掲載号: No. 268〔納入製品・施設紹介〕

立川市向け可燃ごみ焼却施設(熱回収施設)の納入

Installation of Combustible Waste Incineration Plant (Heat Recovery Plant) for Tachikawa City

執筆者

佐瀬 正光*
Masamitsu SASE

江口 隆弘*
Takahiro EGUCHI

*

荏原環境プラント㈱

立川市に可燃ごみ焼却施設を2023年2月末に納入した。本施設は最新型のストーカシステムを採用し安定したごみ焼却が行えることと共に,高効率なエネルギー回収が行える施設であることや,周辺地域との調和を重視して施設設計を行ったことが特徴である。本稿では本施設の施設概要と運転状況,これまでの取り組みを報告する。

We installed an incineration plant for combustible waste in Tachikawa City at the end of February 2023. This plant uses the latest stoker-type incineration system, incorporating cutting-edge technology to ensure stable waste incineration and enable highly efficient energy recovery. The plant was also designed with a strong emphasis on blending harmoniously with the surrounding community. This paper reports an overview of the plant, its operational status, and the efforts made to date.

Keywords: Stoker type incinerator, Incineration ash, Fly ash, Power generation efficiency

1.はじめに

立川市は新たなごみ処理施設として,120 t/d(60 t/
24 h×2炉)の能力を有する可燃ごみ焼却施設立川市クリーンセンターたちむにぃを建設した(図1)。

図1 立川市クリーンセンターたちむにぃ外観

本施設は最新技術を導入したストーカ式焼却炉を有し,ごみを適切に処理することに加え,循環型社会に適応するとともに,防災機能等を備えた施設として,立川市が目指す以下の考えに基づき建設されたものである。
1)環境負荷のさらなる低減を図る施設
2)安心・安全で安定した施設
3)エネルギーの有効活用を推進する施設
4)大規模災害時に機能が損なわれない施設
5)市民から親しまれる施設
本稿では本施設の概要と特徴について紹介する。

2.設備概要

2-1 事業概要

立川市は昭和54(1979)年に稼働した1・2号炉2基と平成9(1997)年に稼働した3号炉1基による可燃ごみの処理を継続してきた。これら既存施設の老朽化に伴い,新たなごみ処理施設の整備計画を策定し,可燃ごみ焼却施設を建設する運びとなった。

本事業は可燃ごみ焼却施設の設計・建設及び20年1ヶ月間の施設運営を含めて発注するDBO方式が採用され,荏原環境プラント㈱を含むジョイントベンチャー(共同企業体,以下:JV)が受注した。

なお,立川市は契約上の運営期間終了後も15年以上の長期運営について構想している。

2-2 建設工事概要

図2に建設工事の工程概要を,図3に全体配置図を示す。本事業は,敷地が立川基地跡地であったことから不発弾調査を含む敷地調査を工程内に実施するなど,厳しい管理が必要な事業であったが,立川市及び建設工事のJVパートナーである吉川建設㈱との綿密な調整を行い,予定通りの竣工に至った。

図2 工程概要

図3 全体配置図

2-3 施設概要

表1に可燃ごみ焼却施設の主要な設備概要を示す。また図4にごみ焼却施設の設備フローを示す。

表1 設備概要

図4 設備フロー

施設に搬入されたごみは,プラットホームからごみピットへ投入される。

ごみピットで受け入れたごみは攪拌された後,ごみクレーンで焼却炉に投入され,焼却炉内で850 ℃以上の高温で焼却処理される。

焼却炉から排出される排ガスはボイラーで熱回収し,減温塔で170 ℃まで冷却された後,活性炭及び消石灰を噴霧し,集じん装置ではばいじんを捕集,酸性ガスを中和処理,水銀及びダイオキシン類を吸着除去する。窒素酸化物は炉出口部にアンモニア水を噴霧することで除去している。

集じん装置を出た排ガスを一部分岐させ,炉内に吹き込み,撹拌効果を得る排ガス再循環方式を採用することで,低空気比でも安定した燃焼を維持している。

焼却灰は磁性物を分離後,灰冷却装置で加湿冷却され,灰ピットで貯留される。

また,飛灰は集じん装置で回収され,飛灰貯留槽に貯留される。

焼却灰,飛灰とも東京たま広域資源循環組合のエコセメント化施設に送られ,セメント原料にリサイクルされることで,埋立処分ゼロを達成している。

ボイラー蒸気条件は常用圧力4 MPa×常用温度420 ℃とし,高効率エネルギー回収を実現している。

本施設で発電した電力は施設運転に使用し,そのうえで余剰電力を当社へ売却している。

当社は立川市本庁舎及び総合リサイクルセンターへ電力を供給しており,電力の地産地消に繋がっている。

3.運転状況

3-1 排ガス性状

性能試験時の各排ガス測定値を表2に示す。いずれの値も保証値を下回り,性能を十分に有していることを証明した。

表2 性能試験結果

図5に運転時のトレンド例を示す。燃焼調整に際しては短期的な変動もあるものの,排ガス再循環によって酸素濃度は低めで安定しており,窒素酸化物も無触媒脱硝による制御のみで低値で安定している。その結果,触媒脱硝装置へのアンモニア供給は不要となっている。一方,低い酸素濃度で制御しているにもかかわらず,一酸化炭素のピークも抑制できている。

図5 酸素濃度と窒素酸化物,一酸化炭素濃度の経時変化

3-2 発電効率

竣工から1年間の発電効率の推移を図6に示す。

図6 竣工後の発電効率

本施設は基準ごみ2炉定格運転時を蒸気タービンの設計点としている。計画ごみ質は低質ごみ5 400 kJ/kg,基準ごみ9 000 kJ/kg,高質ごみ12 600 kJ/kgであったが,実際のごみ質は約9 400 kJ/kg~約9 900 kJ/kgと基準ごみを上回っていた。そのため,1炉運転時の低負荷運転による効率の低下はあったものの,2炉運転時はタービンの定格能力に近い運転状態を継続することができ,ほぼ想定通りの発電効率となった。

4.大規模災害に対する備え

本施設の設計においては,大規模災害を考慮し,通常の耐震設計に加え,付加的条件を加えた設計によって耐震性を高めている。

また,水槽,薬品,灯油などユーティリティが断絶した場合にも施設の運転が継続できる容量を確保している。特に用水については,災害用井戸を施工し,断水時への備えを万全なものとしている。

5.環境啓発など地域との関わり

施設の外観や見学者エリア内観は,地域住民の意見を反映して「森の中の美術館」をイメージして設計した。

管理棟1階エントランスホールの壁面に設置したアートウォールは,施設近隣の小学校の児童が授業の一環として塗装した地元・多摩産の木材で構成されている(図7)。このアートウォールが永く施設を彩り,地域住民の方に親しまれていくものと期待している。

図7 管理棟1階エントランスホールのアートウォール

環境啓発に関しては,見学者が能動的に学び,環境行動への意識を高めることができるコンテンツのほか,廃材アート(図8,図9)を展示している。

図8 廃材アート展示品1

図9 廃材アート展示品2

また,排ガス処理に使用するろ過式集じん器(図10)のろ布の実物展示方法にも工夫を凝らし,照明と組み合わせてシャンデリアのように天井から吊るしている(図11)。

図10 ろ過式集じん器に使用するろ布の役割り

図11 ろ布展示方法

図12に見学者ルート図を示す。管理棟からの見学で総長約400 mの行程であり,主要な見学対象を2階に集中させたコンパクトなものとなっている。

図12 見学ルート

令和5年度には,立川市の環境イベントと協業し,施設探検ラリー(図13)や廃材アートのライブ制作(図14)などを実施するイベントを開催し,約600人ものお客さまが参加され,盛況であった。今後も年1回の環境イベントを実施する計画である。

図13 施設探検ラリー

図14 廃材アートのライブ制作

6.おわりに

本施設は2023年2月に竣工し,現在まで順調に運転を続けている。本施設はDBO方式の事業で建設されたものであり,竣工後の20年1ヶ月間の長期に亘る運営を継続実施していく。

立川市は運営基本方針として『たちむにぃ宣言』を公表している。当社は,その考えに則り,安心安全かつ経済的なごみの焼却処理に加え,環境啓発活動を通して,地域に根付いた市民から親しまれる施設を目指して努力していく所存である。

最後に本施設の建設において多大なご指導を頂いた立川市の関係各位,及びご協力頂いた関係各位に厚く御礼申し上げる。

参考文献

1) 黒澤和重,地域住民に親しまれる立川市クリーンセンターの環境学習への取り組み,第45回全国都市清掃研究・事例発表会講演論文集(2024).

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