黒澤 和重*
小林 宏次*
田 書 営**
王 正 兵**
単 洪 磊**
*
荏原環境プラント㈱
**
青島荏原環境設備有限公司
by Kazushige KUROSAWA, Koji KOBAYASHI, Shuying TIAN, Zhengbing WANG, & Honglei SHAN
Ebara’s grate-type incinerator with a capacity of 1050 t/d (525 t/24 h×2 line) was delivered to Zhangzhou City, Fujian, China, and its performance test was completed in September 2014. Ebara Environmental Plant Co., Ltd. and Ebara Qingdao Co., Ltd. already delivered four incineration plants in mainland China; two with fluidized-bed type incinerators and two with grate-type incinerators, and reported about the grate-type incinerator delivered to Weihai City, Shandong, in the Ebara Engineering Review. This is the fifth incinerator delivered to China and the largest in scale of our grate-type incinerators. The calorific value of waste in China is lower than that in Japan; however, by making use of the experiences from previous incinerators, we improved a part of the furnace and system design to realize more stable operation.
This paper describes the design improvements, results of the performance test, and operational condition to date.
Keywords: China, Waste, Incinerator, Stoker, Calorific value, Combustion, Environmental, HPCC, Qingdao
中国福建省漳州市に納入したストーカ式焼却設備は,2014年9月末に性能試験を完了し,試験結果確認後,12月から正式な商業運転に入った。漳州市施設は荏原グループのストーカ式焼却炉として,1炉1日当たりの処理規模が500トンを超える初めての焼却炉であり,1施設としても1日当たり1000トン以上となる初の施設である。当グループと上海環境集団有限公司が協力して建設した二つ目の施設で,当グループの中国向け大型ストーカ炉の標準仕様を確立した案件でもある(写真1)。
本件以降も,内モンゴル自治区呼和浩特(フフホト)市500 t/d×1基,江西省南昌(ナンチャン)市600 t/d×2基,江蘇省南京(ナンジン)市500 t/d×4基において,当社納入のストーカ炉が商業運転に向けた試運転を開始している。
本施設は,漳州市初の都市ごみ焼却施設であり,当グループは,高含水率かつ灰分が非常に高いという中国特有のごみ組成に対応した設計を行った。
写真1 漳州市ごみ焼却施設 Photo 1 Zhangzhou waste-to-energy plant
漳州市は,福建省の南東に位置する 面積12607 km2,人口約480万人の地級市(中国の行政区分で,規模としては日本の県に近い)である。年平均温度は21 ℃と温暖で,米をはじめとする豊富な農産物の生産基地であり,花の産地としても有名である。
漳州は,唐の時代に建州された歴史文化で有名な都市であり,中国の文化遺産保護制度である,国家歴史文化名城に指定されており,世界文化遺産に登録された福建土楼などがある。
図1に,中国大陸における漳州市の位置を示す。
図1 中国大陸における福建省漳州市の位置 Fig. 1 Location of Zhangzhou city, Fujian, in mainland China
漳州市のごみ低位発熱量・ごみ組成を表1に示す。
漳州市生活ごみ焼却施設の主な設備仕様を以下に示す。なお,②から⑥の設備については顧客所掌である。
①焼却炉
形 式:全連続燃焼ストーカ式(HPCC 型= High Pressure Combustion Control Type)
処理量:1050 t/d(525 t/d×2基)
②ボイラ
③蒸気タービン発電設備
④排ガス処理設備
排ガス処理方式:無触媒脱硝+半乾式有害ガス除去(水酸化ナトリウム噴霧)+乾式有害ガス除去(消石灰噴霧)+活性炭噴霧+バグフィルタ
⑤煙突
⑥建築物
建築面積: 56 300 m2
⑦公害防止基準値 〔煙突出口排ガス基準値〕
ば い じ ん:20 mg/m3(NTP)以下(O211%換算値)[ 18 mg/m(3 NTP)以下(O212%換算値)]
硫黄酸化物:195 mg/m3(NTP)以下(O211%換算値)[61.4 ppm以下(O212%換算値)]
窒素酸化物:195 mg/m3(NTP)以下(O211%換算値)[85.5 ppm以下(O212%換算値)]
塩 化 水 素:48 mg/m3(NTP)以下(O211%換算値)[26.5 ppm以下(O212%換算値)]
一酸化炭素:50 mg/m3(NTP)以下(O211%換算値)[36 ppm以下(O212%換算値)]
ふっ化水素:2 mg/m3(NTP)以下(O211%換算値)[2 ppm以下(O212%換算値)]
ダイオキシン類:0 .09 ng-TEQ/m(3 NTP)以下(O211%換算値)[ 0.081 ng-TEQ/m(3 NTP)以下(O212%換算値)]
※ []内の数値は日本で使用される換算値で表したものである。
図2に設備フロー図を示す。本施設では,収集された生活ごみは,ごみピットに貯留され,水分の分離と発酵による温度上昇で乾燥し,発熱量が高まる。その後,ごみクレーンを用いて,ごみホッパに投入され,給じん装置を介して焼却炉へ送られ,焼却炉において850 ℃以上の高温で焼却処理される。焼却炉から発生した高温排ガスは,ボイラで190 ℃まで熱回収され,半乾式反応塔で160 ℃まで冷却された後,煙道で消石灰及び活性炭と混合され,酸性ガスの中和,重金属・ダイオキシン類の吸着が行われる。その後,バグフィルタで,飛灰や,中和によって生成された塩類,活性炭によって吸着された重金属・ダイオキシン類が分離除去され,誘引送風機にて,排ガスは煙突から大気に放出される。
焼却炉から排出された焼却灰は,灰押出装置で冷却された後,振動コンベヤで灰ピットに移送され一時貯留される。その後,灰クレーンで灰搬出車に積載され,場外へ搬出される。
バグフィルタ等で捕集された飛灰は,コンベヤで灰サイロへ送られ一時貯留される。その後,飛灰処理装置で混練された後,飛灰搬出車で埋立処分場へ搬送される。
項目 Item |
低質ごみ Low-calorific value waste |
設計ごみ Design waste |
高質ごみ High-calorific value waste |
低位発熱量 Lower calorific value |
4187 kJ/kg | 6279 kJ/kg | 8374 kJ/kg |
水分 Moisture content |
59.8% | 53.3% | 46.7% |
可燃分 Combustible content |
24.4% | 32.7% | 41.0% |
灰分 Ash content |
15.8% | 14.0% | 12.3% |
図2 設備フロー図 Fig. 2 Flow sheet of plant
中国におけるごみ焼却施設の建設は日本国内向け施設と異なり,ごみ処理事業を請け負った特別目的会社(SPC=Special Purpose Company)が自ら行うため,当グループの本施設への納入範囲は,焼却系統と排ガス処理系統の基本設計(一部詳細設計を含む),主要機器[ストーカ,油圧装置,バーナ,自動燃焼制御装置(ACC=Automatic Combustion Control system),ごみホッパレベル計,誘引送風機]の納入及びスーパバイザ派遣である。
保証事項は,排ガス排出保証値(公害防止基準)及び下記項目である。
①年間累計運転時間
8000時間以上
②運転範囲(焼却量負荷)
60~110%(但し,110%負荷は,2 h/日以内)
③炉出口温度
850 ℃以上,2秒間以上
④灰の熱灼減量
⑤ボイラ効率
82%以上
⑥火格子交換率
⑦排ガス処理設備での 薬品使用量
・水酸化ナトリウム(30%):9.2 kg/t(ごみ)以下(消石灰を使用しない場合)
・消石灰:15 kg/t(ごみ)以下(水酸化ナトリウムを使用しない場合)
・活性炭:0.24 kg/t(ごみ)以下
漳州市施設の入札は2010年11月4日,正式契約は2011年4月29日であった。設計,土建工事,設備据付工事及び試運転は順調に進み,2014年12月に竣工を迎え,正式な商業運転に入った。
詳細な建設スケジュールを表2に示す。
当グループ納入機器については,2012年12月から据付作業を開始し,2013年11月に完了した。ストーカの据付状況を写真2,給じん装置の据付状況を写真3に示す。
2013年12月から2014年3月末に施設全体の無負荷試運転を実施し,2014年4月から負荷試運転,2014年5月末に「72+24時間試験(火力発電所の試験検証方法であり,連続的な72+24時間の定格処理運転を行う中国独自の試験)」を実施した。2014年9月27日に性能試験を全て完了し,約2箇月間の試験結果確認期間の後,2014年12月から正式に商業運転を開始した。
写真2 ストーカ据付 Photo 2 Grate installation
写真3 給じん装置据付 Photo 3 Waste feeder installation
本施設は当グループとして,1炉1日当たりの処理量が,500トンを超える初めての施設であり,大型化対応のため,以下の設計変更を行った。
焼却炉は,幅方向に3つのストーカユニットを組み合わせた3ラン型であり,ごみホッパの幅は10.5 mである。ごみホッパの幅が広いと,ホッパ内のごみレベルに差ができるので,一つのレベル計では,ごみレベルを正しく把握することは難しい。そのため,ごみホッパレベル計を2個設置した。
中国のごみは,日本のごみに比べ水分・灰分(不燃分)が多いことは知られている。
また,先行案件(威海市,厦門市)の経験から,中国のごみの嵩密度は日本のそれと比べて大きいことが分かったため,本施設以降の中国向けの設計ではごみの嵩密度を変更することとした。
したがって本施設では,給じん装置用シリンダの径を太くし,油圧シリンダへの供給圧力も増やした。その結果,当初の中国向け設計と比べ,給じん装置の推力は約1.5倍,ストーカの推力は約1.3倍に増強された。
大型炉の場合,給じん装置もストーカ同様,幅方向に複数のユニットを組み合わせた構造を採用している。
しかし,ユニット間にクリアランスがあり,また中国のごみの嵩密度が日本国内のごみに比べて大きく,ごみを供給するために必要な推力が大きいことから,中国向け先行案件において,給じん装置の横方向へのズレによって,給じん不良が起こるトラブルを経験した。
したがって本施設では,給じん装置の蛇行防止のため,二つのスライドメタル間に,ガイド機構を追加した。ガイド機構の構造を図3に示す。
本機構は,運転開始から現時点まで,良好に機能しており,過去の先行案件についても,同様の改造を実施した。
図3 給じん装置のガイド機構 Fig. 3 The guide mechanism of waste feeder
先行案件では,メンテナンス性を考慮して,火格子の交換が容易な,従来型火格子を採用していたが,中国のごみは日本国内のごみに比べ,不燃物が多く嵩密度も大きいので,火格子の浮き上がりなどによるトラブルを受けやすい傾向があることが分かった。そのため,中国向け焼却炉においても,ピン拘束型火格子を採用することとした。
ピン拘束型火格子は,火格子を火格子受梁にピンで固定して,火格子の浮き上がりを防止するとともに,炉内側から安全に火格子の交換が可能な構造としている。図4にその構造を示す。
図4 ピン拘束型火格子の構造 Fig. 4 The structure of pin-bound type fire grates
本施設では,二次空気に加えて排ガスを燃焼室に吹き込む,排ガス再循環技術を採用した。その結果,良好な燃焼状態を維持しながら,焼却炉で発生するNOx濃度を低減することができた。排ガス再循環を採用した漳州市施設と,採用していない威海市施設のNOx濃度を図5,図6に示す。
漳州市施設は,威海市施設に比べ,酸素濃度・NOx濃度が共に低く,低空気比燃焼によって,NOx濃度が抑えられていることが分かる。
なお,漳州市施設のごみ質は,威海市施設に比べて,灰分が少なく,可燃分が多く,水分は同等であり,低位発熱量は少し高かった。
図5 排ガス再循環(有)NOx濃度排出値(漳州) Fig. 5 Trend of NOx at stack inlet with flue gas recirculation (Zhangzhou)
図6 排ガス再循環(無)NOx濃度排出値(威海) Fig. 6 Trend of NOx at stack inlet without flue gas recirculation (Weihai)
(顧客所掌範囲の工夫ではあるが,参考の為に示す)
ごみピットに貯留されたごみから分離されたごみ汚水は,フィルタを経由して,自然流下方式でごみピットから排出される。従来,網状のフィルタが採用されていたが,フィルタの詰まりによって,ごみ汚水の排出が妨げられることがあった。
そこで本施設ではフィルタの閉塞が起こりにくいように,『丸穴形状のフィルタ』が採用されている。
その結果,ごみピットに不要なごみ汚水が滞留せず,ごみ中の水分が効率的に抜けることで,ごみの発熱量が高まり,良好な燃焼につながった。本施設で採用されているごみ汚水フィルタの外観を写真4に示す。
写真4 ごみピットのごみ汚水フィルタ Photo 4 Filters for waste pit leachate
負荷試運転では,ごみピットに搬入されたごみを5~7日間貯留し,ごみの発熱量が高まってから,炉内に投入した。ごみピットから排出されたごみ汚水の量は,重量比で,ごみピットに搬入されたごみ量の20~25%であった。
焼却炉に投入されたごみの低位発熱量(性能試験時の分析値)は,6300~7150 kJ/kg程度であった(設計ごみ質6279 kJ/kg)。
ごみ組成は,重量比で灰分が約20%,水分が約55%,可燃分が約25%であった。
本施設の燃焼状況を写真5に示す。
負荷試運転における,焼却炉出口温度と蒸発量を図7に示す。焼却炉出口温度は950~1060 ℃であった。
煙突入口排ガスの有害ガス濃度を図8,図9に示す。
写真5 炉内燃焼状況 Photo 5 Situation of combustion
図7 炉出口温度,蒸発量トレンド Fig. 7 Trend of furnace outlet temperature and steam generation
図8 煙突入口排ガス成分トレンド(O<sub>2</sub>,NOx,CO) Fig. 8 Trend of flue gas components (O<sub>2</sub>, NOx, CO) at stack inlet
図9 煙突入口排ガス成分トレンド(SOx,HCl) Fig. 9 Trend of flue gas components (SOx, HCl) at stack inlet
性能試験では,ごみ処理量,灰の熱灼減率,850 ℃以上の排ガス滞留時間,ボイラ効率,蒸気温度・圧力,蒸発量,納入した機器の騒音値,煙突入口ばいじん及び有害ガス濃度,排ガス処理設備での薬品使用量について測定を行い,全ての項目で保証値を満足することができた。 性能試験の結果を表3に示す。
試験項目 Test item |
単位 Unit |
保証値 Guaranteed performance |
1号炉 No.1 incinerator |
2号炉 No.2 incinerator |
結論 Conclusion |
ごみ処理量 Volume of waste treatment |
t/d | ≧525.0 | 531.3 | 525.4 | 合格 Qualified |
ボイラ総合効率 Boiler total efficiency |
% | ≧82.00 | 82.70 | 82.82 | 合格 Qualified |
主蒸気流量 Steam flow |
t/h | ≧46.00 | 53.70 | 46.57 | 合格 Qualified |
主蒸気温度 Steam temperature |
℃ | 390~405 390 to 405 |
395.0 | 400.3 | 合格 Qualified |
主蒸気圧力※1
Steam pressure |
MPa | 4.00 | 3.78 | 3.37 | − |
灰の熱灼減量 Ash ignition loss |
% | ≦3.00 | 2.02 | 1.49 | 合格 Qualified |
850 ℃以上の排ガス滞留時間 Retention time of flue gas of 850 ℃ or higher |
s | ≧2.0 | 3.6 | 3.4 | 合格 Qualified |
ごみ低位発熱量※2
Lower calorific value of waste |
kJ/kg | 6280.0 | 7140.2 | 6310.6 | − |
騒音/Noise | |||||
誘引送風機 Induced draft fan |
dB(A) | <85 | 81.6 | 80.7 | 合格 Qualified |
油圧ユニット Hydraulic drive unit |
dB(A) | <85 | 83.2 | 84.1 | 合格 Qualified |
排ガス中汚染物質濃度(乾きガスO211%換算値) Pollutant concentration of flue gas (dry gas O211% equivalent) |
|||||
ばいじん Dust |
mg/m3(NTP) | ≦20 | 5.0 | 5.1 | 合格 Qualified |
塩化水素 HCl |
mg/m3(NTP) | ≦48 | 28.8 | 16.9 | 合格 Qualified |
ふっ化水素 HF |
mg/m3(NTP) | ≦2 | 1.3 | 0.3 | 合格 Qualified |
硫黄酸化物 SOx |
mg/m3(NTP) | ≦195 | 73.7 | 30.7 | 合格 Qualified |
窒素酸化物※3
NOx |
mg/m3(NTP) | ≦195 | 157.7 | 167.6 | 合格 Qualified |
一酸化炭素 CO |
mg/m3(NTP) | ≦50 | 24.9 | 25.1 | 合格 Qualified |
Hg及び化合物 Hg and compound |
mg/m3(NTP) | ≦0.09 | 0.003 | 0.017 | 合格 Qualified |
Cd及び化合物 Cd and compound |
mg/m3(NTP) | ≦0.09 | 0.01 | 0.01 | 合格 Qualified |
Pb及び化合物 Pb and compound |
mg/m3(NTP) | ≦1.5 | 0.11 | 0.06 | 合格 Qualified |
その他重金属 Other heavy metals |
mg/m3(NTP) | ≦6.0 | 2.36 | 0.72 | 合格 Qualified |
排ガス黒度 Black degree of flue gas |
リンゲルマン濃度 Ringelmann |
≦1 | <1 | <1 | 合格 Qualified |
活性炭使用量 Activated carbon consumption |
kg/t(ごみ) (waste) |
≦0.24 | 0.16 | 0.24 | 合格 Qualified |
消石灰使用量 Slaked lime consumption |
kg/t(ごみ) (waste) |
≦15.0 | 12.1 | 6.7 | 合格 Qualified |
水酸化ナトリウム使用量 NaOH consumption |
kg/t(ごみ) (waste) |
9.2 | 0 | 0 | 合格 Qualified |
尿素水使用量※3
Urea aqueous solution consumption |
kg/t(ごみ) (waste) |
− | 0 | 0 | 合格 Qualified |
顧客の事情で圧力を下げて運転したので,合否判定対象外となった。 Excluded from the qualification judgement because the test was conducted under low pressure in response to the request from the client.
保証項目ではないので,合否判定は行っていない。 Excluded from the qualification judgement because the performance of this test item is not guaranteed.
尿素水による無触媒脱硝を行わずに,煙突入口排出基準を満足した。 Spraying of urea aqueous solution was not necessary for NOx reduction during performance test.
中国向けのごみ焼却施設では,定格負荷(熱量基準)を超えた運転を可能とするよう要求されることが多く,本施設では,1日当たり2時間の110%負荷運転が要求されている。
負荷試運転における,1箇月間の運転実績では,1炉当たりの定格処理量525 t/dの110%(578 t/d)以上の負荷で運転した日数が,月の半分を超え,最大処理量は643 t/dであった(過負荷運転継続に対する中国における法的な規制はなく,設備の安全を確保した上であれば過負荷連続運転が可能である)。
図10に,負荷試運転時の1箇月間の焼却量の実績を示す。
図10 1箇月間焼却量(2014年) Fig. 10 The waste incineration load for 1 month (2014)
本施設は2014年12月に竣工し,その後も順調に運転を継続している。本施設は,1炉当たり500 t/dを超える,当グループ初の大型ストーカ焼却設備であり,中国のごみに十分適応し,各保証値を満足した安定運転を実現することができた。
中国の焼却炉技術は年々進歩し,高度化してきている。中国政府も生活ごみ焼却汚染抑制標準の改訂版(GB18485-2014)を発行し,環境保護に力を入れており,住民のごみ焼却に対する関心も強くなってきている。
荏原グループは,中国国内において,焼却施設の受注を順調に伸ばしている。本施設の実績を基に,更に技術改良を重ね,市場の要求に応じたより良い施設を納入することで,今後とも中国における廃棄物の安定処理と,廃棄物からのエネルギー回収に貢献したいと考えている。
中国国内向けストーカ式焼却炉は,今後も複数竣工予定であり,本誌において随時報告する予定である。
最後に,本プロジェクトにご協力頂いた全ての関係者の方々に深く感謝する。
1) 黒澤和重・田書営 他,中国における大型ストーカ式焼却炉の焼却処理技術の確立と安定稼働報告,第36回全国都市清掃研究·事例発表会講演論文集,P158(2015-1).
2) 黒澤和重・作大介 他,中国山東省威海市向け大型ストーカ式焼却炉設備の納入・運転状況,エバラ時報 No.235 P23-28 (2012).
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