absorption chiller model REWA (REWA040)
[Ebara Thermal Systems (Thailand) Co., Ltd.]
酒々井リサイクル文化センターは,B系炉(1987年3月竣工),C系炉(1990年3月竣工)の既設棟とD系炉(2005年3月竣工)の増設棟の2棟に分かれている。今回,老朽化した設備を更新し,施設の延命化を実施した(図1)。
給じん装置インバータ化,C系エコノマイザ導入及び排水処理設備の増設棟への統合等により,施設の省エネルギー化を図った。本工事により,低炭素社会や循環型社会に寄与する施設として,施設稼働目標の2033年度までの安定したごみ処理の継続と二酸化炭素排出量の削減を実現する。
納入先 | 佐倉市,酒々井町清掃組合 |
施設概要 | |
公称能力 | 60 t/24 h×1炉(B系) 100 t/24 h×2炉(C,D系) |
焼却炉方式 | 流動床焼却炉 |
燃焼ガス冷却方式 | 廃熱ボイラ式 |
タービン出力 | 2500 kW |
事業概要(主な更新機器) | |
受入供給設備 | ごみクレーン(既設棟のみ) |
燃焼設備 | 給じん装置,不燃物排出装置(B系,C系) |
燃焼ガス冷却設備 | 廃熱ボイラ水管一部更新(B系,C系),エコノマイザ新設(C系),脱気器新設(C系),排ガス冷却器(B系,C系) |
排ガス処理設備 | ろ過式集じん器(B系,C系) |
通風設備 | 押込送風機,煙突の改良(B系,C系) |
灰出し設備 | 灰処理設備の移設更新 |
排水処設備 | 排水処理設備の統合 |
電気計装設備 | 受変電設備(B系,C系),コントロールセンタ(B,C,共通系),総合計装システム,排ガス分析計 |
雑設備 | 計装用・雑用空気圧縮機(既設棟のみ) |
建築設備 | 照明(LED化) |
工期 | 2016年8月10日~2019年3月31日 |
循環型社会形成推進交付金(交付金1/3) | |
CO2削減率実績値(保証値:各運転パターンで3 %以上) | |
BC系32.9 %,BD系18.2 %,CD系39.5 % |
図1 施設外観 Fig. 1 General view of waste incineration facility
[荏原環境プラント㈱]
当社は,㈱大林組に大月バイオマス発電㈱向け発電関連設備(ボイラ最大連続蒸発量62 t/h×定格出力14500 kW)を納入し,大月バイオマス発電所は2018年12月に営業運転を開始した(図1)。本設備は当社のICFB®内部循環流動床ボイラを採用しており,間伐材や剪定枝などの未利用木材を主燃料とした施設である。また,山梨県内では初のバイオマス発電所であり,新たな雇用創出,林業再生,低炭素化社会などへの貢献が期待されている。
本施設ではボイラの高温・高圧化や3段抽気復水タービンの採用により高効率発電を実現している。また,バイオマス燃料に少なからず同伴する土砂による流動砂の平均粒子径への影響を極小化するため,風力式粒度調節器により分級し,一層安定したボイラの運転と層内伝熱管の寿命向上に努める。
※ICFBは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標です。
図1 大月バイオマス発電所施設外観 Fig. 1 General view of biomass-burning power plant
[荏原環境プラント㈱]
JRE神栖バイオマス発電所(茨城県神栖市)にバイオマス発電施設(最大連続蒸発量105 t/h×発電量24400 kW)を2019年5月に納入した。本施設はICFBⓇ内部循環流動床ボイラを採用した当社最大級のバイオマス発電施設である(図1)。本発電施設は,年間約2億kWh(一般家庭約4.5万世帯分相当の年間電力消費量)の発電能力を有している。燃料として,国内材に限定した建築リサイクル材,間伐材由来の山林未利用材,一般木材を使用し,カーボンニュートラルを実現し,SDGsで示される目標7「再生可能なエネルギー」達成に貢献している。
本施設では大型送風機にインバータを採用し,所内動力の低減を図っている。また,排ガスの回収熱を燃焼空気の予熱に利用する他,3段抽気タービンや夏場でも高い真空度を維持できる水冷式復水器を採用しており,年間を通じ高効率発電を実現している。
※ICFBは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標です。
図1 JRE神栖バイオマス発電所施設外観 Fig. 1 General view of biomass-burning power plant
[荏原環境プラント㈱]
シンガポールの汚泥焼却施設(図1)にTIF®流動床焼却システム※1(図2)を納入した。本プロジェクトは青島荏原環境設備有限公司として初の海外プロジェクトであり,2017年4月に建設を開始し,2019年8月に性能試験を終了した。施設規模は143 t/d×4基(内1基予備,429 t/d)であり,焼却する汚泥は,含水率80 %の脱水汚泥360 t/d,含水率5 %の乾燥汚泥69 t/dである。
当社は,汚泥焼却ラインの基本設計を行うとともに,焼却炉及び周辺主要機器を納入した。設計及び製造標準はANSIに準拠しており,排ガス規制値はシンガポール現地の基準を満足している。
項目 | 形式・仕様 |
焼却炉 | TIF®流動床式焼却システム |
処理量:429 t/d(143 t/24 h×4基,内1基予備) | |
ボイラ※2 | 自然循環立式水管ボイラ |
蒸発量:4.836 t/h/缶 | |
蒸気条件:224 ℃×2.5 MPa(ゲージ圧,ボイラ出口) | |
蒸気利用 | 近隣の民間クリーニング工場へ供給 |
排ガス処理設備※2 | 集じん方式:バグフィルタ |
HCl・SOx除去方式:炉内石灰石脱硫,バグ入口重曹噴霧による乾式有害ガス除去 | |
ダイオキシン類対策:活性炭噴霧 | |
煙突※3 | 焼却ラインごとに煙突設置:鋼製 |
高さ:45 m |
※1
TIFは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標です。
※2
荏原グループ所掌:基本設計
客先所掌:購入
※3
客先所掌:基本設計,購入
図1 汚泥焼却施設 Fig. 1 General view of plant
図2 TIF<sup>®</sup>流動床焼却システム Fig. 2 Side view of plant
番号 | 項目 | 単位 | 基準値 | 性能試験結果 |
1 | 主蒸気流量 | t/h | >4.836 | 5.272 |
2 | 飛灰熱灼減量 | % | <1.00 | 0.027 |
3 | 排ガス値(O211% dry換算値) | |||
ばいじん | mg/Nm3 | ≦50.0 | 10.4 | |
塩化水素(HCl) | mg/Nm3 | ≦200.0 | 56.7 | |
フッ化水素(HF) | mg/Nm3 | ≦10.0 | 0.81 | |
硫黄酸化物(SOx) | mg/Nm3 | ≦1700.0 | 600 | |
窒素酸化物(NOx) | mg/Nm3 | ≦400.0 | 132 | |
一酸化炭素(CO) | mg/Nm3 | ≦250.0 | 85.5 | |
水銀 | mg/Nm3 | ≦0.05 | <0.001 | |
カドミウム | mg/Nm3 | ≦0.05 | <0.001 | |
鉛 | mg/Nm3 | ≦0.50 | 0.0026 | |
アンモニア | mg/Nm3 | ≦30.0 | <0.05 | |
排ガス黒度 | Ringelmann | ≦1 | <1 |
[荏原環境プラント㈱] [青島荏原環境設備有限公司]
本事業はDBO方式であり,設計・施工(D・B)を水ing・奥村組特定建設工事共同企業体が行った。当施設は将来的なし尿等の処理量の変化と浄化槽汚泥混入割合の増加に対応できる施設建設の要望を受け,デニライトシステム®を採用した。軸摺動式スクリュープレス脱水機によるし尿等の直接脱水で汚泥を助燃剤として資源化するとともに,シンプルな水処理フローにより施設のコンパクト化を達成した。なお竣工後20年間の施設運営(O)はSPC(水ingAM㈱)が行う。
概要
処 理 方 式:デニライトシステム(浄化槽汚泥混入比率の高い脱窒素処理方式)
処 理 量:170 kL(し尿:57 kL/d 浄化槽汚泥:113 kL/d)
設計・施工期間:2016年2月~2019年3月
運 営 期 間:2019年4月~2039年3月
特長
(1)軸摺動式スクリュープレス脱水機により,汚泥は含水率68 %以下まで脱水し,助燃剤として外部搬出する。し尿や浄化槽汚泥を直接脱水することで前処理設備が不要となり,ランニングコスト低減と維持管理作業を効率化した。
(2)直接脱水の効果により水処理工程への汚濁負荷を削減し,施設のコンパクト化と省エネルギー化を実現した。同時に本事業の要求水準を十分に満たす処理水質を達成している。
図1 津山圏域衛生処理組合汚泥再生処理センター施設外観 Fig. 1 General view of Tsuyama area sanitary treatment association sludge regeneration treatment center
[水ingエンジニアリング㈱]
ひめゆり総業㈱にDENIMOX®を用いた浸出水処理施設(図1)を納入した。DENIMOX®は,嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)反応を利用した脱窒プロセスであり,一般的な脱窒プロセスに比べて以下の優位な特長をもつ。本施設は,立ち上げ運転が完了しており,良好な処理水が得られている。
施設概要
処理方式:生物処理(BOD酸化+DENIMOX®)+凝集沈殿+砂ろ過+消毒→放流
処理水量:300 m3/d(内DENIMOX®:100 m3/d)
特長
(1)独立栄養脱窒なのでメタノールの添加が必要ない。(ランニングコスト:従来法比50 %以上削減可)
(2)亜硝酸化,脱窒反応速度が速いため,設置面積が小さい。
(設置面積:従来法比50 %以上削減可)
(3)NH4-NをNO2-Nに酸化すれば良いので酸素供給量を削減できる。(酸素供給量:従来法比約60 %削減可)
図1 平太郎処分場浸出水処理施設外観 Fig. 1 General view of Heitaro landfill site leachate treatment facility
[水ingエンジニアリング㈱]
含油排水処理を目的として,自社の油水分離剤と含油フロックを高効率に取り除く固液分離装置を組み合わせたYBプロセスⓇ1号機を納入した(図1)。従来技術の加圧浮上処理方式と比較して,シンプルかつコンパクトなプロセスを実現した。また,臭気の発生も少なく,同時にフロスの脱水も可能なため,イニシャルコスト低減と運転管理の容易性に最大の強みをもつ。
納 入 先:乳製品加工会社
工 期:2018/10/24~2019/3/31
稼働開始日:2019/10/8
処 理 量:20 m3/d
処理実績:BOD 2630 mg/L→670 mg/L
:n-Hex 596 mg/L→46 mg/L
:脱水フロス含水率 64.7 %
特長
(1)シンプルかつコンパクトなプロセスを実現
(2)臭気の発生が少なく,同時にフロスの脱水可能
(3)イニシャルコストの低減と運転管理の容易性
図1 YBプロセス<sup>Ⓡ</sup>1号機 Fig. 1 YB process<sup>Ⓡ</sup> No.1
[水ingエンジニアリング㈱]
藤沢工場ものづくり50年の歴史
1966年頃の藤沢工場
縁の下の力持ち 高圧ポンプ -活躍場所編ー
100万kW火力発電所内で活躍する50%容量ボイラ給水ポンプ
RO方式海水淡水化用大容量、超高効率高圧ポンプの納入
長段間流路内の流線と後段羽根車入口の流速分布
縁の下の力持ち ドライ真空ポンプ -真空と真空技術の利用ー
真空の領域と用途例
座談会 エバラの研究体制
座談会(檜山さん、曽布川さん、後藤さん)
縁の下の力持ち 標準ポンプ -暮らしを支えるポンプー
標準ポンプの製品例
座談会 未来に向け変貌する環境事業カンパニー
座談会(三好さん、佐藤さん、石宇さん、足立さん)
世界市場向け片吸込単段渦巻ポンプGSO型
GSO型カットモデル
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