形態最適化技術は(国研)宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究により開発された技術であり、当社では産業用ターボ機械への応用展開に取り組んでいます。
形態最適化によるポンプ部品配置の変化
ロータダイナミクス(回転体の振動)はターボ機械の信頼性を左右する重要な技術です。従来のロータダイナミクス技術はそのほとんどが横軸回転体を対象としたものとなっており、立軸回転体の場合は、機械要素の振動特性や回転体の挙動の面で横軸とは異なるために、未解明問題が存在することが課題となっていました。
当社では大学との共同研究により、立軸ロータダイナミクスの解析・評価技術の向上に取り組んでいます。下記の例は立軸回転体の静止側構造物の振動特性を考慮した場合の自励振動発生を予測したものであり、回転数の増加に伴って自励振動が発生しますが、より高速回転になると消滅することを明らかにしました。
横軸すべり軸受と立軸すべり軸受の挙動の違い
静止部振動を考慮した立軸回転体の自励振動発生領域(計算結果)
ポンプなど流体を扱う回転機械では、機械の振動特性に対して流体が及ぼす影響が大きく、これを予測する技術が必要になります。荏原では様々な振動現象に対して流体が及ぼす影響(付加質量効果や付加減衰効果、流体起因の加振力等)について研究し、日々高性能化する回転機械の振動防止に努めています。
図は遠心ポンプ羽根車の水中での固有振動数(振動しやすい周波数)を予測した例です。運転中の羽根車の固有振動数は空気中の50%以下になることもあり、その変化はケーシングとの隙間によって大きく変化します。
遠心ポンプ羽根車の水中固有振動数の例