キャビテーションとは、液体が低圧状態(飽和蒸気圧※以下)になった時に気化して気泡が発生する現象です。原理としては沸騰と同じですが、圧力が十分低ければ、常温でも発生します。
ポンプは水の圧力を上げて送り出す機械ですが、水を吸い込む入口部などで、圧力の低い場所が発生します。その場所の圧力が、飽和蒸気圧以下になるとキャビテーションが発生します。
この他、液体の低圧部で液体中に溶けていた酸素などの気体が遊離して気化する現象も含め、特にこれを指して、ガスキャビテーションと呼びます。
水中の翼面上に発生したキャビテーション。白い雲状に見える
ポンプ内にキャビテーションが発生すると、主に三つの悪影響が発生します。
一つは、振動や騒音、また流れの脈動が増大する現象です。
次は、ポンプの揚水能力が低下し、遂には水を送れなくなる現象です。
最後に、ポンプの部品が削られ、最悪の場合は貫通孔や折損に至る壊食現象です。
このように、キャビテーションはポンプの大敵の現象であり、いかに対処するかが、ポンプメーカに課せられた大きな課題となります。
荏原では、各種のキャビテーション現象に、先端的な流体解析技術を適用して詳細を解明するとともに、その情報をポンプの設計、製作に反映することにより、問題を低減する研究を続けています。
※飽和蒸気圧:ある温度において、液体が蒸発して平衡状態になった際の蒸気の圧力。100℃の水の飽和蒸気圧は、ちょうど1気圧となる。
流体数値解析で得られた水中の翼面上のキャビテーション画像。水中翼は圧力で色分けされている