半導体デバイスの高性能化には,更なる微細化・高多層化が不可欠である。平坦化工程を担うCMP装置に対する市場要求を実現するため,当社は新型CMP装置のF-REX300XA型(図1)を開発した。
現行のF-REX300X型に対して,シンプル構造設計による部品削減と信頼性向上・ユニットモジュール化による生産性向上を実現し,調達・生産面でのCO2削減など環境側面にも貢献する。
従来装置において,洗浄性能向上を目的とし,洗浄ユニットを2段洗浄から3段洗浄へ増やした経緯を踏まえ,本装置では最大4段洗浄を可能とした。多様化する次世代プロセスへ向け,顧客プロセスに適応した洗浄方法を提供することができる。
フレキシブル搬送を実現するため,ウェーハ搬送ロボットを装置中央に配置。さらに,搬送機構高速化・研磨外待機時間の低減,高速通信ユニット採用により,生産指標であるWPH(Wafer per Hour:1時間当たりのウェーハ処理枚数)を従来機比で最大20 %向上させた。
図1 CMP装置(F-REX300XA型) Fig. 1 CMP system (Model F-REX300XA)
半導体製造装置は半導体デバイスの微細化に伴い,スループット(単位時間当たりのウェーハ処理枚数)とYield(歩留まり)コントロールが重要となっている。当社のCMP装置は高稼働率かつ高スループットを実現しているが,ユーザからウェーハのプロセス毎に変化するレシピに対応した搬送コントロールが求められていた。
このたび開発した独自アルゴリズムによって,機器動作の順序やタイミングを調整するためのパラメータをウェーハ毎にフィードバックするスケジューリング機能(図1)を実現した。
特長
(1)最速スループットの安定化
(2)チャンバー間の搬送時間を均一化
図1 最適化プログラムの概要 Fig. 1 Overview of optimization program
ポンプ等の回転機器の状態を遠隔監視するサブスクリプション型のサービス『EBARAメンテナンスクラウド』(図1)を開始した。巡回点検の代わりにこのサービスを用いて工場や施設内の機器の状態を監視することによって,点検時間や人件費の削減など,低コストで設備の保全管理を実現する。さらには『EBARAメンテナンスクラウド』を通じて,ユーザの機器状態を共有し,当社の全国の販売・サービス網を活用して,設備の健全なオペレーションサポートを提供していく。
図1 システム構成 Fig. 1 System configuration
特長
(1)ポンプに限らず送風機など様々な回転機器の状態監視を対象とし,メーカーを問わず適用可能なシステムである。
(2)IoTでの24時間遠隔監視で,巡回点検時間を最適化。
(3)振動加速度・振動速度・表面温度・FFTの各計測結果をWeb画面上でステータスを用いて表示する。
(4)注意・警告の2段階で予め設定したしきい値を超えた場合,ユーザは発報された注意警告メールにて機器の異常を確認可能。
(5)ボトルキャップサイズの防水小型ワイヤレスセンサーを開発(図3)。市販のセンサーが入らないようなスペースへ簡単に取付可能である。
図2 機器管理画面 Fig. 2 Device list display screen
用途 | 振動,温度を検出 |
通信 | Bluetooth Low Energy※ |
使用温度 | -10~50 ℃ |
設置場所 | 屋内・屋外(IP55) |
外観サイズ | センサー部: 28×24×18 mm(突起部を除く) |
バッテリーユニット: 37×74×45 mm(突起部を除く) |
|
質量 | 約100 g(バッテリーユニット含む) |
固定方法 | 磁石(標準),接着剤 |
図3 センサー部 外観 Fig. 3 External appearance of sensor portion
※電波法取得済み,Bluetooth®認証取得済み
「Bluetooth®」「Bluetooth Low Energy」は,Bluetooth SIG, Inc.の商標または登録商標です。
国内外のプラント設備に採用されるプロセスポンプは,高品質,省メンテナンスが求められる。
信頼性の高い製品として,化学工業用ポンプに適用される国際規格ISO5199に準拠したグローバル基幹製品GSO型(図1)の国内販売を開始した。GSO型は,軸受の長寿命化により部品の交換頻度を低減し,現地メンテナンスの省力化に貢献する。
今後,プロセス用途の化学液に加え,ライトスラリー等へ対応可能なGSO型シリーズを拡充していく予定である。
特長
(1)主板オープン形の羽根車を採用し,クローズド形羽根車と同等の高効率を実現
(2)軸受ハウジング及び関係する構造の強度向上により,振動及び軸たわみを軽減し,軸受及び軸封の長寿命化を実現
(3)部品の互換性を最大化し,現地で備える消耗部品及びメンテナンスコストの削減を実現
仕様
口 径:50×32~250×200 mm
モータ出力:1.5~375 kW
吐出し量:最大1 400 m3/h
全 揚 程:最大150 m
接液部材料:SCS13相当,SCS14A相当
図1 GSO型 Fig. 1 Model GSO
EVMS型ポンプは,イタリアのEBARA PUMPS EUROPE S.p.A社と荏原製作所が共同開発を行ったステンレス鋼製立形多段ポンプであり,従来機種EVM型のフルモデルチェンジ機である。
EVMS型は,欧州,アメリカ,韓国を中心としたグローバル向けに販売しており,今回,さらに大口径ラインナップをリリースし(図1),EVMS型フルラインナップが揃った。
ポンプ効率を向上させ,EN規格(EN16480)における最高レベルの効率MEI0.7を達成した。
仕様
吐 出 量:200~2 300 L/min
全 揚 程:~約270 m
モータ出力:0.37~45 kW
使用圧力:最大3.5 MPa
用 途:工業用水,冷温水循環,ボイラ給水,建設設備向けの飲料水給水及び純粋製造装置など
接液部材料:SUS316相当,SUS304相当,鋳鉄
特長
(1)新形状羽根車Shurricane(シュリケーン)の採用により軸スラスト力の低減を実現。
(2)スラスト力が低減されたことで,標準軸受を搭載した一般立形モータを採用(Any motor Any wher)。
(3)メカニカルシールのドライ運転による破損防止のため,確実なエア抜き構造を採用。
(4)スペーサーカップリングを採用し,モータ及びポンプを分解せずメカニカルシールのメンテナンスが可能。
図1 EVMS型大口径 Fig. 1 Model EVMS large size
横軸斜流チューブラポンプ(図1)
口径:1 000 mm
要項:150 m3/min×6.5 m×230 kW
本チューブラポンプは,ケーシングの中に羽根車と軸封装置および減速機や水中電動機を内蔵する構造で,ポンプ設備としてコンパクトなレイアウトが可能である。一般的に吸込水位以下に設置されるため呼び水操作が不要となり,自動運転が容易な型式である。
本ポンプは1960年代に設置された排水設備の更新用であり,希釈海水による腐食対策を施すとともに,減速機や軸継手を省略し電動機軸に直接羽根車を取り付けた構造としている。このように構成部品を減らすことでコンパクト化やメンテナンス性向上,およびコスト低減を図っている。同構造のチューブラポンプとしては,当社実績における最大級の仕様である。
図1 1 000 mm横軸斜流チューブラポンプ Fig. 1 1 000 mm tubular mixed flow pump
電動コーンバルブ
口径48インチ(1 220 mm)(図1,2) 3台
口径54インチ(1 370 mm) 10台
本バルブはTHE METROPOLITAN WATER DISTRICT OF SOUTHERN CALIFORNIA向け電動コーンバルブである。ロサンゼルス市を含む広範な地域に水道水を供給しているパイプラインの更新事業用であり,パイプラインのメンテナンス用バルブとして使用される。2023年に据付け,運用開始予定である。
電動コーンバルブは全開時に完全な円筒流路となり,圧力損失が小さいという特徴がある。バルブ本体の材料としてステンレス(SUS316L)を採用することにより維持管理費の低減,長寿命化を図った製品である。設計圧力は2 MPaと高圧仕様であるが,溶接による製缶構造を採用し,信頼性向上と軽量化を実現している。
図1 48インチ電動コーンバルブ Fig. 1 48 inch electric drive cone valve
図2 48インチ電動コーンバルブ Fig. 2 48 inch electric drive cone valve
口径:450 mm×300 mm
要項:43.5 m3/min×300/300/308/314 m×3 200 kW
42.9 m3/min×195 m×1 800 kW
ヨルダンの給水システムにおいて,経年劣化した上水道設備の更新用に製作した両吸込渦巻ポンプ(図1)である。
当社は取水ポンプ場から浄水場までの原水導水ポンプとして4アイテム12台,浄水場から市街までの浄水送水ポンプとして1アイテム3台を納入した。
既設導水ポンプは原水の水質を主因とした摩耗や腐食が著しく進んだ状況であったため,ポンプの接液部材料を二相ステンレスに変更することにより,耐腐食・耐摩耗性の向上を図った。(既設ポンプの溶液部材料は,ケーシング:炭素鋼鋳鋼,羽根車:12 %Crステンレス鋳鋼)
図1 横軸両吸込渦巻ポンプ(原水導水ポンプ) Fig. 1 Horizontal double suction volute pump (Row water pump)
横軸二重胴多段ポンプ(図1) 1台
要項:157 m3/h×3 725 m×1 710 kW
本機は,インド肥料プラント向け横軸二重胴多段ポンプである。
アンモニアポンプは,肥料(尿素)製造プロセスにおいて,尿素生成過程で必要なアンモニアを反応塔に送る重要な役割を担うので,高い信頼性が要求される。多段,高揚程,高回転数であるため,当社の高度な製造技術を結集させたポンプである。
既設はプランジャーポンプであったが,当社製遠心ポンプの高い信頼性,メンテナンス性が評価され,今回の更新に採用された。外部注水型メカニカルシール採用によりアンモニア液の大気側への漏洩リスクを排除し,安全性を高めている。
特長
(1)高速回転及び高吸込圧力仕様のポンプである。
(2)毒性が強く揮発性の高いアンモニアを取扱うので,シール性の高い二重胴構造を採用。
(3)軸封は高速回転及び高吸込圧力仕様の特殊ダブルメカニカルシールを採用。
図1 横軸二重胴型多段ポンプ Fig. 1 Double casing multistage pump
ADVANCED POLYOLEFINS INDUSTRY COMPANY(以下APOC社)が,サウジアラビアのジュベイル(Jubail)工業都市に,ポリプロピレン(PP)製造プラントを建設する大型プロジェクト(APOC PDH/UTOS PROJECT)の下,当社はAPI(American Petroleum Institute)ポンプパッケージを総計67台受注した。EPCは韓国の大手エンジニアリング会社が務めた。
本APIポンプパッケージは,PPを生産するためのプロパン脱水素プロセス(PDH)及び,プラントユーティリティー(UTOS)にて使用される。
これまでの当社のサウジアラビアの石化プラントへの豊富な納入実績及び,サウジアラビア拠点(EBARA PUMPS SAUDIARABIA LLC.(EPS))による充実したアフターサービス体制が高く評価され,本受注に繋がった。
APOC社はADVANCED PETROCHEMICAL COMPANY(APC社)の中核企業であり,ジュベイル地域におけるポリプロピレンの一大サプライヤーである。本プロジェクトを通じ,当社はEPSと連携し,ジュベイル地域のさらなる発展に寄与し,当該地域でのプレゼンスの向上を目指していく。
ポンプパッケージには,ハイドロカーボン用ポンプ,ボイラ給水用ポンプ,海水ポンプなど,プラントの中で用いられる様々なサービス用ポンプがある。サービス毎に異なるポンプ仕様を満たす最適な設計・エンジニアリング,調達,製造,試験・検査をEPCと密なコミュニケーションを取り円滑に進めた。
採用ポンプ:
片吸込み渦巻ポンプ(34台) UCW型/UCS型
両吸込み単段渦巻ポンプ(6台) C型
高圧多段ポンプ(5台) DCD型/SPD型
立型斜流ポンプ(6台) VY型
プロセス用立型ポンプ(16台) VPCS型/VPCH型/VPS型
図1 両吸込み単段渦巻ポンプC型 Fig. 1 Double suction single-stage centrifugal pump model C
エリオットグループは,石油化学プラントのプロセスガス圧縮機駆動用に2台の多段蒸気タービンを出荷した。仕向け地別の出荷台数は,アジア1台,北米1台である。
図1は,中国向け遠心式圧縮機駆動用多段蒸気タービン(型式 SNV-9)である。
本機はバーリフトタイプのマルチガバナバルブを備える大出力抽気復水型タービンであり,回転数制御によって圧縮機の幅広い運転レンジに対応することができる。
また,エリオットグループ独自技術のトリップ&スロットルバルブを採用している。
図1 中国向け多段蒸気タービン(型式 SNV-9) Fig. 1 Multi stage steam turbine for China (Model SNV-9)
[エリオットグループ]
エリオットグループは,遠心式多段圧縮機22台,遠心式単段圧縮機2台,合計24台の圧縮機を出荷した。仕向け地別の出荷台数は,アジア16台,中近東1台,北南米7台である。
図1及び図2は中国のPDH※プラントのプロダクト用遠心式多段圧縮機である。プロパンを脱水素化後,本圧縮機で高圧にして残留プロパンからプロピレンを分留する。図1は大流量に対応した両吸込型の低圧圧縮機である。ベアリングスパンを縮小するために吐出ボリュートをケーシングの外側に配置したエクスターナルボリュートを採用した。図2は圧縮機内で重合反応が起こらないよう吐出ガス温度をある温度以下に抑えるように設計した高圧圧縮機である。両機とも近年のプラント大型化に対応し,高流量係数,高効率の羽根車を採用した当グループ最大級の圧縮機である。
図3は同プラント向けのヒートポンプ用遠心式単段圧縮機である。プロピレン分離精製装置から取り出されたプロピレンの一部を圧縮し,この時の圧縮熱を回収してプロピレン分離精製装置に再利用することで本プラントの省エネルギー化を実現した。
※Propane Dehydrogenation:プロパン脱水素
図1 中国向け遠心式多段圧縮機(型式 88MD3-3) Fig. 1 Multi-stage Centrifugal Compressor for China. (Model 88MD3-3)
図2 中国向け遠心式多段圧縮機(型式 88M6I) Fig. 2 Multi-stage Centrifugal Compressor for China. (Model 88M6I)
図3 中国向け遠心式単段圧縮機(型式 180TC) Fig. 3 Single-stage Centrifugal Compressor for China (Model 180TC)
[エリオットグループ]
兵庫県南東部に位置する東播磨地域への水資源,農業用水の安定確保を実現するため1970年から1993年まで東播用水事業が行われた。その事業の一環として北神戸第1段揚水機場(図1),第2段揚水機場(図2)にポンプ設備を納入し,農業用水を供給する重要な役割の一端を担ってきた。
事業完了から20年が経過し,老朽化した設備の改修や流況の安定化を目的に,2013年から2021年にかけて東播用水二期農業水利事業が実施された。当社は,ポンプや電動機など機械設備の更新とあわせて,電気設備にインバータ装置を新規納入した。流況を安定させるため2つの制御方法(流量一定制御,水位一定制御)を組み込み,制御方法を選択して状況に応じた運転が可能な設備としている。
納入先:農林水産省 近畿農政局
北神戸第1段揚水機場
口径:400 mm 横軸両吸込渦巻ポンプ 2台
要項:22.22 m3/min×105 m×560 kW(電動機駆動)
図1 北神戸第1段揚水機場 Fig. 1 Kitakobe 1st stage pump station
北神戸第2段揚水機場
口径:300 mm 横軸両吸込渦巻ポンプ 2台
要項:11.46 m3/min×85 m×250 kW(電動機駆動)
図2 北神戸第2段揚水機場 Fig. 2 Kitakobe 2nd stage pump station
新潟県燕市の島崎川排水機場は,信濃川の大河津分水路の堤防強化に伴い,施設の改築を行っている。当社はポンプ設備の製作及び据付工事を実施した(図1)。
近年の台風・豪雨によって引き起こされる洪水から機器の浸水を防ぐため,下記のような対策を講じた。
・主ポンプの動力・制御ケーブルを含む電線を建屋内に引込む位置を上方に移動
・吐出弁(電動式バタフライ弁)は立軸構造のロングスタンド形を採用しバルブコントロールを浸水対策高以上に設置
納 入 先:国土交通省 北陸地方整備局
口径・形式:900 mmコラム形水中モータポンプ 3台
要 項:92.4 m3/min×5.4 m×132 kW
図1 島崎川排水機場 Fig. 1 Shimazakikawa drainage pump station
高橋雨水ポンプ場(図1)は,静岡市清水区を流れる山原川(やんばらがわ)の左岸に位置する。本ポンプ場は,山原川左岸排水区及び山原川右岸排水区の浸水対策を目的とした施設である。
雨水ポンプは,先行待機型ポンプを採用した。原動機は,ガスタービンを採用し,始動性能を向上させると共に,低振動化,低騒音化により周辺環境に配慮している。
納 入 先:静岡市上下水道局
口径・形式:1 800 mm立軸斜流ポンプ 3台
要 項:540 m3/mim×7.3 m×1 030 kW
図1 高橋雨水ポンプ Fig. 1 Takahashi storm water pump station
中国は2030年までにCO2排出量ピークアウトと2060年までにカーボンニュートラルを宣言した。この背景には,全世界の太陽光発電産業の発展にともない,市場規模が拡大し,中国のシリコン材料製造メーカも事業規模を拡大している状況がある。今回,荏原冷熱システム(中国)有限公司はターボ冷凍機RTGC20B型(図1)を中国最大規模の某シリコン材料製造メーカに納入した。当該メーカでは年間20万トン高純度ポリシリコンを生産するプラントを保有し,冷房容量需要が非常に大きい。この需要に対し,当社は既存機種RTGC20A型をベースに改良開発を行い,圧縮機一台で冷凍能力3 000USRTに対応できる大型圧縮機を開発した。現在まで当該顧客に本冷凍機14台を納品している。
型 式:RTGC20BMQMQD5E
冷凍能力:3 000USRT
冷 水:12 ℃ → 7 ℃
冷 却 水:30 ℃ → 35 ℃
台 数:14台
特徴
(1)圧縮機のケーシングは従来機から変更しない前提で圧縮機内部流路設計の最適化を行い,羽根車出入のシュラウド高さを上げることで,冷凍能力を向上させた。中国における省エネルギー1級ラベルを適用。
(2)凝縮器,蒸発器ともに,直径25 mmの高効率伝熱管を使用しており,冷凍機の効率を向上させると同時に圧力損失を低減。
(3)モータ出力を1 800 kwまで拡張し,荷重に強い滑り軸受を採用。
(4)また,顧客側の緊急停電に対応するための油リザーブタンクも搭載。
(5)オリフィスとホットガス(冷媒ガス)バイパス機能を備えることで,負荷や運転条件が変化する時にも対応できるようにした。
図1 ターボ冷凍機RTGC型 Fig. 1 Centrifugal chiller model RTGC
図2 ターボ冷凍機RTGC20B型納品の様子 Fig. 2 Delivery of centrifugal chiller model RTGC20B
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
中国の工業用冷凍冷蔵市場規模の拡大に伴い,一物件あたりの冷房容量需要が大きくなっているため,大容量ターボ冷凍機に対する需要がますます増えている。
中国市場のユーザからは低価格,高効率を両立した圧縮機が求められおり,この度,圧縮機一台で最大冷凍能力2600USRTを実現した低価格・高効率ターボ冷凍機RTGC20C型(図1)を開発した。
RTGC20C型は2022年4月に市場投入し,現在まで38台納品している。
特徴
(1)ケーシングの鋳物一体化によって圧縮機構造の最適化が図れ,更に鋳物重量の削減と組立の簡略化を実現した。
(2)オープンインペラからクローズドインペラを採用し,インペラとケーシングの隙間が狭まることで冷媒の流れが改善され,圧縮機効率を向上された。
(3)圧縮機に滑り軸受を採用することでLTを短縮。
(4)エコノマイザの小型化,冷凍機全体レイアウトの改善によって,従来機RTGC20A型比で冷凍機幅は15 %削減。
(5)サブクーラ,流用調整とホットガス機能を兼用バイパス弁の搭載により,冷凍機効率を向上。
(6)蒸発器,凝縮器とも新型高効率伝熱管を使用しており,性能,耐久性を確保すると同時にコストを削減した。
(7)オプション仕様として,ゴムボールによる伝熱管の自動洗浄が可能
仕様
型 番:RTGC20C
冷凍能力:2 600USRT
冷 水:12 ℃→7 ℃
冷 却 水:30 ℃→35 ℃
図1 ターボ冷凍機RTGC20C型 Fig. 1 Centrifugal chiller model RTGC20C
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
近年,IoT(Internet of Things)化で今まで見えなかったデータを可視化・分析により新たなサービスが期待されている。例えば大形冷凍機領域においては,管理者の減少課題や,時間基準保全から状態基準保全へのニーズなど,あらゆる市場要求を実現するため,RISSA(Remote Intelligent Service System Advance)による冷凍機新遠隔監視のサービスを開始した。図1に一例として,遠隔監視端末標準搭載のターボ冷凍機RTBA型を示す。
状態基準保全に向けた取り組みとして,新設試運転当初からの運転データ蓄積のため,2022年4月から日本国内に出荷する冷凍機・冷温水機に遠隔監視端末の標準搭載を開始した。長期に渡り機器の安定運用のサポートは勿論,取得・蓄積したデータを有効活用し,お客様サポートを推進していく。
※RISSAは荏原冷熱システム㈱の登録商標です。
特長
(1)1分間隔のデータ採取によって通年で機器詳細点検が可能
(2)顧客価値提供の第一弾として,有償による故障予兆サービスを開始
図1 遠隔監視端末搭載 ターボ冷凍機(RTBA型) Fig. 1 Centrifugal chiller equipped with remote monitoring device (Model RTBA)
[荏原冷熱システム㈱]
某製鉄所の焼結設備に納められているブロワの更新計画に対し,当社は回転体・ケーシング一式を納入した。図1に当社工場内における組立時の外観を示す。
図1 社内組立時 Fig. 1 Factory assembling
ブロワの摩耗対策として,顧客のニーズに合わせるため,既設機より硬度が高い耐摩耗ライナー(硬度HV900相当)を採用した。
硬度が高い耐摩耗ライナーをケーシングに施工することに対して問題となるのが,曲げ加工や溶接時の入熱により硬化層に割れや欠けが発生するリスクが高いことである。
ケーシングに本耐摩耗ライナーを施工するのは,当社とライナー製作メーカーともに初の試みであったことから,ライナーの分割寸法・溶接方法・検査基準などについて顧客・ライナー製作メーカーと入念に検討を行った。
また,製作に当たっては,予熱温度・開先(スキマ)・溶接姿勢などについて計4パターンのテストピースを製作し,硬化層の健全性を確認することで課題を解決し,実機製作を行なった。図2は実機ケーシングにライナーを施工した様子である。
ブロワ仕様
機 名:No.22DMPC(BD)
風 量:約200 000 Nm3/hr(約6 700 m3/min)
昇 圧:約17 kPa
吸込ガス温度:約170 ℃(Max200 ℃)
電動機出力:約2 600 kW
図2 ケーシングライナー Fig. 2 Casing liner
[㈱荏原風力機械]
伊豆市伊豆の国市廃棄物処理施設組合(構成市:伊豆市,伊豆の国市)から2019年に受注したクリーンセンターいず(図1)が2022年12月31日に竣工した。
本施設は隣接する伊豆市,伊豆の国市の既存のごみ処理施設を新施設に集約することにより処理効率を高め,高効率なごみ発電を実現している。焼却炉方式は,HPCC®21ストーカ式焼却システム(41 t/d×2炉)が採用された。蒸気条件4 MPa×450 ℃のボイラ導入により,最大1 200 kWの発電を行う。ごみの持つエネルギーを有効活用することで,循環型社会を形成する施設を目指している。
また,美しい山川に囲まれ自然と調和する本施設は,「長期的に安心,安全で安定稼働する施設」,「環境保全に限りなく配慮する施設」,「住民に開かれ,地域に貢献する施設」,「経済性に優れる施設」という4つの基本方針のもと,防災,環境啓発,観光等,様々な側面で地域に根差した施設として,これから20年間の運営事業を担っていく。
※HPCCは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標である。
図1 クリーンセンターいず 施設外観 Fig. 1 Clean Center IZU external view
[荏原環境プラント㈱]
㈱エフオンより受注した㈱エフオン新宮(和歌山県新宮市)向け発電関係設備(ボイラ最大連続蒸発量83 t/h×定格出力18 000 kW)を納入し,新宮発電所は2022年8月に営業運転を開始した。本設備は当社のICFB®内部循環流動床ボイラを採用し,ボイラの高温・高圧化や2段抽気復水タービンの採用により高効率発電を実現している。また,木質バイオマス燃料に少なからず混入する土砂による流動への影響を極小化するため,風力式粒度調整器を導入している。
未利用材,一般木材,リサイクル木材を燃料として使用することにより,カーボンニュートラルを実現し,SDGsにある17の目標のうち7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の達成に寄与している。
※ICFBは,荏原環境プラント株式会社の日本における登録商標です。
図1 エフオン新宮 バイオマス発電施設外観 Fig. 1 EFON SHINGU biomass-burning power plant external view
[荏原環境プラント㈱]
中国江西省 南昌二期ごみ焼却施設にストーカ式焼却設備を2022年7月に納入した(図1)。施設規模は750 t/d×2炉=1 500 t/dである。青島荏原環境設備有限公司は,ごみ焼却関連設備の基本設計を行うとともに,焼却炉周りの主要機器を納入した(表1)。
当社は,南昌市において既に南昌一期のストーカ式焼却炉(処理量600 t/d×2炉=1 200 t/d)の納入実績により信頼を得ることができ,それに続く2件目の受注である。
図1 南昌二期ごみ焼却施設 Fig. 1 Nanchang City waste incineration plant (Phase II)
事業主 | 南昌首創環保能源有限公司 | ||
施設名称 | 南昌二期ごみ焼却施設 | ||
焼却炉 | エバラHPCC型ストーカ式焼却炉 | 蒸気利用※ 2 | 蒸気タービン発電(40 MW×1基) |
処理量:1 500 t/d(750 t/d×2炉) | 排ガス処理設備※ 2 | NOx除去方式:無触媒脱硝(SNCR) | |
ボイラ※ 1 | 自然循環テールエンド型水管ボイラ | HCl・SOx除去方式:半乾式+乾式 | |
蒸発量:86.2 t/h/缶 | 集じん方式:バグフィルタ | ||
蒸気条件:450 ℃×6.4 MPaG | ダイオキシン類対策:活性炭噴霧 |
※1 青島荏原所掌:基本設計
※2 客先所掌
[青島荏原環境設備有限公司]
中国江西省南昌一期ごみ焼却施設(600 t/d×2炉)は2015年に竣工した当社納入施設である。この度,この施設において,高カロリー化したごみの安定処理とともに,エネルギー回収率向上を図る改造工事を行った。蒸発量24.5 %増加に伴い発電量向上を達成し,高カロリー化する中国のごみへの有効な対策が可能であることを確認した(図1)。
焼却方式:エバラHPCC型ストーカ式焼却炉
処理能力:1 200 t/d(600 t/d×2炉)
工事概要(主な改造機器)
①焼却炉への水冷壁等の配置
②ボイラ水管の増設
③ボイラ給水ポンプの追加
④助燃バーナ更新
工期:2021年7月~2021年12月
図1 南昌一期ごみ焼却施設 Fig. 1 Nanchang City waste incineration plant (Phase I)
[青島荏原環境設備有限公司]
近年,し尿・浄化槽汚泥を直接脱水し,脱水分離液を井水等で希釈後に下水道へ放流する下水道放流方式の普及が進んでいる。脱水分離液の性状によっては,下水排除基準を満たすために多量の希釈水を必要とし,下水道放流量が増大している。これに伴い下水道使用料金が増加することが課題となっている。
そこで希釈水使用量の制限因子がBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)である場合に,希釈水使用量を削減する技術として流動担体法で簡易処理を行う新規プロセスを導入した。
特長
(1)脱水分離液のBODが大きく変動した場合でも処理水質を安定化
(2)希釈水使用量を削減
(3)活性汚泥法に比べて汚泥濃度管理等の維持管理の手間を低減
概要
処理方式:直接脱水+簡易処理+希釈下水道放流
処理量:151 m3/日
処理実績:BOD 300~800 mg/L → 300 mg/L以下
図1 簡易処理に用いる流動担体 BIO WHEEL® Fig. 1 Fluidized carriers for simplified treatment
[水ingエンジニアリング㈱]
沖縄県宜野湾市内に汚泥再生処理センター(発注者:倉浜衛生施設組合(構成市町:沖縄市,宜野湾市,北谷町))(図1)を建設した。
前脱水+希釈下水道放流方式を採用しシンプルなフローとすることで,既設敷地内への建設を可能にした。本事業はDB(Design Build)方式であり,設計・施工を水ingエンジニアリング㈱・㈱仲本工業特定建設工事共同企業体が行った。
特徴
(1)学校給食の生ごみ(調理残渣)を有機性廃棄物として受け入れ,し尿・浄化槽汚泥と共に軸摺動式スクリュープレス脱水機で直接脱水する。脱水汚泥は,含水率を70 %以下とすることで,助燃剤として再資源化し,同組合のごみ処理施設で利用する。
(2)脱水分離液の希釈水は,隣接する下水処理場の処理水を使用することで,地域の水資源を有効活用している。
(3)施設で発生する臭気は全て捕集し,生物脱臭+薬液洗浄+活性炭脱臭により処理することで,万全の臭気対策を行っている。
概要
・処理方式:脱水+希釈下水道放流
・処理量:29 kL/日(し尿8 kL,浄化槽汚泥21 kL,生ごみ400 kg)
・工 期:2020年6月~2022年3月
図1 汚泥再生処理センターの外観 Fig. 1 New sludge recycling center external view
[水ingエンジニアリング㈱]
藤沢工場ものづくり50年の歴史
1966年頃の藤沢工場
縁の下の力持ち 高圧ポンプ -活躍場所編ー
100万kW火力発電所内で活躍する50%容量ボイラ給水ポンプ
RO方式海水淡水化用大容量、超高効率高圧ポンプの納入
長段間流路内の流線と後段羽根車入口の流速分布
縁の下の力持ち ドライ真空ポンプ -真空と真空技術の利用ー
真空の領域と用途例
座談会 エバラの研究体制
座談会(檜山さん、曽布川さん、後藤さん)
縁の下の力持ち 標準ポンプ -暮らしを支えるポンプー
標準ポンプの製品例
座談会 未来に向け変貌する環境事業カンパニー
座談会(三好さん、佐藤さん、石宇さん、足立さん)
世界市場向け片吸込単段渦巻ポンプGSO型
GSO型カットモデル
エバラ時報に掲載の記事に関する不明点やご相談は、下記窓口よりお問い合わせください。
お問い合わせフォーム