マテリアリティ(重要課題)

5つのマテリアリティ(重要課題)

長期ビジョンE-Vision2030では、「技術で、熱く、世界を支える」というスローガンのもと、当社グループが2030年に向けて解決・改善に取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)を設定しました。事業活動を通じてこれらの解決に取り組むことで、社会・環境価値、経済価値の向上につながるアウトカムの実現を図ります。

SDGsとの関連性

2015年に採択された国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)は、包括的で持続可能な世界を構築するためのフレームワークを確立しています。当社グループは、価値創造ストーリーを実践し、ESG経営やSDGs達成への寄与を通じて持続的に社会に貢献し、社会・環境価値と経済価値を向上させていくことで企業価値を高め、 グローバルエクセレントカンパニーを目指します。

独立社外取締役を含む経営陣による議論と、外部専門家からの意見を参考に、当社が事業を通じて解決すべきマテリアリティ(重要課題)とそれらに関連するSDGsを以下の通り特定しました。

5つのマテリアリティと関連するSDGs

マテリアリティ特定のプロセス

ステップ1

当社グループは1912年の創業以来、常にその時代の社会や産業とそこに生きる人々の暮らしの課題に向き合い、熱意をもって技術を開発し、誠意をもって製品やシステム、サービスを社会に提供してきました。当社グループは、今後も「荏原らしさ」を基軸として、創業以来培ってきた技術力と信頼性を強みとして、事業を通じて社会・環境課題の解決に挑戦し続けていくことを確認しました。

ステップ2

今後10年間、さらにはもっと先の将来に想定される社会的・環境的課題に対して、当社グループの強みを活かし、事業を通じて貢献する重要課題について議論しました。

重要課題の議論においては、SDGsなどの国際的に認知されている課題や、GRIガイドライン、ISO26000などのCSR/ESGのフレームワークを考慮しました。

ステップ3

事業を通じて社会・環境課題の解決に貢献し、同時に経済価値を向上させることで、企業価値も向上させていくことを、「長期ビジョンE-Vision2030」におけるありたい姿とすることを取締役会で決定しました。併せて、E-Vision2030において当社が解決すべき5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

マテリアリティ(重要課題)解決の取り組み

マテリアリティ1. 持続可能な社会づくりへの貢献

マテリアリティに関連するSDGs

マテリアリティに関連するSDGs

社会・お客様が直面している主な課題

CO2の排出抑制

異常気象による災害の激甚化

人口増加や経済発展に伴う社会インフラの整備と高効率化

途上国の水需要の増加、水インフラの整備と高効率化

老朽化したインフラの更新

食糧問題 など

荏原グループの主な取り組み

製品の省エネルギー化・軽量化

環境負荷の抑制

環境負荷の低減に資する技術や製品の開発

水やごみ処理に関わる社会インフラの安定的な供給と稼働 など

荏原グループの取り組み事例

①途上国向け浄水・給水ビジネスモデルの創出

E-Vision2030の成果目標の1つ「世界で6億人に水を届ける」ことを目標に、ドイツのスタートアップ企業と提携し、貧困層や経済・社会システムの脆 弱な地域で「持続可能性に富む給水のビジネスモデル」を創出しました。

太陽光発電を用いて浄水装置を運転し、飲料水をつくり、販売する施設「WaterKiosk®」を、ケニア・マチャコス の障害を持つ子どもたちの学校の敷地内に開設しました。つくられた飲料水は、学校には無償で提供し、余剰水を地域コミュニティに有償で販売することで、運営費及び将 来のメンテナンス費用を賄い、自立したビジネスとして運営できる持続性の高い仕組みを実現しています。更に飲料用以外の 水は学校の敷地内で魚の養殖や野菜栽培に利用し、育った魚や野菜は学校給食として提供します。本件は、第5回ジャパンSDGsアワード特別賞を受賞しました。


また、電源インフラの整っていないブラジル内陸部においては、ソーラー発電を利用したソーラーポンプを提供することにより、農業や人々のくらしに必要な水を供給できるようにしています。
地域の環境やニーズに合った製品やユニットで世界中の人に水を届けます。

②陸上養殖システムの省力化・自動化に寄与することで、水や食べ物に困らない社会をつくる

スマート養殖の分野(ICT活用による養殖環境管理)において、当社の流体、熱に関する技術を活用し、閉鎖循環型の陸上養殖システムとサービスの構築に取り組んでいます。協業先の持つ技術との組み合わせにより価値提供を最大化することで、持続可能な方法で美味しい魚を食べ続けることができる世界を目指します。

陸上養殖 システムのイメージ図

陸上養殖 システムのイメージ図

マテリアリティ2. 進化する豊かな生活づくりへの貢献

マテリアリティに関連するSDGs

マテリアリティに関連するSDGs

社会・お客様が直面している主な課題

Society5.0の実現

IoT、自動運転、AI、クラウド、5Gなどの進化と需要拡大への寄与

新しいビジネスや技術の創出

荏原グループの主な取り組み

半導体の進化ロードマップに対応した半導体製造装置の開発

社会インフラの遠隔監視や故障予知

業務提携・出資による技術提供や協働研究 など

荏原グループの取り組み事例

①半導体製造装置の進化を通じた未来社会実現への貢献

Society5.0で描かれている未来社会においては、サイバー空間と現実世界が高度に融合することにより、経済発展と社会的課題の解決を両立していくことが目標とされています。IoT・ロボット・AI・ビッグデータなどの先端技術によって、エネルギー・環境/気候変動・食料・防災・医療/介護といった問題を解決するためには、半導体の存在が不可欠です。

E-Vision2030の成果目標に掲げている「14Åへの挑戦」は、Society5.0の実現に寄与する高性能で省エネルギーな半導体の製造を実現することへの挑戦です。

EUV露光装置向け排気システム市場に参入し、出荷を開始したり、精密・電子事業と冷熱事業で協業し、半導体装置向けチラーを発売したりしています。また、国際的研究機関との共同開発や次世代製品 の開発、最先端技術への対応を推進 しています。
今後、ますます需要が拡大する半導体ニーズに対応するために、製造ラインの増強に着手しています。

②業務提携・出資による技術提供や共同研究

荏原グループが創業以来培ってきた水、空気、環境の分野での技術を活かせたり、社会・産業・くらしを支えるという荏原グループの存在意義と合致する志をもったスタートアップ企業や、ベンチャー企業との業務提携や出資、従業員の派遣を通じて、社会課題の解決に資する新規事業の開発や新しいビジネスモデルの創出に取り組んでいます。

<提携事例>
・Spiber株式会社への出資と構造タンパク質素材の製造分野における 業務提携
持続可能な次世代の基幹材料として期待される構造タンパク質素材の産業化を 目指す同社の製造プロセスの効率化に荏原グループの技術で貢献します。また、構造タンパク質素材を活用した荏原グループの既存製品の改良に向けた協議を進めてまいります。


マテリアリティ3. 環境マネジメントの徹底

マテリアリティに関連するSDGs

マテリアリティに関連するSDGs

荏原グループの主な課題

GHG排出量の削減

再生可能エネルギーの利用

資源リサイクル など

荏原グループの取り組み

環境への負荷の小さい生産に努めます。そのために、生産プロセスにおけるCO2排出削減に注力しています。2030年のCO2排出量(Scope1,2)を2018年実績比26%削減することを目指しています。

①CO2排出量の削減に向けた対策

国内の事業所において、荏原環境プラントが運転委託されてごみ処理施設のごみ発電による電力を利用しています。また、生産拠点に設置されたソーラーパネルの増設など、再生可能エネルギーの比率を高める方法を検討しています。

②海外グループ会社における環境マネジメントの徹底

E-Vision2030で掲げた環境マネジメントの徹底の一環として、2024年までに製造工場およびメンテナンス工場を有する全てのグループ会社でISO14001認証取得を完了する予定です。2021年1月時点でISO14001認証を取得している会社数は国内グループで8社、海外グループで17社です。海外グループ会社におけるISO14001認証取得を進めています。

グループ各社で環境マネジメントシステムに基づくPCDAを回すことで、「CO2排出量をはじめとする環境パフォーマンスの改善および環境法令順守」を徹底して参ります。


関連情報


マテリアリティ4. 人材の活躍促進

マテリアリティに関連するSDGs

マテリアリティに関連するSDGs

社会・お客様が直面している課題

多様性の向上から生まれるイノベーション

グローバルに活躍できる人材の育成

一人ひとりの能力の最大化と活用

更なる迅速な業務対応

荏原グループの取り組み

「競争し、挑戦する企業風土」を目的に、以下の施策に取り組んでいます。

①グローバルエンゲージメントサーベイの実施

2019年度より国内外グループ会社全従業員を対象としたグローバルエンゲージメントサーベイを実施し、従業員が会社や仕事についてどのように考えているのかを調査しています。

調査結果を踏まえて全社/各部門でエンゲージメント向上のためのアクションプランを策定・実施した結果、2019年度と比べ従業員の肯定的な回答が増加しました。特に、経営層からのメッセージ発信の強化などにより総合的な指標である「持続可能なエンゲージメント」や「経営陣」のカテゴリが良化しました。また、迅速で的確なコロナ感染予防対策により「安全性」のカテゴリで肯定的な回答が増える結果となりました。2030年までに「持続可能なエンゲージメント」項目83%以上達成することをKPIとしています。

2020年12月期サーベイの結果(一例)
アンケートカテゴリ 肯定的な回答の割合
(荏原グループ全体)
持続可能なエンゲージメント※ 78%(+3%)
経営陣 64%(+5%)
安全性 79%(+4%)
※生産的な職場環境、心身の健康などによって維持される、組織に対する高い帰属意識を指す
( )
:2019年差
②さらなる成長と競争力強化を生み出すデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と高度専門人材の採用

真のグローバル経営を実現するために、ERP(企業資源計画)システムを2024年末までに導入し、グローバル業務標準化を目指しています。導入専任体制(中途採用者と社内人材を含む約70名)をの構築のうえ、組織実行体制の強化を図ります。


関連情報


マテリアリティ5. ガバナンスの更なる革新

荏原グループの取り組み

当社は、会社の持続的な成長を促すために、コーポレート・ガバナンスを段階的に進化させてきました。今後も、海外の先進的な企業をベンチマークとするなど、ガバナンスのベスト・プラクティスを実践していきます。


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