化学工業用ポンプに適用される国際規格ISO5199及びISO2858に準拠したグローバル基幹製品GSO型の派生モデルとして,より高濃度,大粒径ケミカルスラリーに対応可能なGSOF型(図1,図2)を開発した。新規開発したGSOF型の羽根車はセミオープン形でありながら,高効率化を実現して省エネルギー化に寄与している。
GSOF型は堅硬な構造によって,軸受・メカシールが長寿命化,スラリー摩耗による性能低下に対処するための軸受機構をもちながらも,GSO型と多くの部品を共用化し,互換性も高い。このようにメンテナンス性を向上させたことによって,消耗品の交換頻度を低減し,予備品コストの最小化及び現地メンテナンスの省力化に貢献する製品である。
仕様
口 径:50×32~100×65 mm
モータ出力:1.5~75 kW
吐出し量:最大250 m3/h
全 揚 程:最大150 m
接液部材料:SCS13相当,SCS14A相当
図1 GSOF型 Fig. 1 Model GSOF
図2 GSOF型カットモデル Fig. 2 Model GSOF cut model
EBARA Pumps Europe S.p.A.は,主に空調,循環,給水用途等に幅広く使用されるインライン配管に接続可能な3E型並びに3ES型のインラインポンプをイタリア工場にて生産し,日本を除くグローバル市場で販売を開始している。
両ポンプは欧州ポンプ効率基準をクリアし,IE3電動機の搭載による高効率設計を図った。さらに主要部品の共通プラットフォーム化を行ったことで生産性向上を実現した。堅牢な設計のポンプケーシングに電着塗装を施し,信頼性も向上させた。
ポンプ軸一体型の専用電動機によってコンパクト化を図った3E型,及び標準電動機が搭載可能な3ES型があり,幅広い顧客要求に応えられるラインナップとなっている。
仕様
機 名:3E型,3ES型
口 径:32~100 mm
流 量:1.5~216 m3/h
全 揚 程:~65 m
電動機出力:0.37~22 kW
図1 3E型 外観 Fig. 1 Model 3E external view
[Ebara Pumps Europe S.p.A.]
約50年前に当社が納入した両吸込渦巻ポンプについて,速度制御装置更新に併せてモータを更新した。新設モータが巻線型からかご型へ仕様変更となったことに伴いモータの慣性モーメントが減少するため,ポンプ急停止時の水柱分離によるウォーターハンマー防止を目的としてフライホイール装置(図1)の追設を行った。
既設ポンプは両吸込渦巻ポンプであるが,カップリング側の軸受を持たない特殊な構造となっているため,モータ更新後は10 000 kgを超えるフライホイール回転体質量に加えてポンプ荷重の一部もフライホイール装置で支持する必要があった。フライホイール設計にあたっては,フライホイール装置のポンプ側カップリングを主軸と一体のリジッドタイプとし,フライホイール軸受はポンプ荷重も考慮した設計とした。
フライホイールを接続するポンプの要項は次のとおりである。
ポンプ形式:1 600 mm×1 000 mm横軸両吸込渦巻ポンプ
ポンプ要項:362 m3/min×82 m×6 300 kW
図1 フライホイール装置 Fig. 1 Flywheel unit
立軸渦巻斜流ポンプ(図1) 3台
口径:1 200 mm
要項:200 m3/min×54 m×2 600 kW
本機は,大深度地下に設置される大流量・高揚程に対応した雨水排水ポンプである。流体継手付き減速機を採用したことによって幅広い流量範囲で運転が可能であり,ポンプ場の周囲が冠水する様な異常降雨時においても実揚程0 mで運転可能とする堅牢な構造を有している。原動機であるディーゼル機関の無負荷運転の時間制約はあるが,吸水槽に水が無い場合でも設備の作動確認を目的とした管理運転が可能である。
図1 1 200 mm 立軸渦巻斜流ポンプ Fig. 1 1 200 mm vertical mixed flow volute pump
立軸斜流ポンプ(図1) 1台
口径:2 000 mm
要項:547.2 m3/min×13 m×1 800 kW
本ポンプは,全速全水位先行待機型の雨水排水ポンプである。全速全水位先行待機型とは,水位を問わず運転状態で待機しておくことが可能であり,近年多発している急な豪雨に対応することが可能なポンプである。
水中軸受に長時間のドライ運転が可能な自社開発の特殊樹脂軸受,軸封部にフローティングシール(非接触シール)を採用した。
吸水水位が低い完全なドライ運転から水位上昇に伴って生じる気液混合運転において発生する大振動に耐える堅牢な構造を特徴としている。
図1 2 000 mm 立軸斜流ポンプ Fig. 1 2 000 mm vertical mixed flow pump
2023年,エリオットグループは8台の多段蒸気タービンを出荷した。仕向け地別の出荷台数は,アジア5台,ヨーロッパ2台,中近東1台である。
主な仕向け先は石油精製,石油化学プラントでのプロセスガス圧縮機駆動用である。
図1は,中国向け遠心式圧縮機駆動用多段蒸気タービン(SNV-12型)で,当社現行機における最大出力復水型タービンである。本多段蒸気タービンは,両吸込み・カムリフトタイプのマルチガバナバルブを備え,回転数制御によって圧縮機の幅広い運転レンジに対応することができる。また,高圧・高温の蒸気に対応するため,特殊な高圧ケーシングを採用している。
図1 中国向け多段蒸気タービン(SNV-12型) Fig. 1 Multi-stage steam turbine for China (Model SNV-12)
[エリオットグループ]
2023年,エリオットグループは合計37台の圧縮機を出荷した。内訳は遠心式多段36台,遠心式単段1台である。仕向け地別では,アジア向け21台,中近東向け7台,北南米向け6台,ヨーロッパ向け3台となる。
図1は中国向けで新設されるエチレンプラントの分解ガス圧縮機(Cracked Gas Compressor 78M4I型)である。
分解ガス圧縮機は,分解炉で熱分解されたナフサ及びガス・オイルなどの炭化水素をガス分留装置に送り込むために使用される。分留装置では石油化学基礎製品(エチレン,プロピレン,ブタジエン,ベンゼン,トルエン,キシレンなど)に仕分けされ化学製品になっていく。このため,本圧縮機はエチレンプラントの基幹機器であるといえる。また,本圧縮機では外部クーラーを用いて圧縮機内のガスが高温にならないよう冷却し,重合反応を抑制することができる。
図1 中国向け遠心多段圧縮機(78M4I型) Fig. 1 Multi-stage centrifugal compressor for China (Model 78M4I)
[エリオットグループ]
愛知県春日井市に位置する地蔵川及び八田川の沿岸では,平成23年9月台風15号豪雨によって大きな浸水被害が発生した。本機場(図1)は,同規模の大雨による洪水に対しても床上浸水被害を防ぐため,地蔵川から八田川へ排水する設備として新たに建設された。当社は,ポンプ機械設備の製作及び据付工事を実施した。計画排水量は25 m3/sとなり,将来のポンプ増設によって45 m3/sに増強することが可能となる。
特長
(1)冷却方式(エンジン及び減速機):管内クーラ
(2)運転操作方式:連動運転,自動起動機能を付加
管内クーラは冷却水系統の簡素化と,電源一時喪失時の運転継続を可能とする。また,急激な水位上昇に操作遅れ無く対応するため,内水位による自動起動機能を備えている。これらによって設備の排水機能に対する信頼性を高めている。
納 入 先:愛知県尾張建設事務所
口径・形式:2 000 mm立軸斜流ポンプ 3台
要 項:8.4 m3/s×4.45 m×504 kW
図1 地蔵川排水機場 主ポンプ Fig. 1 External view of main pump for Jizo river drainage pump station
金剛排水機場は熊本県八代市南平和町に位置し,周囲は干拓により形成された平野が広がり農業地帯となっている。
本機場は,海抜の低い本地域の湛水被害の防止を目的とした排水施設である。本工事にて老朽化した既設機場を更新し,排水能力向上を行っている。
ポンプ設備において,ディーゼルエンジンは機付ラジエータ冷却方式,減速機に空冷方式を採用した。主ポンプの軸封部には無注水メカニカルシール,真空ポンプはドライ式を採用することで,本排水機場は無水化を実現した。
納 入 先:熊本県農林水産部
口径・形式:1 200 mm横軸斜流ポンプ(図1) 4台
要 項:165 m3/min×5.9 m×228 kW
(ディーゼルエンジン駆動)
図1 金剛排水機場主ポンプ Fig. 1 Main pump at Kongo drainage pump station
本機場(図1)は一級河川の寝屋川の流域に位置している。本地域は地形的に河川より土地が低い場所が多いことや都市化により地面に雨がしみこみにくいことから,大雨による浸水が発生しやすいという特徴を有している。雨水を河川に排水する役割を担う本機場は,重要な社会インフラ施設として地域住民の命と財産を守っている。
既設ポンプは約40年間,地域の安心・安全なくらしを守ってきた。今回の工事ではポンプ,減速機,エンジンを更新した。新しく納入したポンプは既設ポンプに比べ約1.2倍の排水量となった。
納 入 先:大阪府東部流域下水道事務所
口径・形式:1 800 mm立軸斜流ポンプ 2台
要 項:540 m3/min×16.9 m×2 130 kW
図1 寺島ポンプ場 Fig. 1 Terashima pump station
埼玉県坂戸市に位置する大谷川雨水ポンプ場(図1)は,2008年から約15年間,地域を大雨による浸水から守る役割を担ってきた。近年増加する台風・豪雨に対し排水能力を増強するために,今回当社は雨水ポンプ設備を2台納入した。これにより雨水ポンプは既設設備と合わせ計4台構成となり,今回の増設工事によって排水能力は従来の2倍(1 260 m3/min)になった。
雨水ポンプには,先行待機型ポンプ(全速・全水位運転方式)を採用することで,急な豪雨による水位急増の前に,全速での待機運転が可能になった。
納 入 先:日本下水道事業団
管 理 者:坂戸,鶴ヶ島下水道組合
口径・形式:1 350 mm立軸斜流ポンプ 2台
要 項:315 m3/min×7.3 m×560 kW
(ディーゼルエンジン駆動)
図1 大谷川雨水ポンプ場 Fig. 1 Oyagawa drainage pump station
東京都と神奈川県を流れる多摩川から水を取水する二ヶ領宿河原堰(図1)の老朽化対策と信頼性向上の目的で遠隔監視操作制御設備の更新を令和2,4年度の2回にわたり実施した。
今回更新した二ヶ領宿河原堰管理所の操作制御設備(図2),及び京浜河川事務所と多摩出張所の遠隔監視操作制御設備の管理対象施設は,多摩川本川をまたぐ可動堰である。可動堰は,各径間30 mの水位調整ゲート(ワイヤーロープ式引上げゲート)1門及び洪水吐ゲート(油圧式起伏ゲート)5門の大規模なゲート設備である。
納入先:国土交通省 関東地方整備局
特徴
(1)
水位調整ゲート及び洪水吐ゲートの監視操作機能
制御系統はA系,B系の常時二重化構成としている。通常はA系で運用を行い,A系に障害が生じた際は自動的にB系に切り替わり運用を継続する機能を有し,信頼性の向上を図っている。
(2)水位条件に基づく自動制御機能
本施設は自動制御による運用となっており,水位及び水位変動傾向に基づき,水位調整ゲート及び洪水吐ゲートの自動制御を行う機能を備える。
(3)CCTVカメラ及び放送装置による安全確認機能
水位上昇時,水位調整ゲート及び洪水吐ゲートの動作時に連動して自動放送を行い,周辺住民への注意喚起を促すものとなっている。また,周囲状況をカメラ6台(屋外3台,屋内3台)で監視を行い,堰の上流・下流及び周辺への安全性を配慮している。さらに,カメラ画像の常時録画機能を備える。
(4)事務所及び出張所からの遠隔監視操作機能
京浜河川事務所及び多摩出張所から,水位調整ゲート及び洪水吐ゲートの遠隔操作を行うことができる。また,CCTVカメラによる画像監視及び周辺住民への注意喚起の放送を行うことができ,遠隔操作時の安全確保に寄与している。
図1 二ヶ領宿河原堰 施設外観 Fig. 1 Nikaryo-Shukugahara Intake Weir external view
図2 二ヶ領宿河原堰管理所 操作制御設備 Fig. 2 Nikaryo-Shukugahara Intake Weir operation console
某製鉄所の転炉設備に納められている転炉排ガス誘引ブロワの更新計画に対し,回転体・ケーシング一式を納入した。
転炉排ガスを扱うため回転体は腐食・摩耗対策が必要となる。
[ブロワ仕様]
機 名:No.24DMP(BD)
風 量:約310 000 Nm3/Hr
昇 圧:約20 kPa
電動機出力:約5 400 kW
羽根車直径:約3 600 mm
羽根車周速:約226 m/s
[特長]
1.
高周速製品のため高強度が必要となり,また腐食・摩耗が懸念されるため主板・側板に高張力鋼,羽根板に高張力ステンレス鋼を採用している。
2.
羽根板の高張力ステンレス鋼は長期の使用で腐食が発生するため,取外し交換が出来る様に羽根板を鋲止にて主側板へ固定している。
3.
羽根車補修時は主板・側板を再利用し,羽根板のみ新規部品へ交換となるため製造コストを抑えることが出来る。
図1 羽根車外観 Fig. 1 External view of impeller
図2 鋲止(参考) Fig. 2 Riveting (Reference)
[㈱荏原風力機械]
中国では2030年までにカーボンピークアウト,2060年までにカーボンニュートラルの実現を目標としている。この背景の下,石油化学業界ではエネルギーのグリーン低炭素転換が新しいトレンドとなり,「効率向上及び二酸化炭素排出量削減」のニーズが増大している。当社はこのニーズに応答し,廃熱を利用する高効率省エネ製品「蒸気発生器」を開発した。本製品を採用することにより,これまで冷却塔から大気放出していた廃熱のうち,32 %から48 %に相当する熱量を回収し再利用することが可能となる。この廃熱利用の効果は,プラントの運用コストと二酸化炭素排出量を削減し,石油化学業界の持続的発展に貢献するものとなる。
当社は中国の大手石油化学企業へ大型の蒸気発生器を8台納入した。この製品は工場内各プロセスの廃熱を効率的に回収し,0.2 MPaの飽和蒸気を作り出すことに成功している。年間生成蒸気量は112万トンに達し,石油化学業界における単一プロジェクトとして最大蒸気量の記録を更新した。
製品特徴
(1)
1台当たりの蒸気量は33 t/h,第二種吸収式ヒートポンプ単体としては,同業他社比で最大である。
(2)
廃熱出口温度±1 ℃を満たすように冷却水流量を微調整する機能を設け,プロセスの安定性を確保した。
(3)
腐食性の高い熱源水を利用するため,熱交換器には防食性能の高いチタンチューブを採用し,機器の長寿命化を図った。
(4)
水路配管のモジュール化設計により,現地における取り付け作業負荷を低減した。
総蒸気量:140 t/h
型 式:RWH150RS 5台
RSH330RS 2台
RSH280RS 1台
図1 蒸気発生器 Fig. 1 Steam generator
[荏原冷熱システム(中国)有限公司]
立川市(東京都)より2019年に受注した「新清掃工場整備運営事業」について,2023年2月28日に同施設「立川市クリーンセンターたちむにぃ」の建設工事を完了し,同年3月より20年1か月間の運営事業を開始した。
焼却炉方式は,HPCC®21ストーカ式焼却システム
(60 t/d×2炉)が採用された。施設周辺の環境負荷低減を考慮した厳しい自主排ガス基準値を設けている。高温高圧ボイラと高効率タービンを利用することで,ごみ処理時に発生する余熱エネルギーを利用して発電(最大出力2 390 kW)を行う。
また,本施設は耐震性や耐水性の対策をすることで,大規模災害時にも施設の稼働ができ,ごみ処理を安定的に継続できるよう設備・体制を整えている。
本事業は,環境への負荷が少なく,安全で効率性の高い,大規模災害時において地域の防災拠点としての機能を備える施設を目指している。
※HPCCは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標である。
図1 立川市クリーンセンター 施設外観 Fig. 1 Clean Center TACHIKAWA external view
[荏原環境プラント㈱]
藤沢市(神奈川県)より,2018年に受注した「藤沢市北部環境事業所新2号炉整備・運営事業」は,2023年3月31日に同施設「藤沢市北部環境事業所新2号炉」の建設工事を完了し,同年4月より20年間の運営事業を開始した(図1)。
本施設は,エバラHPCC®21型ストーカ式焼却システム(150 t/d×1炉)を採用し,ごみ量・ごみ質に応じた最適燃焼制御による安全で安定したごみ処理を行う。
また,ごみの焼却熱を利用した発電により得られた電力は施設内の動力として活用し,余剰電力は外部の需要家に売電を行っている。
さらに,大規模災害時に備えた強靭で復興拠点となり得る機能を有する施設を目指している。
※HPCCは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標である。
図1 藤沢市北部環境事業所施設外観 Fig. 1 Fujisawa Northern Environmental Office external view
[荏原環境プラント㈱]
大手産業廃棄物処理業者であるオオブユニティ㈱(愛知県大府市)のリサイクルプラント東浦工場向けにTIF®旋回流型流動床焼却炉(処理能力:131.2 t/d×1炉,発電端出力:3 000 kW)を2023年7月に納入した。また,産業廃棄物焼却施設では当社初となる運転管理業務を同年8月より受託している。
本件は,当社が1989年に納入した旧焼却炉の更新事業であるが,長年に亘る当社の製品・サービスが高く評価され,更新工事の受注と運転管理業務の受託に至ったものである。
本工場の最大の特長は,TIFの旋回流によって多種多様な廃棄物(廃プラ,汚泥,廃油,廃液,医療系廃棄物など)を安定的に焼却処理できることである。また,焼却廃熱を利用した発電電力を周辺地域に売電するなど,愛知県内の電力の地産地消にも大きく貢献している。
※TIFは,荏原環境プラント㈱の日本における登録商標です。
図1 リサイクルプラント東浦工場 外観 Fig. 1 Recycle plant Higashiura factory external view
[荏原環境プラント㈱]
中国湖北省 孝感市廃棄物分類最終処分施設(図1)向けに,汚泥乾燥設備を納入し,竣工引渡しを完了した。
汚泥乾燥設備の施設規模は100 t/d×1系統であり,荏原グループは,基本設計,詳細設計及び,汚泥乾燥機(図2)を含む全設備の供給と据付指導を担当した。
本設備に納入された汚泥乾燥機は,水ing㈱から当社にライセンスされたパドル式汚泥乾燥機の中国国内における初号機である。
2022年11月に運転を開始し,全ての引渡性能試験項目においてユーザからの仕様基準を満たし,同年12月に竣工引渡しを完了した。
表1 施設概要 Table 1 Plant overview
図1 孝感市廃棄物分類最終処分施設 Fig. 1 Xiaogan City Waste Separation Terminal Disposal Plant
図2 パドル式汚泥乾燥機 Fig. 2 Picture of Paddle type sludge dryer
[青島荏原環境設備有限公司]
中国国内では,立地難と経済性の観点から,ごみ処理施設の規模が大型化する傾向にある。
エバラ時報263号で報告した中国上海市松江二期ごみ焼却施設向け大型ストーカ式焼却設備の納入(2021年
5月)に続いて,図1~図4のごみ焼却施設向けに,1炉当たり700 t/d以上の焼却能力を有する,大型ごみ焼却設備の竣工引渡しを連続して行った。
これらの施設の設計・製作において,これまで培ってきた中国国内向け大型焼却設備のノウハウを活かした標準設計を採用することで,設計期間の短縮とコストダウンを実現している。
荏原グループの納入範囲は,ごみ焼却関連設備の基本設計,焼却炉周りの主要機器の製作・納入,据付・試運転SVである。大型案件の経験と実績を生かして効率的に実施,性能試験に無事合格し,竣工引き渡しを完了した。
その後の運転実績により,今回採用した中国向け大型ストーカ式焼却設備の標準設計の信頼性を確認することが出来た。
これらの実績をもとに,引き続き市場のニーズに応える高性能な焼却設備の販売・納入を行い,中国における環境保全・循環型社会の実現に貢献していく所存である。
焼却炉:
エバラHPCC型ストーカ式焼却炉
処理量:
2 250 t/d(750 t/24 h×3炉)
図1 金華ごみ焼却施設 Fig. 1 Jinhua waste incineration plant
焼却炉:
エバラHPCC型ストーカ式焼却炉
処理量:
1 500 t/d(750 t/24 h×2炉)
図2 南昌二期ごみ焼却施設 Fig. 2 Nanchang waste incineration plant [Phase Ⅱ]
焼却炉:
エバラHPCC型ストーカ式焼却炉
処理量:
1 400 t/d(700 t/24 h×2炉)
図3 北海ごみ焼却施設 Fig. 3 Beihai waste incineration plant
焼却炉:
エバラHPCC型ストーカ式焼却炉
処理量:
2 250 t/d(750 t/24 h×3炉)
図4 張家港ごみ焼却施設 Fig. 4 Zhangjiagang waste incineration plant
[青島荏原環境設備有限公司]
中国貴州省 都匀ごみ焼却施設(図1)向け焼却炉及び廃熱ボイラの改造工事を2023年7月に完了,納入した。
本施設は2018年に竣工したが,ごみの発生量及び発熱量が当初計画を超えて増加したため,焼却炉とボイラを強化し,増加した熱量を有効利用する改造案が客先に採用された。
本改造の結果,ごみ処理量が20 %,ボイラ蒸発量が18.5 %増加し,発電能力を向上することが出来た。
<改造工事概要:2023年1月~7月>
・焼却方式:エバラHPCC型ストーカ式焼却炉
・処理量増加:600 t/d ⇒ 720 t/d(360 t/24 h×2炉)
・ボイラ最大連続蒸発量増加:27 t/h×2缶⇒32 t/h×2缶
・主な設備改造内容
①焼却炉:ボイラ水冷壁の増設
②ボイラ:ボイラ水管の増設
③その他:ボイラ給水ポンプ追加,助燃バーナ更新
図1 都匀ごみ焼却施設 Fig. 1 Duyun City waste incineration plant
[青島荏原環境設備有限公司]
食品工場等の油脂分を含む排水は,これまで加圧浮上処理が一般的であった。加圧浮上装置は機器点数が多く,運転管理が煩雑,大きな設置スペースが必要等などの課題があった。当社は特殊な油水分離剤(YB剤)を注入することで油脂分離と脱水機能を一体化したユニット装置(図1)を開発した。処理水量に応じたユニット装置をラインナップしており,短納期・低コスト・工期短縮を実現した。
仕様
型 式:YB-1012
水 量:45 m3/h(最大50 m3/h)
原水水質:BOD=2 000 mg/L
n-ヘキサン抽出物質=1 200 mg/L
処理水質:BOD=150 mg/L
n-ヘキサン抽出物質=15 mg/L
特長
(1)加圧浮上処理と比較し,電力・薬品費が低減
(2)脱水汚泥の堆肥化が可能
(3)ユニット納品のため工事期間が短縮
※YBプロセスは水ing㈱の日本における登録商標です。
図1 YBプロセスユニット Fig. 1 Picture of YB Process Unit
[水ingエンジニアリング㈱]
労働人口が減少するなか,水道事業はWater-PPPの推進など民間委託の拡大を進めている。水インフラを持続的に管理していくためには,少ない人員でますます効率的な運転管理が求められている。
水ingはこの度,水インフラ現場におけるオペレーション業務の効率化,省力化の実現に向け,デジタル活用を推進する情報プラットフォーム「Sustainable Water Cloud」(SWaC)(図1,図2)をリリースした。
IoT・クラウド・AIを通して,当社グループ最大の強みであるオペレーション現場のノウハウをデジタル化,データを一元管理し,情報の「見える化」及びデータ活用を行うことで,業務効率化の促進を図ることが可能となる。
今後は開発中の異常検知AI並びに運転支援AIなど,これからのオペレーション現場に必要なアプリケーションを本プラットフォーム上に実装し,サービスの拡充と利用拡大を進める。
特徴
(1)データの可視化と集約管理・遠隔監視
複数の水インフラの運転維持管理データを一元管理し,情報の見える化による省力化及びLCC最適化を図る。
(2)AIの開発・管理・活用
現在進化し続けているAI技術を用いて,集めたデータを活用する。現場技術者が現場ごとに最適なモデルを開発・生成できるようAI開発機能を本プラットフォームに搭載している。
(3)維持管理現場のノウハウ活用
当社グループの強みである維持管理現場のノウハウを集約し,お客様が抱える様々な課題に寄り添い,解決に貢献する。現場の声を素早く吸い上げてプラットフォームそのものも進化し続ける。
※Sustainable Water Cloud / SWaCは水ing㈱の日本における登録商標です。
図1 SWaC利活用イメージ Fig. 1 Image of SWaC utilization
図2 SWaCのサービス提供モデル Fig. 2 SWaC service delivery model
[水ing㈱]
水処理施設の適正な維持管理業務を継続するには教育訓練が欠かせない。当社はパンデミック後の教育体制を鑑み,現場教育を補填出来るVRを活用した集合教育の取組を推進している。
VRはコンピュータで構築した仮想空間にゴーグル型デバイス等で没入し,現実のように体験する技術である。VRツールは今後の展開を見据え,コンテンツを社内で内製できるよう特別な技能が不要で誰でも簡単に制作できるものを選定した。
図1は実際のVR教育実施状況である。これまでお客様も参加する集合現場教育は現地を訪問し複数回行ってきたが,VRを活用する事でサーバPCのある場所から参加でき,参加者の移動が不要となり,VR活用前より効率的な教育が可能になった。また現場に詳しい所員が VRで仮想空間を共有しながら説明する事で,場外監視拠点で現場に出向く事が少ない所員の維持管理業務への理解が深まり,維持管理品質の向上が期待できる。
今後は,本取組を労働災害防止や災害応援等へ展開する事を検討している。
図1 実際の教育の様子 Fig. 1 Picture of Actual education
[水ing㈱]
既設の更新を目的として根室市向けに,下水道分野へは当社初となる間接加熱乾燥機 ディファレックス(DIFFERE-X)を主機とする汚泥乾燥設備を納入した。
ディファレックスは約150~170 ℃の低圧蒸気を熱源とし,伝熱面を介して脱水ケーキを連続的に加熱,乾燥させる安全性に優れた乾燥機である。汚泥の分散性を考慮した内部構造と伝熱面のクリーニング作用の高機能化による乾燥性能の安定に強みをもつ。新設の消化ガス燃焼用ボイラにて発生させた蒸気を熱源として使用することで,汚泥乾燥設備の燃費向上,温室効果ガス排出量の削減に貢献する。
納入先:根室下水終末処理場
竣 工:2023年3月
汚泥性状:嫌気性消化汚泥(高分子脱水ケーキ)
処理量:6.74 t/d
含水率:82 %(脱水ケーキ)→40 %(乾燥ケーキ)
稼働時間:24 h/d
※ディファレックス/ DIFFERE-Xは水ing㈱の日本における登録商標です 。
図1 間接加熱乾燥機 ディファレックス(DIFFERE-X) Fig. 1 Steam indirect heating dryer (DIFFERE-X)
[水ingエンジニアリング㈱]
大分県の由布市環境衛生センターの汚泥再生処理センターへのリニューアルを行った。資源化方式を既設の堆肥化から助燃剤化に変更するとともに,2施設あった水処理系列を1施設に一元化した(図1)。本工事では,施設の長寿命化のため,ほぼ全ての機器・水槽のリニューアルを行い(生物処理水槽の防食工事や薬注設備の更新を含む。),また高圧受変電設備や動力制御盤などの電気設備,照明や空調などの建築設備の更新も行った。
施設概要
・処理方式
水処理設備:浄化槽汚泥対応型膜分離高負荷脱窒素
処理方式+高度処理(放流先:大分川(一級河川))
脱水(資源化)設備:助燃剤化
・計画処理量:77 kL/日
(し尿:7 kL/日,浄化槽汚泥:70 kL/日)
※浄化槽汚泥は,農業集落排水汚泥含む
・工期:令和2年10月6日~令和5年3月31日
本工事の特徴
①環境負荷の低減
水処理系列の一元化のほか,搬入濃度の低下に合わせて機器能力を最適化した。また,換気・空調設備の更新や照明のLED化といった建築設備の更新,当社の低含水率脱水システム「バリュースラッジシステム※1」による脱水汚泥の助燃剤化によって,既設と比べ電気使用量を約7割削減した。これはCO2換算で約700 t/年分の削減量となる※2。
②維持管理性や社会情勢への配慮
管理エリアのリニューアルでは,会議室を新たに設置したほか,女子トイレ・女子更衣室を増設するなど,ジェンダー平等にも配慮した。
③水害対策(災害対策)の実施
水害時の被害軽減のため,既設では1階に配置されていた電気室を,更新後は2階へ配置した。これにより万が一の浸水時の被害を軽減し,復旧に要する時間を短縮する。また,地階への開口部の嵩上など,水害対策を強化した。
※1 バリュースラッジシステムは水ing㈱の日本における登録商標です。
※2 改造前:令和2年4月~令和3年3月,改造後:令和4年6月~令和5年5月
電力のCO2排出係数:0.000555 t-CO2/kWh(廃棄物部門における温室効果ガス排出抑制等指針マニュアル(平成24年3月)より)
図1 工事前後の処理フローの比較 Fig. 1 Comparison of treatment flows before and after the update construction
[水ingエンジニアリング㈱]
藤沢工場ものづくり50年の歴史
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