半導体デバイスの製造プロセスでは、ナノレベルの微細加工が要求される工程もあり、パーティクル等固形異物の混入はもちろん、半導体デバイスに接触するすべての薬液や水に不純物が溶解しないように細心の注意を払う必要があります。
そこで荏原では、半導体製造装置で使用する部材のうち、特にデバイスに直接接触する部材や、デバイスに接触する薬液が接触する部材については、徹底的な品質管理を実施しています。
今回は、部材からの発塵量に関する品質管理とは別に実施している、溶出試験について紹介します。
例えば、従来使用していたウェーハ洗浄用部材として新たな部材を採用する場合には、事前に部材の溶出成分の比較を実施します。
具体的には、部材を一定条件で超純水や薬液に浸漬させ、特に金属成分等、半導体デバイス製造にとって避けるべき成分について、新規部材からの溶出成分が一定の濃度以下であることを確認します。
ここで要求される検出濃度はppt※レベルであるため、分析には非常に高感度で一度に多種類の元素を分析することができる、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を使用します。
また、このレベルの分析を実施するためには、環境中からのコンタミネーションを極限まで排除することが必要であり、全ての操作はクリーンルーム内において実施し、使用する容器を超純水で長時間洗浄するなど、徹底的な分析工程の管理をしています。
こうした評価を経て、合格した部材のみを採用しています。
ウェーハ洗浄用部材
ICP-MS
※ ppt:ppmの100万分の1の濃度。1pptは1000Lの水に1μgの溶解量